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第19話 埼玉のサチコが、大阪で「ととのって」しまいました。

こんにちは。サウナのサチコです。

タイトル通り、私、ととのってしまいました! ここまで埼玉限定でサウナ施設を巡り、いつ私が埼玉でととのうかということを、これでもかというほど引っ張って皆様にお伝えしてきたというのに、、、。

よりによって、埼玉以外でととのってしまいました(汗)

すみません・・・。


8月に入った頃。

バイト先のリーダーから「大阪に行ってきて」と言われました。バイトなのに出張があるというおかしな会社ですが、往復の交通費も出るし、時給も普段の何倍ももらえるので、これは大阪のサウナに行けるチャンスだと思い、引き受けることにしました。

偶然にも大阪に行くその日は私の誕生日。仕事終わりにサウナに行って、居酒屋で一杯やって、ビジネスホテルに泊まろうと、なんのご褒美かわからないけど楽しい計画を立てました。宿泊費はもちろん自腹です。でもGO TO トラベルで35%オフ!!。素泊まりにしたので3000円ほどでダブルベッドのバストイレ別、6階のお部屋を予約できました。安い! いつもは都民を羨ましく思っていた私も、この時だけは埼玉県民であることに喜びを感じました。

8月某日。午前11時。

スーツ姿で新大阪の駅に降り立った私は、その暑さに驚きました。埼玉も暑いが大阪も暑い。昼から3時間ほど仕事をした私は、お疲れ様でしたと埼玉に帰るふりをして、ホテルに直行しました。以前テーラーでお直ししたスーツは汗で肌に張り付き、ホテルに着く頃には顔も真っ赤になっていました。涼しげな顔をしたフロントのお姉さんが「失礼します」と私の額に体温計を近づけます。

「36度8分です。よろしいですか?」

と謎の確認。よろしいですかと聞かれても。

暑い外をずっと歩いてきたんだってば。それくらい熱があってもおかしくないでしょ。あんた、宿泊できないのは37度5分以上ってそこに書いてあるじゃないの!・・・ヒョウ柄のブラウスを着ていれば、私だってこのくらい言えたのかも。でも気の小さいスーツ姿の埼玉県民は「はい、それが平熱です」と嘘をつくしかありませんでした。

部屋に荷物を置いて普段着に着替えた私は、早速お目当のサウナに行くことにしました。さて、私は大阪で、どこのサウナに行くつもりでしょーか。(すぐ自分のことをクイズにする面倒な女)

大阪といえば「大東洋」「ニュージャパン」「アムザ」が有名なようですが、みんな男性専用。大東洋はレディースもありますが、リニューアルしておしゃれな感じになっている写真を見ると、どうも私のようなやさぐれ女には似合わない気がしたのでやめました。で、サウナイキタイで上記3つのサウナ施設の次に高評価だった、古くからある銭湯サウナに行くことにしました。

なんば駅近くのホテルから銭湯まで1キロほどだと書いてあったので、歩くことにしました。ただものすごく私は方向音痴なので、一応ホテルのフロントで場所を教えてもらうことにしました。

あれ、いつの間にかフロントのお姉さんが中国の方に代わっている・・・この方、日本語は流暢なのですが、説明がざっくり。地図を出してくれて、赤ペンでホテルから銭湯までの道を丁寧になぞってくれたのですが、どうみてもこれでは5分くらいで着く感じ。

「あの、確か、なんば駅から1キロくらいはあると聞いていたんですが」

と確認すると、お姉さんはニッコリして、

「この辺りに消防署があります。そこに人がたくさんいますから聞いてください」

という返事。ホテルマンとしてそれはどうなの?と思いましたが、他のスタッフに聞き直すとこの人怒られそうだなと思ったので、「わかりました」と素直に引き下がりました。もちろん消防署には赤い車が停まっているだけで、誰もいませんでした。たとえ消防隊員がいても、銭湯までの道は聞けないでしょう・・・。仕方なくスマホに入っている地図アプリを取り出し、位置情報をオンにする私。最初からそうすればいいのにと思うでしょ? それでも私は地図が読めないんです。

近くの駐車場で車の整理をしていたお兄さんに、アプリの地図を見せながら尋ねてみました。すると「その温泉は知らないけど、地図にある公園はそこのことですよ」と指をさします。さした方向に小さな公園が見えました。よかったー!と思って私は歩き出しましたが、公園に向かって歩けば歩くほど地図の矢印は銭湯から離れていきます。どういうこと? 

道行く人にもう一度尋ねようと思いましたが、大阪の人ってみんな足が速い。そして信号も無視して行く。いや、大阪の人が悪いのではなく、地図を読めない私が悪いんです。いつのまにか虫に刺された足を掻きながら、なんとか自力で頑張ろうと地図を見ては、同じところをグルグル歩き回りました。

あたりが薄暗くなる頃、急に目の前に大きな公園が。駐車場のお兄さんが言ってた「そこの公園」とは、小さな公園のさらに奥の奥にある、大通りに面した大きな公園のことでした。普通は手前にある方を「そこ」と言うじゃろがっ!

公園が見つかれば目的の銭湯はもうすぐ。地図アプリの赤い矢印がどんどん銭湯に近づいていくにつれて、私の足取りもどんどん軽やかになっていきます。銭湯の明かりを見つけた時には感動で、既に「ととのった」かのような気分でした。

やっと着いたか。

(↑私でなく、ここまで読んでくださった皆さんの気持ち)

散々引っ張りましたけど、私が探していた銭湯はこちらです ↓

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待って、noteを閉じないで! ととのう所まで話を聞いてください。


「ヘルシー温泉 タテバ」のサウナはかなり熱いと、サウナイキタイの投稿にもありました。期待できそう。ここは奇数と偶数の日で男女のサ室を入れ替えているようで、偶数日だったこの日は、女性が遠赤外線サウナでした。(男性は塩サウナ)

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やっちゃったよ。私もとうとう「37」を取ってしまいました。この木札を斜めにさしているところが渋い。

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このラブホテルみたいな、怪しい光を放つボタンも素敵♡

早速、手ぶらサウナコースを選びました。券売機の後ろにある階段を上がるとフロントです。バスタオルが2枚と普通のタオルが1枚、1回分のシャンプーとリンスとボディソープのセット、そしてサウナのドアを開ける銭湯特有のあの鍵をもらいました。2枚のバスタオルのうち、「ピンク色の方はサウナに入る時に体に巻いてね」と言われました。なるほど。

銭湯はいつものようにカランの音に包まれています。常連さん達が「いらっしゃい」という優しい目で、新参者の私を迎えてくれます(と感じた)。

体と髪を洗って、奥の小さな階段を2、3段上がるとサウナです。右に水風呂、左にサウナ、サウナの前にはととのい椅子が3つ。この小さな空間で全てが整ってしまう感じ。

ピンクのバスタオルを体に巻いて、サウナの扉を開くと、銭湯サウナにしては結構広めの空間。誰もいません。テレビはあるけど12分計はなく、テレビの横に普通の目覚まし時計が置いてあるだけ。温度計はありますが、その数字を見てびっくり。きっかり100度を指しています。確かに熱い。熱いんだけど、でもなんだろう。いつもならパリパリになる髪の毛がしっとりしたままだし、汗は次々に流れるけど苦しくない。感動している私の耳に結構な頻度で「サウナの鍵を持っていない方はご退出をお願いします」というアナウンスが入ります。どれだけずるい人が多いの?(笑)

「初めは3分から5分程度にしてください」と書かれたポスターを見て、素直な私は5分でサ室を出ました。壁のフックにピンクのバスタオルをかけて、目の前の水風呂へ。これがすごかった! 足先を入れた瞬間「これは無理かも」と思うくらい冷たい水風呂だったのですが、膝まで入れたら最後、ズブズブと胸まで浸かってしまいます。私は身長が163センチあるんですが、その私でも胸のあたりまで浸かるんですから相当な深さです。

でも不思議。これだけ冷たいのにすぐに出たいという感じがしない。しっかりサウナで温まった体は、水風呂の冷たさも受け止めています。水風呂を出て目の前のととのい椅子に座った途端、足元から膜が張って行くような感覚に陥りました。そして体全体が何かに包まれたようになって動けなくなり・・・。目の前の景色が少しだけ歪みます。草加健康センターで感じたような強いグワーンとした歪みではなく、もっと柔らかい感じ。そして頭の中が真っ白になっていきました。もう何も考えらない・・・。

もしかして・・・これ?

絶対これだよ。

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はーーー。


初めて自分で「ととのった」と実感することができました。いつもより優しいピンク色のあまみが、腕にも足にも出ています。上の粘土人形のように、自分が美しい人魚になったような気分。海の底にいるようで、水の音しか聞こえない。埼玉から離れるということは、日常から離れるということ。そういう場所に来たからととのえたのか、それともこの「タテバ」が私に合っていたのか。

きっとどちらも正解なのだと思います。

途中でおばちゃん二人が水風呂だけ入りに来て、「孫のランドセルが高くてさー」という話を始めました。「男の子は雑に使うから、安い1万円くらいのクラリーノでいいのよ」とか。いつもなら「何なに?」と噂話に興味津々の私ですが、この日は違いました。

せっかく海の底にいたのに、急に現実世界に引き戻された人魚は、

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こうなりました。

1セット目でととのってしまった私は、そのあと結局4セットも繰り返し、心地よい時間をたっぷり過ごしました。ありがとう、タテバ。

滞在時間 2時間

入館料  手ぶらサウナセット 960円


この後、スキップしながらなんばにある居酒屋に入りました。カウンターだけの席だったので、なんとなく一人でも入りやすいかなと思ったのです。ただ、この店は強烈でした。何にしようかなと迷っているとすかさず「うちは豚足だよ」と推してくる。カウンターの他のお客さんを見ると、みんな豚足を食べてます。嘘でしょ。「絶対後悔させないから」と言われて他のものを頼む勇気もなく、人生初のビール&豚足だけの誕生日。まあ、美味しかったけど、他のものも食べたかったという後悔はある。豚足だけでお腹いっぱいになってしまいました。

あとで調べたらこのお店、「かどや」という名前で、本当に豚足が有名なようです。実際に豚足の写真を撮っていたお客さんもいました。ビールもジョッキじゃなくて瓶ビールでコップに手酌だったし、なかなかいい経験をしました。豚足だけ食べて帰るのは悪いかなと思いながら、「お会計を」と小さな声で言うと、店員さんが食い気味に「1300円!」と言ってきました。きっと豚足とビールだけで帰る人、多いんだろうな。

仕事とはいえ、大阪のサ旅で得たものは大きかった。大満足です。

ととのうって何。


それをずっと探し求めてきましたが、やっと見つけました。これが私なりの「ととのい」だと、確信できたことが嬉しかった。自分をやっと解放できたような気分です。これからもっと自由にサウナを楽しめる。そう思います。

サウナは一人で入りますが、サウナを出るとたくさんのサウナーさんたちが、このnoteやインスタで私を迎え入れてくれます。顔も知らない私を励ましてくださったり、寄り添ってくださったり。最近では「サチコさん」って名前で呼ばれるようになって、距離が一層近くなりました。

近々、100年以上続いている名古屋の銭湯に行きます。そこのご主人がありがたいことに私のフォロワーさんでして、私の過去インスタ投稿をいくつも見てくださっていたので、とても気になっていました。こっそり行ってもよかったのですが、やっぱりお礼が言いたいし、インスタやこのnoteにも紹介したいから許可を取りたい。でも名乗れば顔バレしてしまう。う〜ん。

迷いましたが思い切って「今度お風呂に行きます」とコメントしてみました。するとすぐに「ドリンクサービスしますから、よかったら声かけてください」とお返事が来ました。嬉しかった・・・。初めての生フォロワーさんにお会いできます。

私がサウナのサチコでいる限り、皆さんにもどこかできっとお会いできると思います。実際にお会いすると、色々がっかりさせてしまいそうな要素満載の私ですが、少しずつ新しい出会いを作っていきたいと思っています。どん底から私を救ってくださった顔も知らない皆さんを、私は本当に大切に思っています。これからもニューサチコを、どうぞよろしくお願いします。

ととのって、ちょっと自信がついたかな(笑)

長い記事を最後まで読んでくださってありがとうございました。それではまた。

サウナのサチコより。


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