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時間の感覚が速まってる!

大人になると時間の流れが速く感じて、年末には「もう一年がたってしまった」と思うことがよくありますね。これは、気のせいとばかりはいえないように思います。

なぜそう思うのか:本

というのも、昔の本、特にミステリーを読むと、いまよりも時間の流れがかなりゆっくりしていることを肌で感じるのです。

顕著な例は、1920年に出たクロフツの『樽』。これはイギリス・ミステリーの黄金時代の幕開けの作品といわれる推理小説ですが、いま読むと、話がまったく進まずにじれったいことこの上ない💦 小説の作法もいまとは違うのかもしれないし、新訳では少し違うのかもしませんが、アリバイ崩しを確立させた画期的な作品だった訳ですから、当時の人にとっては特別時間の流れが遅いとは感じなかったのでしょう。

1930~70年代のエラリー・クイーンや、ハードボイルドの生みの親といえる30~50年代のレイモンド・チャンドラーなども、時間の感覚はかなりゆっくりですね。

それなのに、文学作品といわれる本を読むときには、それほど時間のことが気になりません💦 もちろん、いまよりも昔の暮らしの方がせかせかしていなかったのだろうけど、じれったいような遅さは感じないから不思議です。

例えば、わたしが大好きな『赤毛のアン』は1908年に発表された小説で、まだ自動車よりも馬車が普通だった時代の作品ですが、いま読んでもテンポの遅さは感じません。

幸田文の『流れる』はわたしが生まれる前に書かれて、読んだときにはそれから20年以上たっていましたが、時間の流れが遅いとは感じませんでした。それどころか、物語の世界に引き込まれて、いっぺんでこの著者のファンになってしまったほどです。

なぜそう思うのか:音楽

これは音楽にも言えることで、同じ曲でも20世紀中ごろに録音されたカラヤンの指揮する「運命」と現代に録音したCDの「運命」ではテンポがまるで違うことに驚きます。クラシック以外でも、わたしが高校の頃に買ったクイーンの「オペラ座の夜」のLPレコードと、同じ音源を使ったデジタルリマスター版のCDでは全然テンポが違います。現代の人の感覚に合わせるように、変えているのでしょうね。

時間は伸び縮みする

今回紹介したことはすべて、わたしの個人的な肌感覚から書いているので、そんなことは感じないという人もいるかもしれません。

でも、本や音楽には関係なく、日々の時間の流れが速く感じるのも事実です。年齢を重ねると時間が速く感じられるというジャネーの法則というものもあるようですが、本や音楽で感じるものは違うのかな~と思ったり…

夢中になっているときは時間が短く感じて、退屈なときは時間を長く感じるし、時間というのは主観で変わるし、時代によって、個人によって伸び縮みするものなのだろうと、いま感じています。

あなたにとっての時間は速くなっていませんか?

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