見出し画像

身延ツーリングを終えて


走ってみたい道があった。


この中の道がずっと気になっていた。

R300。峠道だと思う。


ある時期、この道を行ったり来たりしてスキルを上げようとしたことがあった。上っては下りてまた上っては下りて。

geekさんの記事より

練習で走りたくなる道。
それは間違いなく楽しい道だろうと。


初めて読んだ頃
事故に遭って怪我をしていた。

周りの反対もあり
また乗れるのかわからなかった。

あれから2年半。

「時が経つと叶うこともあるんだな」
としみじみ思う。


九州ツーリングの後
無理をすると首にくることがわかった。

右手をかばって首が痛くなってしまう。
頭痛がしてくるので厄介だ。

だから、距離をしぼりたかった。
200km台で行けるところは限られている。

富士山の先。
身延まで行けるのか。


走り終わってみると
300kmをゆうに超えていた。

今は、太ももの筋肉とおでこの上が痛い。

太ももはニーグリップのせい。

体を安定させるのに
バイクを太ももで挟む。

最近、やらないようにしていたが
今回、体を支えるのを
左手ではなく、足と腹筋にしたからだろう。

おでこの上は
髪の毛を結んでヘルメットを被ったせい。

結び目のせいでヘルメットが後頭部側にいき
おでこのあたりが圧迫されてしまったよう。

髪の毛切ったからなぁ。
三つ編みで髪をまとめられないから。

こんなこともあるんだと勉強になった。
次は対策せねば。


今回は、涼を求めて
富士山の近くを走ってみた。

バイクで走る良さは
空気の温度を体感できること。

高速を走っていても
少し気温が下がったらわかる。

このあたりだけ涼しい。

見まわすと、いつも緑があった。


森の中を歩くとわかる。

木陰は涼しい。
地面からの照り返しがない。

街だって
ほんの少し木を植えて

家のまわりくらい
コンクリを張るのはやめれば
変わるだろうに。

緑を守る法律でも作ればいいのにな。

今から計画して自然を残していかないと
地球はどうなってしまうことか。


今回の気温。

一番暑いところは34℃
一番涼しいところは21℃


涼しかった。

ウィンドブレーカーを通して
冷気が入ってきて
思わず身震いするほどの涼しさ。

今が真夏だということを
忘れてしまうくらい。

季節を飛び越えて
夏ではないどこかへ行ってしまった気分。


そうか。ただ、ここを走るだけでいいんだ。

家族やnoteのみんなに伝えたかった。
夏をしのぐ方法あるよ!って。

走るために走るのではなく
涼を取るために走る方法もあるんだよって。


R300。

行きはトラックに阻まれてしまった。

走りたかった区間ほぼ全域
トラックの後ろだった。

大型トラックだったのと
直線のない道路だったから
途中で抜けなかった。

でも、「下見を兼ねて走ればいいや」と
慌てたり落胆したりもしなかった。

気に入ったら
また走りに来ればいいのだから。

結局、身延で夏の暑さに辟易し
「帰りも涼しいところを走りたい!」と
R300で帰ってしまうのだけど。笑

帰りに走ったR300は
主に上り勾配で、車もなく走りやすかった。


ここで練習してたのか。

geekさんのおすすめしている道は
路面がよく、道幅がある。

それはR300も同じで
さらに、他の道と違うところは
カーブが多く、かつカーブ間が短いこと。

短い距離で
たくさんのカーブをさばくことになり
体重移動も素早く行わなければならない。

それが練習になると思ったんだろうな。


1箇所、長野のR158に
似ているカーブがあった。

道の駅 風穴の里先のカーブ。
金沢への道中で一番気に入ったところ。

スキーのコブを抜けるような
右左と連続した細かいカーブ。

長野ではさらにカーブに合わせて
小さなアップダウンもあった。

R300はカーブのリズムが似ていた。
そこが、とても楽しかった。

どちらも周りが山に囲まれていて
どこまで走っても、緑の壁と青空だった。


バイクで走る時
目的地があると走りやすい。

そこを到達点として
折り返すきっかけになるから。

R300を抜けた後どこに行こうかと思い
geekさんがおすすめしていた
和紙の里なかとみに行った。
(西嶋和紙の里と名前が変わっていた)


ここで10時半。
ちょうどいい時間だ。

施設を隅から隅まで見学して
いくつか小物を買った。

お土産とお見舞いに


本当は和紙のランプが欲しかったが
リュックには入らない。

背負って帰れるものだけを厳選した。


向かいの食堂は11時から開くと聞き
買い物を済ませて、11時半頃、店に入った。

郷土料理おざらを頼む。

茹でるのに15分かかると書いてあったので
ゆっくり待っていたら、来た。

美味しそう♪


冷やしたほうとうを
温かいつけ汁に浸して食べる。

初めて食べたが、美味しかった。
また一つ、物知りになれた。


食べ終わった後
悩んでいたものを、もう一度買いに行く。

美しい

写真を撮らずに施設を出て
後悔していたから、思い切って撮る。

京友禅だからなんだろうか。
心がはやる。

宇宙に行った和紙も撮る。

若田光一さんが宇宙で書いた書


ゆるキャンという映画のポスターが貼られていて
身延の町が描かれていると店員さんから聞き
長野の陣馬形山を思い出して、行きたくなった。


午後は風が強くなる。

予報で書いていた通り
R52の川沿いで風が出てきた。

堤防の上の突風は怖い。
そして、暑い。

山の中にしてよかった。

しばらく悩んで決めた帰りのルートは
間違いがなかったと自分を褒めた。


山あいに入ると
気温が落ち着いてきてホッとする。

木々が日差しを遮ってくれる。
それだけで快適だ。

「行きとは違う道を」と走っていた道で
道の駅を見つけた。

次の休憩先まで少し遠かったので
思い切って、ここでも休むことにする。

道の駅しもべ


バイクが数台いた。

もう慣れたのか
バイク近くに人がいても気にならない。

目があったので会釈した。

慣れてきたんだなぁ。

昔乗っていた頃と同じ気持ち。

『バイクに女の人が乗っている』
という驚きの目。

その少し見開いたような目を
安心させるための会釈。


昔は、いわゆる名車に乗っていたから
「そのバイクいいねー!」と
よく声をかけられた。

わたしも
「はい!いいバイクなんです」
とニコニコと返事をしていた。

YAMAHA RZ250

19才の夏 淡路島の南端で


大好きなバイクだった。


今はHONDAのバイク。

流行りのバイクではないけど
よく見る車体だから珍しくはない。

珍しくはないけど
安心して走れるバイク。

それが、今は一番大事だ。


トンネルを抜けると
行きは雲に隠れて見えなかった富士山が
山頂だけ顔をのぞかせていた。

写真を撮ってるおじさんも 笑


本栖湖と富士山。

同じ一日でも刻々と景色は変わる。
それがまた楽しい。

バイクは行きたいところに行ける。

こうやってまた帰りに
気軽に同じ道を通ることもできる。

それも、バイクの良さなんだろう。


帰り、富士山に近づくと
また涼しい空気に包まれた。

富士山は自然の冷却装置みたい。
冷気をふもとに送り込んでいる気がする。

温度差のせいか
富士山の周りはよく雲が湧く。

特に、午後の朝霧高原は
よく雲に覆われている気がする。

冷えてくるくらいの涼しさ。

富士山中腹の
スカイライン前に匹敵する、22℃!

雲の水滴と冷気で
青空は見えないけれど、涼を堪能した。


R139から県道72へ。

ホームコースのサーキットがあった
毎週通った道。

白糸スピードランド
やまぼうし
奇石博物館

周りの風景。カーブの様子。
月日が経っても忘れてはいない。

行きの道には戻らず、ふもとを周回する方へ。


県道72からR469。

この道が一番好きかもしれない。

アクセルを一定に開けたまま
ゆるいカーブに突っ込む。

高速コーナーが好きなんだな。

自分の好きなものを再確認する。
鼓動が大きくなる。

車にあっという間に近づく。
気配を感じて避けてくれる。

左手を上げながら抜く。
抜いたら邪魔にならないように
加速して先を急ぐ。


ブレーキがあまり好きではないみたい。

タイヤに大きな負荷がかかるからかな。
転ぶリスクが増えるのが怖いかな?

アクセルのオンオフで変わる
タイヤの接地感や地面を食う感じが好き。

その程度の変化で充分楽しい。

昔の道は無くなってしまったけど
(もっとくねくねだった。笑)
それでも好きだな。この道。


十里木高原は雲の中。
ヘルメットのシールド一面にしずくがつく。

ひとくち水を飲もうと
ヘルメットを脱いだら霧雨の中だった。

雲の中


でも雨は降って来ない。
雲の中って雨が無重力で浮いてるみたい。

降って来ないけど、濡れてくるので
また慌ててヘルメットをかぶった。


富士サファリで23℃。
まだ涼しいが、雲からは抜けた。

十里木はいつも雲の中だ。
そんな気がする。

別荘地なのに。
地形がそうさせるんだろう。


下るにつれて
一気に気温が上がる。

これ以上濡れはしない。
が、蒸し暑さは残っている。

そうだ。夏だった。

現実に還る。

異次元世界から帰還したような
そんな不思議な感覚。

車の列につきながら
人間社会の夏に戻ってきたことを実感する。


ススキは青く、富士山は見えない。


秋にまた来よう。

日帰りのお決まりルートが
一つできたようで、嬉しい。


あと、どのくらい走れるのだろうか。


高速に乗ったら富士山が見えた。
帰りはいつも見送ってくれる。

近づくと恥ずかしがっちゃうのかな。

ふもとを走る頃は
姿が見えない富士山。

帰りの高速で
「またね」と顔を出す富士山。

バックミラーで
見えなくなるまで富士山を見つめた。


高速の渋滞にはまり
やっとの思いでサービスエリアに逃げ込む。

このあたりでいつも眠たくなる。
今回もそう。

周りに見られたくなくて
奥まったトイレ前のソファでウトウトする。

昨日の夜、ぐっすり寝られなかったせいだ。

ツーリング前夜は
どうしても眠りが浅くなる。

そのせいで
夕方、眠たくなってしまうのだ。

毎回なんとかしたいなと思いながら
解消できない寝不足問題。

今回はなんとか23時台に寝られたが
0:30というふだんは起きない時間に
一度目が覚めてしまった。


緊張してしまう。

寝られないのは緊張のせいだ。

事故に遭わずに
無事に帰って来られるだろうか。

そう心が思っている。


もっと頻繁に乗れば
この緊張も解けるのかな?

朝、緊張し過ぎて
パンが喉を通らなかった時

走りたい気持ちより
緊張で憂鬱な気持ちが勝ったら
走るのをやめてしまうのかな。

と思った。


あと何回乗れるんだろう。
残りの回数でどこに行きたいんだろう。


涼を得に行って、無事に涼しさを見つけ
心地よい冷気を満喫して帰ってきた。

いい道では渋滞が少なく
気持ちよく走って来られた。

でも、どこか冷めている自分がいる。

前のような
幸せを叫びたくなるような
衝動が湧かない。

なぜだろう。


走っている時
九州ツーリングを思い出した。

毎日走っていた。
ただ、走っていた。


走ることが生きることだった。


また、あんなふうに走りたいな。

そう思っている自分に気づいて
日帰りでは満足できなくなっている
のかもしれないと思った。


道が好き。

走るなら、好きな道を走りたい。

行き先に着くのが目的ではなくて
道中の道が目的ってことなのかな。

今回もいい道だった。

ススキが黄金色になる頃
また行きたいと思う。


geekさん、いい道をありがとうございました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?