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サウナのサチコ、あこがれのデハラユキノリさんに会う。

こんにちは。サウナのサチコです。

今日はサウナとはまったく関係のない話ですが、粘土には深い関係のあるお話です。私のインスタをご覧の方はご存じでしょうが、私はフィギュアイラストレーター、デハラユキノリさんのファンです。もともとは古くからの知り合いがデハラさんの熱烈なファンでして(今でも)、その人の影響でデハラさんを知り、作品が好きになりました。

過去に何回か個展に行って作品を買ったり、ガチャガチャを買ったりしていたのですが、今年、サウナの記事に紙粘土人形を添えようと思い立った時から、デハラ熱がさらに上がっていきました。

そこへ今回の個展↓

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これは絶対に行かねば!

デハラさんは自分の作品を個展で売っています。個展初日には、ほとんどの作品が売れてしまうほどの人気。私が個展に行ったのは開催してから3日目でしたから、欲しかった作品はすべて売り切れていました。それでも、手に入らないとわかっていても、画廊に並ぶ作品を目の前にするだけで興奮してしまいます。一人で笑ったり、写真を撮ったりしながら私はかなり長い時間をそこで過ごしていました。帰る頃にはギャラリーのご主人に「私もインスタで小池百合子さんを作りまして」と、どうでもいい話をして粘土アピールまでしました。するとご主人が、9月26日にワークショップをやるから来てはどうかと誘ってくださいました。その日には、デハラさんが実際に粘土を作っているところが見られるからと。

もちろん私、ワークショップの存在は知っていました。でもそういうものにすぐ尻込みする人間でして。下手だし。恥ずかしいし。自分でやるよりデハラさんの手元を見ていたいし。などいろんなやらない理由を必死で見つけてしまいます。

「あの、見学でもいいですか」

「もちろん」

ご主人にお礼を言って、その日は家に帰りました。

そして迎えた、9月26日土曜日。

私は朝からソワソワしていました。見学なんだから別にいいのに、美容院に行きました。見学だから別にいいのに化粧もしました。急に「一緒に写真を撮りましょう!」ということになった時のために、スマホの充電もしっかりしておきました。急に「サインもしてあげましょう!」ということになった時のために、普段買ったことのない高級ノートと、ポスカも買いました。急に「世間話でもしましょうか!」ということになった時の話題作りに、デハラさんのイラストが入ったワークウェイのトートバッグを持ちました。そこにデハラさんが以前奇譚クラブから出していたガチャガチャをいくつもぶら下げて。

ワークショップに参加する勇気もないくせに、そんなことにはありえないくらいの期待をして、準備しすぎるのが私の悪いクセでして。個展会場に着いた頃には勝手な緊張で心臓がバクバクしてました。もう、見学するだけなのに・・・。

ギャラリーのドアを開けるとすぐ目の前にデハラさんが座っていました。私のことなんて見ちゃいないのに震える手で2回目の記帳をして、奥の奥の方に逃げるように入って行きました。柱の陰からチラチラ、デハラさんを見てました。もうこうして書いているだけで自分が怖い。

会場にいるのはワークショップに参加される限定10名の方達。見学は私と、たまたまその時間に個展を見に来たお客さんくらい。参加者全員が大きなテーブルを囲んで座ると、デハラさんが粘土をこねながら今日の制作の説明を始めます。みんなでビールを飲みつつ、会話しながら緩く進んでいく感じ。

私はというと、準備品で異様に膨らんだトートバッグを握りしめながら、参加しなかったことを激しく後悔し始めていました。どうして勇気を出して早めに申し込まなかったのか。どうしてあそこに一緒に座って粘土を教えてもらわなかったのか。肝心なところでいつも私はこうだ。何だかんだと理由をつけて逃げてしまう。運も逃してしまう。こんなとこにいて写真なんか撮れるわけないじゃん。サインなんかしてもらえるわけないじゃん。今日の主役は勇気を出してワークショップに参加した人だけなんだから。バカだな私は。何をやっているんだろう。・・・勝手に期待して勝手に落胆するという、いつものループにはまりました。


でもしばらくデハラさんを見ているうちに、そんな後悔も忘れていました。デハラさんの手の中でみるみるうちに出来上がっていく人間たちがすごくて、どの動きも見逃すまいと必死になってました。

やがてデハラさんの説明が一通り終わり、皆さんが代表者作りに取り掛かり始めます。デハラさんは一人ひとりの席を回りながら声をかけています。いいなぁ。羨ましい。デハラさんがふと立ち止まりました。そして、そして、その時はいきなり来ました。

「それ、どうしたんですか」

デハラさんが私のトートバッグを見て、私に話しかけている・・・?

「買いました」

当たり前のことを言いました。それから慌ててネットで購入したことを付け加えました。ついでにぶら下がっているガチャガチャも手の上に出して、デハラファンであることをアピール。それからそれからインスタで小池百合子を作って、デハラさんに「いいね」をしてもらったことも話しました。デハラさんは覚えていてくれました。テンションが上がりまくる私。他にもいろいろ粘土の話をしてから、最後にデハラさんが、

「粘土、やりたくなって来たでしょ」

そう言いました。そして参加者の元へ戻って行きました。

やりたい。私もやりたい。本当はやりたいんです。心の中で何度も叫んでいたら急に大きな声が出ました。

「デハラさん! 私も参加していいですか!」

定員はすでにいっぱいだというのに、私は何を言ってるのか。でももう止まりません。

「いいですよ」

とデハラさんに許可をもらい、私は急いで受付へ。ギャラリーの奥さんも「普通ならお断りするんですが、ここまで来てくださったからオッケーです」と言ってくださいました。受付で参加費を払って振り返ると、デハラさんは自分の隣に私の席を作ってくださっています。と、隣の席・・・! 歩く足がもつれて、なかなか前に進まない。

初めから参加されている皆さんにいろいろと申し訳ないので「すみません、途中からすみません」と言いながらフラフラとデハラさんの隣へ。デハラさんから粘土を受け取り、ニギニギ柔らかくします。


この日のお題は「代表者」。

デハラさんの個展が「代表者展」でしたので。皆さんそれぞれに自分が思う代表者をすでに作り始めています。聞けば自宅で練習して来た人もいるとか。すごい。私は何を作ろう。私は私は・・・。決まってるじゃない。私の中の代表者はデハラさんしかいない。そこから私は夢中で作り始めました。

が、これがひどい。本当にひどかった。よくインスタに粘土作品あげてるなんて偉そうに言えたなというくらい、ひどい出来。言い訳しますとデハラさんの使っている粘土はすごく柔らかいもので、緊張して力が入りすぎている私が握ると、すぐにぐにゃっと崩れてしまいます。さらにもたもたしていると乾いてヒビが入ってくる。立たせてみると頭の重みで足がどんどん短くなっていく。あっちを伸ばし、こっちを伸ばしているだけで全然思うような形にならない。遅れて参加したのもあって、焦りまくりました。

ちなみにデハラさんが今回の個展に出されている作品は、各国、各界の代表者が様々な格好をしています。そしてかなりの確率で男性は大事なところを出しています。デハラさんが冗談で、「皆さんの作品も出てていいんですよ」的なことを言ったのがきっかけで、何人かはとても家に飾れない、家族に見せられないような下半身を出している代表者を作り始めました。

てことは、よ。

私はどうしたらいいんだろう。だって私はデハラさんを作っているんだから、デハラさんの下半身を出すってこと? 考える私の隣にデハラさんが戻って来ました。私の口は思わず、デハラさんに向かってこう動いていました。

私はデハラさんを作ることにしました。だから大事な部分はデハラさんにつけてもらってもいいですか。ご自分のサイズのものを

言っ・・・ちゃっ・・・たよ(涙)

なんで言うのかなそういうことを。別に面白いことを言おうとしてる訳じゃないんです。ただ人が言いにくいことほど、言いたくなる性格なんです。どこからかクスクス笑う声が聞こえてきて、ホッとしました。こういう時の沈黙は辛いから。デハラさんはというと別段私の言葉に驚きもせず「じゃ盛らなきゃ」と本当に自分で大事なところを作って、つけてくれました。

これ ↓

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大丈夫だろうか私。こんな写真載せて。

デハラさんが私の作品に手を加えてくれている。しかも大事なところを。なんか、おかしくて嬉しくてありがたくて、笑ったらいいのか泣いたらいいのかわからずに何枚も写真を撮りました。それから、

結局、ノートにサインもしてもらいました。

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ほんの30秒くらいで書きあがったアベさん。すごかった。私の差し出したノートを見て、デハラさんも制作にあたってノートを作っていることを教えてくださいました。実際のノートも個展に展示してあり、時間の許す限り読んできました。それから、

結局写真も一緒に撮っていただきました(笑)

ここには載せられませんが、私、すんごく嬉しそうな顔してます。

私の期待は、期待以上の結果をもたらして終了しました。こんな幸せなことがあっていいんだろうかと、今でも信じられません。この日のことが事実であるとしっかり腑に落ちた頃、デハラロスにならないかと心配です(笑)


デハラさんは海外でもファンが多くて、インスタのフォロワーも1万2千人くらいいます。私はその中の一人です。いきものがかりやお菓子の明治なんかともお仕事しているすごい方で、雲の上の人です。でも私の隣で粘土を教えてくれていたデハラさんは、誰よりも腰が低くて誰とでも気さくに会話してくださるあったかい人でした。私のような図々しいファンに対しても常に敬語で、穏やかな口調で面白いことを言ってくれて、作品を決して否定せず、ずっと褒めてくれました。それはもちろん私だけでなく、他の参加者の皆さんにも同様に。

ありきたりの言葉で恐縮ですが、本当に才能のある人はこうべを垂れる。爪を隠します。だってアピールなんかしなくてもその才能は結局人に見つかってしまうから。反対にちっぽけな私は、なんとか自分を知ってほしくて大きく見せたくて、アピールをする。ろくに作品を作らずに。

デハラさんに私はどう映ったかな。いやそんなことより、サインしてもらった分厚いノートが文字や絵でいっぱいになるくらい、私は創作を続けます。


最後になりましたが。粘土の代表者「デハラユキノリさん」です。

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ひどいでしょ。本人の前でよくこれが作れたと我ながら思います。そしてせっかくデハラさんに作ってもらった大事なところ、出すかどうするか迷った挙句こうなりました。期待した方、ごめんなさい。デハラさんにもごめんなさい。


今日の話はこれで終わりです。サウナの記事じゃないのに最後まで読んでくださって、ありがとうございました。そしてデハラユキノリさん、本当にありがとうございました。またきっとお会いできますように。


サウナと粘土のサチコより。


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