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バイクツーリング 群馬 榛名 その4


川沿いを走る。
前に車がいてホッとする。


直線の一本道。

信号がほとんどなく
人も渡れば
車も入ってくる。


バイクは非力だ。

周りからは小さく見える。

小さいということは
『まだ遠い』という認識になる。


でも
バイクは意外に速い。

まだ遠いからと
渡り始める人や
合流してくる車がいないか
とても気を使う。

農道もそうだ。

信号がなく交差した農道も
どちらが先に渡るのか
駆け引きのように考えることがある。


そう思うと
少し視界は遮られても

身体の大きい
車と一緒に走った方が
安全だし安心だ。


アウトドアにも向いた白い車。
車高が高め。

それなりに視界を覆う。


でも
先導されているような安心感。

スピードも速くはない。

そのおかげで
富士山やお月さまをゆっくり見ながら
走ることができた。

白い車に感謝。



そのうち
白い車は路肩に降りてしまったのか
目の前には誰もいなくなってしまった。


たった一人、堤防を走る。
スピードは上げない。

冷たいけれど
朝の空気が心地よい。


もう一段
高い堤防が現れた。

歩行者専用の道。
ジョギングしている人がいる。

川向こうの景色を背景に
浮かび上がっているように見えて
「気持ちいいんだろうな。」
と思った。



道路は下り始める。
川を渡った何かをくぐる。

線路だろうか。

そういえば
駅に近づいて来ている。

くぐった先。
そこはマンションの立ち並ぶ
新しくできた街だった。


このバイクを買うために
何回か通っているので知っていることだが

昔、通っていた時とあまりに違う風景に
違う世界に来たような不思議さを感じる。


朝はまだ静まり返っている
この建物の中に
どれだけの人が暮らしているんだろう。

通勤時間には
一気に雑踏と化す気がする
駅前の高層マンション群を横目に
もう一つ
前はなかったトンネルをくぐった。


このトンネルは
上に何が通っているんだろう。


気になるが
のぞくには高さが足りない。

前はなかった気がするから
新しい橋でも掛かったんだろうか。


トンネルをくぐると
いつもの交差点が見える。

ここから昔にタイムスリップする。

この交差点は変わらない。
いつも通った交差点。



ここで右折するか
その先で右折するか。


これから合流しようとしている
環状8号線(通称かんぱち)は
混むことで有名だ。

東京のメイン道路の一つ。

くもの巣の横糸。

一番外側の横糸で
色んな主要道路である
縦糸をつないでいる。


わたしがこれから乗ろうとしている
関越自動車道(通称かんえつ)も
時計の10時あたりで
大事な縦糸を担っている。

そこにたどり着く方法は
横糸を北に上って行くしかないわけだ。


わたしは
時計の7〜8時あたりから
10時に向かって走る。

その一つ目の交差点。
ここでは曲がらない。

なるべく裏道で行く。
これが楽しい。


どこまで環八を使わずに
北上できるか?


これが
わたしの環八を走る時の
楽しみにしているミッションだ。


一人で走る最大のメリットは

好きな道を好きなように走れること


行きたい横道があれば
曲がっていいのだ。


気持ちのおもむくままに
走れる気楽さ

その先を知りたい欲求のままに
走れるワクワクした気持ち


昔は気になった道を
ずんずん走って行ってたなぁ。

思わぬ道が思わぬところで
知っている道につながる。

そのことが頭の中で
地図としてつながった時の爽快感。

「ああそうか!」という思い。


それが楽しくて
知らない峠を探索しに
毎日毎日走りに行っていた。


大体の道すじは
前日、地図を見て大まかに調べて。

その通りに走れるのか
地図を確認するかのように
実際の道を走る。


地図通りに走れた時の嬉しさ。

脇道にそれて
どこか違う世界に来てしまった心細さと
知らないところに来たワクワク感。


道があればよかった。
それだけで。

峠にお店なんかないから
コンビニを見かけると
下界に戻って来たような気がした。


毎日毎日乗っていた頃の話。



交差点の信号が青になる。
先頭にいたわたしは直進する。


この先もしばらく真っ直ぐ行こう。


一気に狭くなった道を
気をつけながら走った。








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