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【観劇感想】「絶唱サロメ」を観て

とある作品で、鈴木勝吾さんにハマり、出演作品を漁っていたところオススメ頂いた作品である。感謝しかない!

最初に言っておくとイラストは絶唱サロメの内容に関係ない。私の趣味なので、大目に見てほしい。トレス素材借りました!

本作は、池田純矢さんが脚本・演出を手掛けるエン*ゲキシリーズ4作目これは、騙されたと思って見て欲しい……。

はじめに


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「絶唱サロメ」

古典の「サロメ」を題材にしつつ、現代のエンターテインメントとして成り立つ素晴らしき作品なのではないだろうか。と言いつつ、古典の「サロメ」の知識も、某wikiで読んだ程度なので、語れることはない。

ダイジェストを見た際に、何故おもむろにマイクを取り出すのか、気になって仕方がなかったのだが、なるほど!面白い!その上、きちんと成り立っている事に驚いた。わりと脚本の合理性気になってしまう質なのだが、ストレスほぼ無く観れた。

場面展開として利用されている吊るしの大道具(背景というのが正しいのか……)もキレイに機能していて、とても良いなと感じた。

という事で、冒頭にも書いたが、私的感情により鈴木勝吾さん演じるヘロデ王(タイトルのサロメは王女の名前)に重きを置いて語りたいと思う。ネタバレに配慮していないのでこの先は注意である。

以降ネタバレ?あり


ヘロデ王

本当に求めていたものと、それを手にする手段を間違えた男だと感じた。正確には、本当に欲しい物が何であるのか分からなかったのかもしれない。

勝手な想像なのだが、ヘロデは兄者が羨ましくて仕方がなかったのではないだろうか。妻を持ち、稀な娘を持ち、王であり、人に慕われる姿に。自分には無い。兄者に置き換わる人間になりたかっただけなのかもしれない。そのような時に、大きな力を手に入れてしまう。望めば、誰をも動かすことが出来る。だから、力づくで奪った。

ただ、大きな力を手に入れた人間の行く末は、いつも決まっているように思えてしまう。一度得たものを、失う事は怖いものだ。欲しいと思えば、何でも手にする事が出来るような状況に、陥ったとき何を願うか。

少しでも、安泰を。

少しでも、幸福を。

一つ叶えば、さらなる高みを望む。

常に、過去より今ではなく、今より未来のより幸せを。

永遠に満足することなど出来ない。

――欲望。

”永久の幸福を願う”は人の定めのようでゾクゾクした。

彼に思いを馳せると、本当の意味で、彼が自らの手足で得たものは何もなかったのかもしれない。その事がひどく哀しく感じた。ただ、自分ではない他人に慕ってもらいたかっただけなのかもしれない。そのために必要なものが王座では無かった事に気付いただろうか。力づくで奪ったモノたちは一時を満たしても永遠は満たさない。。。

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ヘロデ王のここが好き

そのようなわけで?ここからは、もっと私的な好きポイントの叫び!本当にネタバレかもしれないので、よろしくお願いいたします。

ビジュアル!最高!!衣装が幸せです。赤いマントを華麗に翻すお姿や−

グラスを片手に満足そうにお飲み物を召すお姿!なんと?尊大な態度でそちらに居られるのか!!!好き……”この世は我が物”感満載なヘロデ王好き!何を言ってもどう思われても、力があれば”モンダイナイ”ですもんね!気に入らなければ排除というお姿素晴らしき!!傲慢!!

自分を持ち上げる話をしてくれる楽士のこと、気に入ってるんだろうな。

言葉の端々から、地位と権力を振りかざすことで我が身を守る感。そして、自らの地位と権力を揺るがすものは、何であれ排除する姿!もはや、愛おしい。当事者になるのはゴメンだが。

気分の浮き沈み激しい奴だな!本当に!ここまで来ると、もう心が壊れかかっているのでは???と思ってしまうよヘロデ王。こんなにも機嫌が分かりやすいのに、あやしてくれる人はいなかったのかな。自我を保つギリギリを生きていそうな雰囲気が好きです。

サロメをみるヘロデ王!女の視点から見ると気持ち悪さ満載笑でも、その手の柔らかさからも、手放したくない大切さ感じます!2番め(?)に大事なコマですものね!精一杯、サロメの意思を尊重する事で機嫌をとろうとされるヘロデ王のお姿や。。。

ヘロデ様、兄者とのやりとり……。(私ヘロディアが一番悪者だとおもってる笑)そして、ここで”ヴォイス!”するのです。”ヴォイス!”がなんなのかについて知るのはこの先なのですが、ある意味ヘロデ様が強い意志を持っておられるのがわかる。そう、強い。それなりの頭脳も持ってるだろうなとも感じるし、的確に相手の嫌な事を突けるあたり、本当に能力の使い道を誤らなければすごい人なのでは?と思う。兄がいる限り、弟の立場と言うものは、中々うまく行かないものではありますが。。。とにかく唱好きです。そして、魅せる。

サロメに代わりのものなら望むものをやろうと色々と畳み掛けるシーン。面白かった。既に時代を感じるアレコレに、きっと数年後観たときもああ、あの時は……と懐古するだろう。そもそも、絶唱サロメ自体、懐古の話。回顧ではなく懐古でいいよね???ヘロデ王の声の張り上げといい、テンポといい最高かな?あと、この一つの説明というか目的のために語り続ける口上が古典作品っぽいなと勝手に思う。と、同時にお値段そのまま!の話にまで繋げる手腕面白い。このシーンのテンション分かりやすいなってなる。なりません?笑 古典を感じつつ古典が苦手なんて思わせない素敵な瞬間だと思うのです。

一人になって、ヘロデ王の吐露する言葉に胸が締め付けられる。ネイルも相まって、指先がより強調されているのですよ。美しい……。ヘロデ王……。苦悩に殺されそうになりながら、立ち上がるも欲望の為せる技でしょうか。神を信じ、神に見捨てられたと思い、神をも凌駕する存在になろうとする。そして最後の「アーメン」の言い方が。。。脚本だと感嘆符が3つなんですよね。掻き乱される私の感情。ヘロデ王が親身になって相談できる相手が一人でも居れば、彼はここまで追い詰められることも無かったのだろうかといった、ifを勝手に考えてつつも、このシーンのあらゆる美に感動する私がいる。

ヘロデ王最後のセリフに至るまでが、もう、美しいやら辛いやら。

サロメがヘロデ王を腕で抱いたときのヘロデ王の喜び、からのサロメの口からあやつの名前が出た瞬間の現実へ引き戻されたような様。。。

切りが無いのですよ。本当に。観てて胸が痛い。

まとめ

シナリオで見ても、役者で観てもとても楽しい舞台だった。ほぼほぼ語っていないが主演はヨカナーンとサロメなのでお間違いなく……!

本当に出会えて良かったなぁ。

重ね重ね、オススメしていただきありがとうございますの気持ちでいっぱいです。

そう、ヘロデ王ばっかり語っておりますが、その他の方たちもあれやこれや、素敵シーンいっぱいある!!ので楽しいです!!!

ナラボート良心。


唐突に勝吾さんの話になると、台詞で声を張り上げるお姿を見たことが無くてですね、(ミュージカルしか見てこなかったというのもある)私、静かに怒る姿というか役しか知らないのですよ。絶唱サロメを観て、めっちゃいい声していらっしゃる!!!!!!!!となった私です。いや、本当に!冒頭の悪そうな笑い方とか、尊大なお姿とか、知らんっ。

俳優さんだなって思った瞬間ですよね。心掴まれた瞬間といってもいい。

某アプリゲームで、ファンが表で見て知っている事と、御本人の実際は違う事があるんだ、という事を学んだのです。私は、何事もほんの一面しか知らない。それなのにアレコレ勝手に願って、勝手に絶望して、私は良いご身分だ〜と思いつつ、脱することが出来ないジレンマに苦しくなりつつ今に至る生活を送ってる笑 その某アプリゲームは、アイドルの話ですが、なんかハッとしたんですよねぇ。(ちょっとニュアンス違うのはわかっているのですが、こう、勝手に想像していた勝吾さんの像と、別の役をやっている勝吾さんの像の差といいますか、勝吾さんだと勝手に今まで思っていたものは、勝吾さんではなく役だったと言いますか。。。)

一歩踏み込んだら世界は広かったという気分です。ただ、他の俳優さんでは他作品観ている方もいたのですが、これ程までに衝撃を得たことがなく、驚き、沼るの現在に至るのです。激情にかられるお姿に心を奪われた。色々なものをこれからも魅せて頂けるのだろうなという、勝手な望みを持ちつつ、魅力に取り憑かれているのでした。