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サチコのことわざウナ50『蒸しの知らせ』

こんばんは。サウナのサチコです。

ことわざウナ、お久しぶりです。最近私のnoteを読んでくださるようになった方はご存じないかもしれませんね。以前私が、サウナのことわざ「ことわざウナ」なぞを考えていた、暗い時代を。

何でまた復活したかというと、急に思いついたからです。勢いです。

「蒸しの知らせ」

元のことわざは、もちろん「虫の知らせ」です。

「虫の知らせ」の意味は、「よくないことが起こりそうであると感じること」です。いいことが起こりそうな予感がするときに使う方もいますが、それは間違い。嫌〜な予感がするときに使う言葉です。じゃあ「蒸しの知らせ」はどんな時に使うのか。

それを今からご紹介しましょう。私の体験を交えて。今日、そんな「蒸しの知らせ」を感じる出来事がちょうどあったのです。

今日は1月26日。風呂の日です。


朝から私は、仕事帰りに銭湯サウナに行こうと決めておりました。その場所は「寺島浴場」。ずっと行きたいと思っていたんです。しかもこの26日の夜、サウナーなら誰もが知るテレビ番組「サウナを愛でたい」で、寺島浴場が取り上げられるというではありませんか。番組終了後に人気が急上昇して混み出すと困ります。これは是非とも今日の夕方のうちに行っておこうと気合を入れ直しました。そんな私ですから、仕事中も考えるのは寺島のことばかり。寺島浴場の文字が寺島欲情に見えてくるほどです。もう、寺島サチコと呼ばれたいくらい。

東京での仕事(バイト)を早めに終えて、早速寺島浴場がある東向島駅に向かいました。駅近というのも魅力の一つ。方向音痴の私でもすぐに寺島浴場の看板が目に入りました。でもなぜか暗い。このご時世ですから、節電しているのかもしれないとすぐに思いました。サウナに関してはなぜか私、ポジティブなのです。入り口はどこかな〜とビルの中に入ってみたり、外のコインランドリーをうろついたり。この時点でもまだウキウキしている私。

みなさんはもうお分かりですね。そうです、寺島浴場はこの日、

臨時休業していました。

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おそらく入り口はこの看板のすぐ横。今日はシャッターが閉じていました。それすら私はすぐには気づきませんでした。入る気満々でしたから。しばらくしてシャッターに気づき、そこに貼られた休業の紙を見たときは、ショックで倒れそうでした。その証拠写真を撮るのも忘れるほど。

これまで一度も定休日とか、休業しているサウナに出くわすことがなかった私がラッキー過ぎたのです。私は自分の「サウナ運」を過信しておりました。

いや、別に今日だって運が悪いわけではありません。寺島浴場にはまた来ればいいだけのこと。今日は別のところに行こう。これはきっと「蒸しの知らせ」。次にいく銭湯サウナできっとすごくいいことがあるよ!というお告げに違いありません。「虫の知らせ」の本来の意味も忘れて、すっかり気持ちを切り替えた私は、もう一つ行きたかった場所へ向かいました。それは

曙湯

東京スカイツリーラインの五反野駅からこれまた徒歩圏内の所にある、渋〜い銭湯サウナです。以前西新井に住んでいた私にとって、五反野駅はご近所さんのイメージ。どこか懐かしい感じがします。一度も降りたことないけど。

東向島から草加方面の下り電車に乗りました。電車は空いていて、私はスマホで曙湯の場所を再度確認しながら五反野駅を目指します。目指していました。目指していたのに・・・すっかり乗り越しました。

なぜか五反野は西新井の先だと思っていたんです。西新井と草加の間の駅だと勘違いしてました。本当はもっと手前、北千住と西新井の間にあります。なんで間違えたかな。西新井に住んでたなんていう変な自信があって、確認しなかったのがまずかった。

結局私は各停に乗り換えるタイミングを逃しまくって、草加まで行きました。西新井どころか何で草加まで行ってしまったのか・・・(埼玉県民しか分からない話ですみません)。草加から急いで上り電車に乗り換えて、なんだかすごく長い旅をしたような気分で五反野駅にようやく着きました。もう、懐かしいだなんていう穏やかな気持ちはどこにもありません(そもそも初めて降り立つ駅だし)。

とにかく早く曙湯に行きたい。渋いサウナに入りたい。このモヤモヤした気持ちをスッキリさせたい!と思いながら、走りました。私、温浴施設が近づくといつも走ってしまうんです。もちろん走りながら例のごとく道に迷いましたよ。だって曙湯は駅から10分くらいあるから。駅から3分までしか自力では着きません。今回も途中で無理だとわかったので、位置情報オンにしてmap開きました。

どんどん目的地が近づいてきます。現在地を示す青い丸が、順調にぴこぴこ曙湯に向かっています。曙、曙、とつぶやきながらようやく見えてきた強い光。ここだ!

しかし。

光っていたのは自動販売機でした。立派な銭湯の建物は、またもや真っ暗です。節電かしら(二度目)。嘘です。今度は自分でもすぐに分かりました。

臨時休業してました。

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呆然。

曙湯の写真が暗くてすみません。家に帰ってスマホで撮った写真をコピーしようとしたら、黒のインクが途中で切れてしまい、一枚しかコピーできなかったんです。

どこまでツイてないんだ、私。

この時点ではコピー機のインクがないことまでは予測してませんでしたが。とにかく、目指した銭湯が2軒とも閉まっていることに自分でも驚きました。しかも曙湯は今日だけでなく、もっと前から休業していたようでした。

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工期未定・・・。

工事してほしいです。いつか必ず入りたいです、曙湯のサウナ。

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もう、ちょっと立ち直れない。

3軒目のサウナを探す元気は、どこにも残っていませんでした。

こんな夜は、せめて一杯だけでも飲んで行こうかな。カウンターでひとり、小一時間飲むくらいなら・・・と思って店を探すと、どこも「19時でラストオーダー」と店の前に書いてあります。この時すでに18時45分。

帰ろう。

電車に揺られながら考えました。なんか私、悪いことしただろうか。いや、ここのところツイてたからな。こんな日もあるよ。人生は振り子。揺れが大きいほど、楽しみと悲しみが交互に体当たりしてくる。今日はたまたま負の方に大きく振れただけ。そういえば朝から何となく変だったし。

ん?

朝から何が変だったんだっけ。

思い出しました。母です。同居している母の具合が、朝からちょっと悪そうでした。もう年だし、あそこが痛い、ここがだるいと調子の悪さを訴えるのは日常茶飯事。今日もそんなに気にしていないつもりでした。熱もないと言ってたし。でも・・・。こんなにサウナに拒まれたのはもしかして「蒸しの知らせ」? 早く家に帰れということなの?

何だかちょっと不安になってきました。自宅の最寄駅に着いてから、家路に急ぐ自分の足が、どんどんどんどん速くなるのが分かります。信号にことごとく引っかかり、その度に具合の悪そうな母の顔が浮かびます。自宅が見えてきました。最後は全速力です。

玄関に入ると、あちこち電気がつけっぱなし。母を呼んでも返事がありません。浴室の電気がついていて扉が少しだけ開いています。お風呂の蒸気が脱衣所にまで漏れていて・・・。私はもう悪い予感しかしませんでした。

「お母さん!」

と呼んでも返事がありません。扉を開けるのが怖くてもう一度母を呼ぶと、ようやく

「はん?」

という間の抜けた声が聞こえてきました。

「おかえり。早かったね」

母、生きてました。何だ生きてた、はははははー。

「何でドア開けたままおふろ入ってるの?」と尋ねると、「気がつかなかった」と。「閉めたつもりが開いていた」という普通の答えが帰ってきました。会話はそれで終了。

とにかく無事でよかった。

虫の知らせ

それは自分が勝手に作り出しているものです。自分の中にある不安や心配が作り出すもの。今回私が聞いたのは「虫の声」でした。でも、


蒸しの知らせ

は良い意味にだけ使うもの。

私はこれまで、その「蒸しの知らせ」に従って、様々な温浴施設で楽しい経験をしてきました。今日はここに行こう!という自分の心の中にある「蒸しの声」に従った結果です。でも時折「蒸しの知らせ」は、虫の声に邪魔される時があります。そうすると大体ととのえません。今日も最初は「蒸しの声」が聞こえていたのに、途中から「虫の声」に邪魔されてしまいました。だから単なる偶然が重なっただけなのに、その理由を無理に探してしまいました。そして事実を捻じ曲げてしまうんです。それじゃあ楽しくありません。今日の体験もこうして書けばネタなのに。楽しいことの一つだったのです。

自分の中の「蒸しの声」、そしてその知らせにいつも素直に正直であれば、毎日はもっと楽しくなる。「蒸しの知らせ」とはそういう意味です。


はい、

こんな風に「ことわざウナ」は無理やり作ってます。次回があるかは分かりません。とにかく寺島浴場も、曙湯も後日必ず行きます! 一度会えなかったおかげで、より恋しい人になりました。実際に行くまでは「サウナを愛でたい」は見ません。見てから行くと楽しい発見が半減しそうだから。


いつもと違うこんな出来事がなければ、今日は記事を書いていなかったと思います。noteを開いて、初めて気がつきました。今日が1月26日だということを。昨年1月26日は、私がこのnoteを書き始めた日。今日でちょうど1年が経ちました。

この1年、読み続けてくださった方、応援してくださった方、本当にありがとうございます。皆さんのおかげで私はまだ、書き続けることが出来ています。たとえ読者が一人でも書き続けよう、自分の心と身体がきちんと「ととのう」までと決めてはいましたが、まさかこんなにたくさんの方に読んでいただけるとは思っていませんでした。そしてまさか、自分がサウナのことを『日刊サウナ』で書かせてもらえるようになるとは。一年前には微塵も考えていませんでした。


今の私は、「蒸しの知らせ」がよく聞こえます。

サウナはいいよ。

サウナの記事を書き続けようよ。

サチコはサウナで幸せになれる。


私、その声を信じています。この声が聞こえるようになったのはみなさんのおかげ。心よりお礼申しあげます。ありがとう。


2021年1月26日 

サウナのサチコ

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