チーズパンの悲劇
年末年始のファーマーズマーケットは、悪天候と休暇が重なって出店者もお客さんも少なく、沢山のパンが残りました。
1年を通したマーケットの流れをみて、2年目からはそのデータをもとに、お休みや作るパンの量を決めようと、今は出来るだけ休まずにパンの販売を続けています。
先週は通常の2/3までパンの量を減らしてみたところ、大方のパンが売れたのでホッとしていました。そこへ何時もチーズパンを買ってくれる女性のお客さんが来たんです。
彼女はいつも小さな娘さん2人を連れて来るのですが、この姉妹(5歳、3歳くらい)がめちゃくちゃ可愛いの
お母さんと一緒にお店に来るや否や、チーズパンに直行し「チージュ、チージュ」と2人で連呼。
袋に入れたチーズパンを一つづつ渡すと、その場ですぐに食べ出して大人しくなり、そんな2人を見ながら「今日もありがとう」と言って他の買い物に向かう3人の背中
何とも幸せな瞬間です。
先週そのお客さんが来てくれた直前に、最後のチーズパンを売っていたんです…
何時ものようにお母さんが先に店に来て、「うちの子達にチーズパンを」と言いながら小さなパン屋を見渡すも、何時もの場所には空になった入物だけ
「すみません、たった今売り切れちゃったんです」と言うと
「え!サチ、あなた、あの子達に言って聞かせて下さい。あの子達、私が言っても納得しないもの」と言うんです
そこへ姉妹が「チージュ、チージュ」と言いながら入ってくる
この無垢な2人に「チーズパンはないよ」なんて、絶対言いたくないじゃないですか!でも、無いものは無いんですよ…
うろたえる私
そんな私の目の前で、娘たちに
「ミス サチからお話があるのよ。今日はチーズパンが無いんだって」と言い聞かせています。
それでも「チージュ、チージュ」と姉妹の要求は止まりません。
仕方なくお母さんが1人づつ抱っこして、空の入物を見せています。
黙って空箱を見つめ、ようやく状況が見えてきたお姉ちゃんの顔がみるみる悲しい表情に。
妹ちゃんはやっぱりチーズパンが諦められない。
こうなると大人は必死です。
何か代わりになるものを探して
「メロンパンの試食なら残ってるよ、ね、どうコレ?」
「ライ麦クリームチーズのパンは?」
でも、彼女たちが欲しいのはチーズパンなんです。何を見ても首を横に振るばかり…
妹ちゃんの方なんて、じっと動かずに私を睨んでるし
「さ、最後のチーズパンを売ったのは、このオジちゃんです!」
堪えられなくなり、Kentさん(夫)を指差しながら3歳児に必死に訴える私←大人気ない
心からの「アイムソーリー」と共に
「お願いだから、来る前に予約して下さい」とお母さんに訴えました。
あんな想いは、もう絶対させたくない
というか…私がしたくない
「じゃ、また来ようね」とお母さんに連れられてパン屋を去る姉妹の背中が、まだ思い出されます
⚫︎パン屋のご案内はこちら
サポートよろしくお願いします。これからの活動、新しい挑戦(アメリカでパン屋さん)への資金にさせて頂きます