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今年もラマダンがやってきて、早くも終盤。「ラマダンカリーム」に、ほっこりする深夜1時の歯科医院。

あっという間、その言葉しか出てこない。

一年ってあっという間だ。
もうラマダンだなんて。
しかも、もう終盤。

ラマダンとはヒジュラ歴で第9番目の月の呼び名
新月から次の新月が確認できるまでの、
約29か30日間日が登っている間はファースティングをする。



時間の感覚が不思議な感じで非日常。
家族揃って、断食明け後のテーブルを囲む一か月。

必ず一緒に、デーツから。
そして熱々のスープを頂く。
うん、染み入る。。

忙しい毎日で、全員揃ってのんびり食卓を囲み、お茶を飲むって中々ないこと。


毎日晴れているから天気予報は誰も見ないけれど
日の出日の入りについて確認する日々です。

朝 午前4:47 日の出(食べるの終わり)
夜 午後6:42日の入り(さあ、いただきます)

断食してよかったのは、
普段便秘な自分ですが、すっきりお通じがある。
身体が軽い。


そして、食べ物だけじゃなくて
もっと大切なこともある。

人に優しく
嘘をつかず
寄付をする。
助け合う。

ラマダンだから、人に優しくしよう。
ラマダンだから、声を荒げない。
ラマダンだから。

身も心も、きれいを心がける。
部屋も
家も。


なにしろ、家時間はたっぷりある。
勤務時間は国で2時間短縮の6時間勤務。


国民であろうと、
宗教が何であろうと、
断食しているのか、していまいと。

国中全員2時間短縮勤務。
一日があっという間だ。


歯医者に勤める私は、
夜8時から夜中の1時半までの5時間半勤務。
30分少ないのは、おまけしてもらってる。
ラマダンだから。

ラマダンだから。
そう、この言葉を繰り返す。

深夜1時を過ぎて、もう帰ろうかと思う頃、
ドアの外に並ぶ人たちがいた。
見たことない感じ、患者さんではないけど、何かあったらのかな?

何で入らないんだろうと思いつつ、
「どうぞどうぞ、入ってください。」と声をかける。


歯科の治療は高額だ。
歯科用保険も高額で、
持っている人と、そうでない人がいる。


なんとなく
支払いのことを気にしているんだろうと思った。



ドクターは彼らに聞いた。
「どうしたの?」


状況を聞く。
「お金はいくら払おうと思ってきたの?」

「50デュルハム(日本円で約1500円)」

「OK。準備しますね。ラマダンカリーム。」(ラマダン おめでとう)


レントゲンだけでも、その値段以上。
治療費も、材料費も、クリニックにとってはマイナスだ。

それでも、ドクターは言う。
一年で今だけ、必要な人に治療して、喜んでくれるならいいんだ。


「ラマダン カリーム」

治療が終わった患者さんが、気持ちよさそうに、去っていった。




それを見て、受付の人が言った。

「良いよね、ラマダンって」

人生の徳を積むとでも言うのだろうか。


ラマダンって、
一年で一番、
歯科医院がほっこりする時。

ドクター達も普段より心の余裕をもって、
仕事に向かっている。


なんかいいな、この雰囲気。
そう思った深夜1:30


もう帰ろう。
おやすみなさい。