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罪悪感

罪の意識をぬぐい切れない
母を施設に入れて
すべてのお世話をおまかせしたほうが
きもちもからだも楽だと思う
罪の意識も
仕方ないと思うことで
みんなそうしてると思うことで
もっと軽いものになる気がする

目の前につねに治らない病人がいるということ
老いて死にゆく病む人がいるということ

みたくない現実、もしかしたら
将来の自分の姿(そうはならないと思いつつ)
母だって自分がこういう姿になるとは
1ミリも考えたことないはず

あの母の姿、声を聞くのが辛くていやだ
いやだけどお世話する

喜んで母の世話ができない自分が
愛のない冷たい人間であるように思える

離れていれば愛せる
たまにであれば同情できる

でも、毎日尿を捨て
〇んちをとりおしりを洗い
痰を吸引し口腔内に
こびりついた痰をふきとり
重たいお尻もち上げ
褥瘡予防のクッションをあてる

自分の時間がもぎ取られ
本を読めない日々が続く
家も埃だらけだ

彼女には罪がない
彼女の今の現状は
彼女の責任ではない

でも意味の分からない言葉を
聞き取ることがしんどくてつらくて
聞こえないふりをする
一日中彼女の相手をするわけにはいかない
自分の時間のすべてを
彼女に捧げるわけにはいかない
でもそうできないことに
罪の意識がぬぐえない
子の義務は、どこまで?




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