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バイクツーリング 〜静岡 富士山〜 その8


富士山、五合目に向かっている。


一度停めて、景色を堪能した後
バイクをスタートさせたら
すぐに一つ目の駐車場があった。


もうすぐみたいだ。


さっき通ったバイクのように
右カーブを曲がりながら、駐車場を通り過ぎる。


その先。
あっという間に着いた。


五合目だ!



車がずっと、並んで停まっている。

あんなに、誰もいなかったのに
一気に人口密度が上がる。

こんなに山の上なのに
人が歩いたり、しゃべったりしている。


こういうところは苦手だ。
どこに停めたらいいだろう。


山肌に沿った駐車場をどんどん進みながら
停める場所を探す。

建物も登山口の階段も通り過ぎてしまった。


あっ。ここで駐車場が終わる。


駐車場の奥から二番目。
車と車の間が空いていたので停めた。

これより先は下っている。
停めるのは不安だ。



ヘルメットとグローブを脱ぐ。
リュックからトートバッグを出して入れる。


富士山の方を見上げる。
そばに寄り過ぎていて、てっぺんも見えない。



バイクが一台通り過ぎる。
駐車場が終わった先に停まった。


賢いな。あそこなら見晴らしがいい。


特等席のような場所に
バイクを停めたその人を羨ましく思った。


少し周りを見てみよう。


車の影からのぞいてみた。

まずは、進行方向の景色から。
車の間を出て、歩き始めた。

さっき停まったバイクの前を通り過ぎる。
少し遠めに。道の向こう側を歩く。


乗っていた人がヘルメットを脱ぎ
こちらを向いていた。


目が合う。

目が合った瞬間、軽く会釈をされた。


その会釈をした姿と物腰を見て、思った。


あっ。あの人だ。





不思議だった。


なぜ、あの人の名前が浮かんだんだろう。
なぜ、あの人だと思ったんだろう。


顔も姿も知らないのに。



今日が平日で、ここにいるはずがないこと

ここが富士山の五合目で
やっぱりいるはずがないこと


そのことに
ふと気づいて笑ってしまった。


あんまり可笑しくて
そのことをその人に伝えたくなった。


今、あなたに逢った気がしたんです。
富士山の五合目で。不思議でしょ?



そして、気づいた。


そうか。
伝える術がない。


そう。
メールも電話も知らない。


何も伝えられないことに気づいた。

なんだか、ポツンとした気持ちになった。




気づけば、右カーブのアウト側。
道の端まで来ていた。

目の前の写真を撮る。


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目をこらす。


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下界ははるか彼方だ。


視線を動かす。


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紅葉がきれいだ。


振り向いて、富士山を撮る。


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てっぺんをアップ。


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あっ。


さっきの人が休んでいる視界の中で
ずっと写真を撮っていた。

せっかくの特等席なのに
じゃましてしまった。


富士山を撮ったときに
さっきの人を写してしまった。

写真を確認する。
バイクの影、道端に腰かけているようで
姿は写っていない。


よかった。


迷惑にならないように
視界から出ようと元の道に戻る。

そっと道の向こう側を通り過ぎた。



行きたいところがあった。
富士山のてっぺんが間近に見える場所。

進行方向を少し戻る。


五合目の看板が見えた。


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ここだ。
ここから登る。


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標高2400mの文字。


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どうかな?


階段を登り、上を見上げた。


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富士山って
けっこう石がゴロゴロしてるんだな。


前に来たとき思ったこと。

今回は、思ったより石が無いなと思った。
もっとゴロゴロしてたイメージだけどなぁ。

石が雨で流れて無くなったんだろうか。
記憶って不思議だ。


地面のアップ。


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こんな感じの表面。


降りて、周りの景色を見た。


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雲が眼下にある。
これが雲海なんだろうか。



戻ると、バイクはいなくなっていた。


特等席、空いてる。


さっき、撮った写真がよかったので
バイクを移動してそこに停めた。

下がり、バイクと一緒に富士山を撮る。


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縁石に腰かけて
ウエストポーチからおにぎりを出す。

さっき、一個だけコンビニで買っておいた。


今、ちょうど12時。
おにぎりを食べながら考える。

さて、次はどの道で行こうかな。



視線を前方に向けた。
雲がまぶしい。


バイクと一緒に雲を写真におさめた。


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陽射しは、汗をかくほど強い。
風もない。

お日さまのせいか、寒さはなく
むしろ上着を脱ぐか悩むほど暖かかった。


お天気でよかった。


来たかった場所。
二つ目の目的地にたどり着けた。


ホッとしながら
次の目的地までのルート。

道順を頭の中で思い巡らせていた。






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