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リベンジツーリング 富士山スカイライン(下り)


2024.7.6(土)

富士山五合目から
下界を見ている。


リベンジ。
そうリベンジできた!

この初夏も来られた。
ここ五合目に。


あと何回来られるんだろう。

残りの季節を数えてみる。

初夏に一度。秋に一度。
巡る季節はあと4回ずつ。

あと8回しか来られないのか。

バイクを降りても
車でも…来てしまうかもしれない。

いつもは通過点のここが
今日のメイン目的地。

前回は辿り着けなかったからなぁ。

下界を見つめながら
しみじみと前回のツーリングを思い出す。

物事は困難なほど
達成した時の喜びは大きい。

前回のツーリングは
今このためのフリだったのか?


前回思っていたこと。

楽しくなくなってきたら
乗るのをやめるのかな。

今日は?

今日は楽しい!

何が楽しかったの?

サーキットみたいで楽しかった!!

結局、わたしは走ることそのものが
好きなんだ。

行った先の景色よりも
行った先の美味しいものよりも…

目の前の道が好き。
カーブが好き。

あの不安定さが安定する瞬間が好き。
だから、富士山スカイラインが好き。


帰りは、カーブを覚えながら帰ろう。

そう思っていたら、スマホに通知が来た。
仕事の相談だ。

富士山の上でも電波が届く。
だから、つぶやきも書けるんだけど。

相談に乗って作業のお願いをして
ひと息ついたら、寒さがしみてきた。

座ってる縁石が冷たくて震えてくる。
今は夏の初めなのに。

今日の予報は33度。
ここは20度くらいだろうか。

あまりに寒いので
少し先まで歩き、写真を撮った。

箱根の方向

座っていた縁石を通り過ぎ
下のトイレに向かう。

朝の7時前に着き、今は8時半。
1時間半で冷え切ってしまった。

このまま帰るのはもったいなくて
もう一度、階段を上る。

またさっきの縁石に座る。
お菓子を食べた。

袋がパンパンになってて面白い
わかるかな?


ぼんやりと目の前の景色を見る。
ここにいることを実感する。

しばらくぼーっとしていたら
視界の右側が白くなってきた。

目の前の景色が一気に変わる。
雲が下界をおおう。

慌てて、振り向いて頂上を見た。

雲がものすごい速さで
富士山をおおっていく。

タイムプラスという動画に収めてみた。
雲が流れていくのが面白い。

ここには載せられなくて残念。


今度は、灰色の雲が近づいてくる。

目の前をおおってくる

通り過ぎて、また
すぐ元の景色に戻る。

同じ方向の景色


遠いうちはいい。

が、ひっきりなしにやってくる
雲のかたまりを見ているうちに

雲に覆われる前に下山したほうがいい
と思った。


歩き始めると、予想通りの雲。

正面は雲
覆われようとしている

下を見たら、相棒が待ってくれていた。

待ってくれてる

バイクに戻り
ありがと!と、タンクに手を置いた。


バイクを発進させ
一方通行の道を上っていく。

さっき座っていた場所を通り抜け
右に大きく曲がりながら下り始める。

下の駐車場まで
車が何台も連なっている。

この後ろは嫌だな。

脇をすり抜けて
どんどん前へ行く。

一番前に出た。

空が広い!

目線を下げ、前を見つめた。

よし、これからだ。

グンとスピードを上げた。


まず、看板とカーブの関係性を見る。

カーブの大きさを示す看板は
2種類あった。

ぐるっとUの字で回り込むものと
ノの字の緩いもの。

必ずカーブ手前にある。
その指示で、カーブの形がわかる。

U字の時は、シフトを下げた。
いい塩梅だ。

カーブの手前でかけたブレーキを
進入時に緩める瞬間
少し内側にバイクを傾けてみる。

あっ!

ハンドルがすうっと内側に切れ込む。
自動操縦のようだ。

面白い!!

カーブのRにバイクの傾きが
合ったタイミングで
アクセルをひねり始める。

アクセルをひねると
バイクは起きようとする。

バイクが倒れようとするのを
アクセルで阻止する感じ。

ライン取りがカーブのRに合うように
バイクの傾きとアクセル開度を調節する。

バイクがきれいに
思った通りのラインをトレースしていく。

この力が釣り合った瞬間
傾いている時間が好きなんだ。


サーキットでは繰り返し練習していく。

このコーナーのどのくらい手前で
どのくらいの強さでブレーキをかけるか?
(サーキットではカーブをコーナーと言う)

エンジンブレーキも併用するから
ブレーキとシフトダウンは
同時にしていたなぁ。

2ストロークエンジンが懐かしい。

コーナーに入る時
いくつか方法がある。

・アクセルを閉じるだけ
・アクセルを閉じて一瞬ブレーキを握る
・アクセル全閉、ブレーキとシフトダウン

コーナーのRによって変える。
(Rとはカーブの曲がり具合のこと)

上の3つのどれかをすると
前に進む力を止める力が加わる。

止めるのをやめた時
(ブレーキを離すのが一番わかりやすい)
何も力が加わらない瞬間ができる。

その瞬間に向きを変えるのだ。

またすぐ、前に進もうとする力が
戻ってくる。

その直進力を利用してコーナーをクリアする。


高速コーナーが好きだった。

ブレーキを一瞬かけ、離す瞬間に
コーナーの内側に背負い投げするように
体を放り込む。

直進力に遠心力も加わる。

アウト側に吹き飛ばされないように
必死に内側に体を入れ込む。

バイクより体が先行するイメージ。

アクセルはすぐに開ける。
クラッチは握っていたり離していたり。

駆動力をどうタイヤに伝えるか。
スリップする限界はどこなのか?

イン側のステップを踏み込む。
リアタイヤを地面に押し付ける。

タイヤの限界を下半身で感じる。

ズッとタイヤが横滑りする。

その横に逃げてる駆動力を
直進する力に変えなければ!!

身体中でバイクを押さえ込んで
横滑りを抑え、前に進む力へと変える。


バイクは格闘技のようだ。
暴れ馬を抑え込む。

一つのコーナーを通り過ぎるまで
どれほどの情報量と操作をして

0.1秒を縮めるために
必死に走ってきたんだろう。

その非日常感が
かけがえのないものだったんじゃないのか?


対して、峠道。

決して転ぶことのない速度で
安全に気をつけて走っている。

それでも感じる

ワクワクした気持ち
風を切る楽しさ!!

バイクが操れれば、それでいい。
ようやく、この域に達してきたのか。

このバイクを操れる。
だから、楽しいのかも。

ここの路面がこのままだといいなぁ。

左、右、直線、また左、右、直線。

延々と続くカーブをこなしながら

また来よう。道を覚えたい。

そう思いながら
富士山スカイラインを下っていった。



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