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第16話 よしかわ天然温泉ゆあみで、私とあなたが「ととのう」まで

こんにちは。サウナのサチコです。

連休明けの月曜日、早速サウナに行ってまいりました。今回はインスタのフォロワーさんからの紹介、「よしかわ天然温泉ゆあみ」です。JR武蔵野線吉川駅北口から徒歩1分という、駅近の中の駅近。通りを挟んでLIFEがありました。

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こんな感じで、駅からの大通りに面しており、温泉ののぼりがなければ見逃してしまいそうな、一見普通の建物。この小さな鳥居をくぐると、

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なまず?が、お出迎えしてくれます。

1階がフロントで、2階と3階がお風呂。サウナは3階です。駅近でも地下1500メートルから湧き出る天然温泉。源泉かけ流しなのがすごい。

2階が脱衣所なので、サウナに行くには真っ裸で階段を登らなければなりません。私はこれが苦手・・・。確か「ふくの湯」でもそうでしたが、こちらの方が階段が広くて長い。誰にも会わないようにと願いながら階段を駆け上がり、まずは3階のお風呂とサウナに向かいました。体を洗っていると目があったご婦人から「こんにちは」と声をかけられました。「え?私?」とあたりを見回しているうちに、ご婦人はお風呂の方に行ってしまいました。そのあともあちこちで挨拶が交わされていて、そうか、ここはかなり常連さんが来るところなのだと納得しました。

室内の一番大きなお風呂はかなりぬるく、常連さんたちのおしゃべりに花が咲いていたので、私は蜜を避けてそのままサウナに行くことにしました。

最初に入ったのはスチームサウナ。ヨモギの香りに包まれます。入り口のところに「サウナ」という文字が見えたので、てっきりここが高温サウナだと思って入ったのですが、違いました。でも誰もいないし、せっかくだからと奥まで入ってみます。40度くらいの低い温度ですが、蒸気がすごくてもう少し熱く感じます。

高温サウナは水風呂を挟んで隣にありました。ドアを開けると、久しぶりに感じる強い熱さにちょっと腰が引けます。今は一度に5人しか入れないようで、平日だったためか運よく3人で蒸されました。温度計を見ると90度を超えています。そうなると私は、体の先という先が痛くなってきます。タオルであちこち押さえながら耐えていると、残りの二人は平気そうな顔で腕組みしたままテレビのお相撲を見ています。さすが常連。

と思ったら、ん? 

二人ともタオルをお尻から前に巻いているではありませんか。まさか相撲を見るときはこのスタイル? まるでふんどしかオムツをしているかのような・・・。 初めは大事なところが痛いからなのかなと思っていましたが、どうやらこのご時世、サウナマットに直にお尻をつけるのを避けるためにやっているようです。ここの人たちはサウナマットを持参せずに、みんなこういうやり方なのかも・・・。

私もちょっと試してみました。「ザ、ゆあみスタイル」 ↓

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落ち着かない・・・。

お相撲の決着がつくまでサ室を出る様子がない二人を残し、私は水風呂に直行。水温計は14度くらいを指していましたが、体感では16度くらいでした。1分くらい入ってから出ると、サウナが熱かったせいか腕にあまみが出ています。さすが「ゆあみ」・・・。

ここに来る人は、一度はこんなダジャレを言っているに違いありません。

外気浴は・・・と、ととのい椅子を探していると、露天風呂と壁を隔てたところに広いスペースが設けてありました。椅子が4つくらい間隔をあけて置いてあります。外気浴だけの空間があるなんて贅沢だなあと思いましたが、椅子をお湯で洗ってから座ることができない・・・。まあ、露天風呂まで戻ればいいのですが、面倒です。サウナマットもサ室の前の棚に置いて来てしまったし。

仕方なく、ゆあみスタイルをととのい椅子でも実践しました(笑)。曇り空から小さな雨がポツポツと落ちて来ます。あまみが出たのに、今回もととのわなかったな・・・と考えていたら、ふと2階のお風呂に行っていないことに気がつきました。


2階は小さなお風呂と薬湯があります。お風呂の方には5つのパワーストーンが置いてあって、悩みに応じて好きな石を触るとパワーをもらえると書いてあります。どれにしようかなと説明書きをみていると、どれも胃腸やら腎臓やら膵臓やら、内臓に関する効果しかなく、よくある金運だの仕事運などという石とは違うようです。まあ、温泉だしね。

これと言って触るものが見当たらない幸せ者の私は、何となく5つの石の前でそっと手を合わせただけで、隣の薬湯に移ることにしました。

薬湯は見るからに効能がありそうな淀んだ緑色?茶色?をしています。入るとやっぱりピリピリ痛い。私は肌が弱いのでここは無理だと思い、すぐに出ようとしました。が、洗い場にいた二人のご婦人の声が耳に飛び込んで来ました。

「大竹さん(仮名)にはね、みんな一言いいたいのよ」

「あら、そうなの?」

一人はかなり憤慨している様子。面白そうなので、もう一度湯船に浸かり直しました。

「大竹さんて、どんな人だったかしら」

「知らないの? 今日も上の階にいるわよ。いつもこの時間にぬるいお風呂に入ってるの」

一体、大竹さんが何をしたのか。なぜみんな一言いいたいのか。もしかしてここのヌシ? そういえば、サ室のテレビに「番組は替えられません」とか、他のサ室にはない注意書きがたくさんありました。ヌシだ。きっとヌシがいるんだと、ちょっと嬉しくなって来ました。でも私の体は薬湯にやられてもう限界です。「ぬるいお風呂に入っている大竹さん」という情報しか得られないまま、仕方なく3階に上がりました。

その「ぬるいお風呂」には5人いました。この中の誰が大竹さんなのか。私も入って探ってみようかと思いましたが、やめました。だってみなさん、とにかくよく喋るんです。ソーシャルディスタンスも取れそうにありません。そこでぬる湯が見えるところにある椅子に座って、様子を伺うことにしました。まるで裸の探偵です。すると5人のうちの4人がお風呂を出始めました。そしてその中の一人が

「じゃあ、大竹さんまたね」

と言っているではありませんか。つまり残った一人が大竹さんだっ!!

大竹さんは軽く会釈をするだけで、声を出しません。さすがヌシ、貫禄が違う。私は大竹さんと二人でぬる湯に浸かることにしました。大竹さんは私をみようともせず、自分の横を通り抜けていく人をゆっくりと目で追っています。そのうちこの優しい顔が豹変して「あんた、何やってんのよ!」と叱り出すのかな・・・とワクワクして待ってみますが、一向に声を発しません。それどころかどんどん菩薩のような顔になっていく。やがてゆっくりと立ち上がり、たっぷりとした体を左右に揺らしながら露天風呂の方に歩いて行きました。

どうみてもおとなしいおばさん。むしろ悪口を言っていた人の方が険しい顔をしていました。ただの個人的な悪口・・・か。

がっかりです。これまで埼玉の古いサ室にはヌシがいるとあちこちで聞いて来たので、ようやく会えたのかと思ったのに。でも、ここのお風呂にはどうやらマウントがあるなというのは感じました(笑)

脱衣所で髪を乾かしている間も、お客さんがスタッフと談笑していたり、今日こなかった人の噂話をしていたり。平日17時の「ゆあみ」は殆ど長屋です。例えば「あそこの宝石商のご主人は、マスクの紐のところにダイヤをつけているのよ。でもお財布は奥様が握ってるんですって」とか、「その奥様は自衛隊の偉い人だって」とか。宝石商と自衛隊・・・そんな夫婦がいること自体驚きです。

話の途中で一人のご婦人が「そうだ、胡瓜いる?」とロッカーから袋を取り出して来ました。「立派ねえ」「新鮮ねえ」とお相手は絶賛しますが、「欲しいわ」とは言いません。でもあげてましたけど。

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源泉掛け流しに、濃ゆい薬湯。通う人も濃い(笑)

伝統ある銭湯はお客さんも常連。みんな顔見知り。これが銭湯の本来あるべき姿なのかもしれません。もちろんサウナだって手を抜かず、しっかり熱い。サ室のテレビも相撲という、どこまでも「そうこなくちゃ」というところを押さえている施設でした。

帰りも私が外に出ようとすると、後ろからご婦人が「あら雨ね」と空を見上げながら声をかけて来ました。「これくらいなら傘、いらないね」と言いながら、結構大粒の雨の中、のんびりとLIFEに向かって歩いて行きました。これから夕飯の買い物かな。

「ゆあみ」で一番印象的なのは、やっぱり「人」のようです。


滞在時間 2時間

入館料  1000円(館内着、タオルは含まれません)


関東の梅雨明けもそろそろでしょうか。それではまた、埼玉のサウナでお待ちしています。皆さん楽しい週末をお過ごしください。

サウナのサチコより。


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