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余命

昨日の午後から母がずっと寝ていた
息苦しそうな様子もなく
すやすやと寝ていた

今朝も全く起きる様子がない
昨日の午後から水も栄養も
何にも注入していない
経鼻経管が外れたので注入はできない
自分で飲んで食べるしかない
だから
買っておいたアクアサポートゼリー

容器に移し替え
スプーンで少しづつ口に運ぶ
少しだけ嚥下できる
訪問看護師さんが来たので中断
口腔のケアやおむつ交換などしていただく
その間母はずっと眠そうで話もしない
そう、昨日から鼻のチューブとともに
なにかが母から抜け出したようだ
抗う気持ち、というか
チューブと戦うことで
強い気持ちを保っていたのかもしれない
イガイガしていた外殻がなくなったような

看護師さんの後は
訪問リハビリ
母が大好きな作業療法士さんなので
目の力が変わって少し覚醒したような
いつも通りではないが
声も出せるし受け答えもできた
30分グラグラせず座る練習、
車椅子移乗の練習など
さいごのほうはまた疲れて眠くなったようで
作業療法士さんが帰られたら
また眠る
午後3時ごろ保育園に行く前に
残っていたアクアサポートを何口か食べさせる

午後8時帰宅
母は眠っている
自分の夕食を済ませ
9時ごろから1時間かけて
アクアサポートの残りと
高栄養のゼリーを食べさせるけれど
アクアサポートは結局
朝と合わせても半量くらい
ゼリーは7,8口くらいしか食べない
(ほんの少しづつしか口にできないので
小さなゼリー容器全量の10分の1くらい)
わずかに口に入れたゼリーさえ
飲み込もうとせず口腔内に残している
飲み込む前に眠っては危険だから
残ったゼリーをテッシュでふき取り
今日は食べさせるのをあきらめる
明日早起きしてアクアサポートだけでも
食べさせなければ。
週末に彼女が会いたがっていた
孫がやってくる
それまでは死なせるわけにいかない
桜もきっと咲くだろう
週末まで彼女の命をつなぎとめるのが
わたしの役割だ


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