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古書店の敷居は高い

近所に古書店があるのだけど、一回も足を踏み入れたことがない。
なぜか古書店への敷居は高い。

古書店の店主は、まさしく本のプロという気がする。
相応の目利きができなければ、ネット書店全盛のこのご時世、生き残ることは難しいはずだ。
生き馬の目を抜くような古書店業界。
彼ら彼女らの手は血に染まっている。

そんなプロを目の前にして、悠々と本を選ぶ度胸がぼくにはない。
絶対にこちらが客としての値踏みを受けているはずである。
軒先に出している棚に目を向けようものなら、おそらくアウト。
素人としてのそしりを免れない。

店主の「喝」がぼくを射貫く。それは声なき喝。
ぼくの知らない不文律が古書店にはあるのだ。絶対に。
おいそれとレジに向かってはならない。
その店の古書を手に入れる資格があるのは、店主の審美眼を解した人間だけだから。

まだまだ実力が足りない。
きっとぼくは今日も古書店を通り過ぎる。
通り過ぎた敷居を野良猫がエサを求めてまたいでいく。



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