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山登り人生vol154雨の日ノ尾峠越え

30歳。長女5歳、長男3歳。
昭和54年度、30代の始まりはヒマラヤ遠征断念から始まりました。
年間14回33日の入山と回数は大きく減少しました。
第3子目の妊娠がわかり山登りも少なくなったようです。
4年振り阿蘇岩登り合宿はハプニングな山行でした。
記憶に残る日ノ尾峠越えを投稿します。

No272阿蘇岩登り講習会


昭和54年9月14~16日 18名
14日小雨 佐世保出発、鍋の平入り
15日雨のため予定変更。日ノ尾峠越えひぜん湯移動、涌蓋山登山
16日快晴、赤ガレ谷に戻る。

山行の概要は先日投稿しました。

雨の日ノ尾峠越え

家に着いたときは、やっと終わったという気持ちだった。
月例山行を担当すると責任感が高まる。
その自覚向上が月例担当を持ち回りしている目的の一つになっている。
今回はハプニング続出で、先輩諸氏の良き指導と協力で無事終わった。
「阿蘇に行ったのに涌蓋山に登った。」この一つみても一端が伺える。

数あるハプニングの中で一番印象に残ったのは、
鍋の平から日ノ尾峠を越えたドライブ?移動でしょう。
いつまでも忘れられない思い出の一つです。
「好んで山岳ドライブを実践するF(私)さんも、
少しは考えが変わったでしょう。」とは、M君が後日語った言葉です。
宮崎の椎矢峠越え、祖母山系の林道など好きなのは間違いありません。
何故このコースを採ったのか。
龍尾根取付きの確認や仙酔峡移動の近道、以前に歩いており、
今回の状況は予想だにしていなかった。

日ノノ尾峠、阿蘇高岳の東麓と根子岳西峰の西麓が合流している標高990mの峠です。私達は、この峠を阿蘇南郷谷から越えたのです。

日ノ尾峠。ネットより。当時、案内板あったかは不明。

南郷谷の中心高森から国道265号線を北東に走ると、
左手に根子岳南面が迫ってきます。

根子岳の南面

色見のバス停手前よりキャンプ場への案内に導かれて鋭角に左折、
暫くして直角に右折すると幅3m程の舗装道路が真っすぐ延びています。
広々とした飼料畑、鋸歯状に岩峰が群立する根子岳に心を奪われながら走ると前原集落に入ります。
この先、林の中のジャリ道となり、林を抜けると放牧地が広がり鍋の平キャンプ場に到着します。

キャンプ村HPより。当時はなし

問題はこの先に潜んでいました。
 私が乗りY氏が運転するチェリキャブを先頭に、
Muが運転するセドリック、
T先生が運転するチェリーバン、
Mi長老運転のグロリアと
4台の車は15日朝5時半、雨降る鍋の平を後に日ノ尾峠に向かいました。
牛が逃げ出さないように柵が二か所あり、
開閉を繰り返し高度を上げ走ります。
何度か難関が現れました。
ジャリにタイヤが空回りし進まない。
土砂崩れ箇所をはずみをつけ突破する。
ぬかるみを一気に突破する。
これらの連続、しかし序の口でした。
日ノ尾峠まで1時間で到着。

引き返すなら最後のチャンスでした.
トップを走る我々には、そんな気は全くありません。
よくなるだろう。
龍尾根取付きを教えていなければとの気持ちもありました。
下るごとに険しさを増してきました。
土砂崩れ、その上にヤブが覆い被さる。
道幅は極端に狭くなる。
雨裂が走る。
河原同然の道をチェリキャブは力強く走りました。
反面、私の気持ちは今の天気と同じく曇り時々雨の状況でした。
もう進むしかない。
チェリキャブが突破した道も、後続車は悪戦苦闘しています。
ノコギリで藪を切り払いながら突破してきました。
天気も私の気持ちも小雨から強い雨と変わりました。
グロリアをはじめとする高級車の所有者には
申し訳ないとの気持ちはあるものの、前進以外に途はありません。
道を曲がるたびに難関が待ち受けています。
左側に雨による深い溝が走っています。
車輪を落としたら大変です。
車を降り誘導します。
ホットするのも束の間、今回最大の難関が待っていました。
もう絶望的です。
雨も一段と強くなり追い打ちを掛けます。
深い溜息と共に先が思いやられました。
延長50mに渡って右に左に中央に深い雨裂が走っています。
しかし、力強いチェリキャブのこと進もう。
運転するY氏以外は降車し突進しました。
が、結果は車体が右45度に傾いた状態で動けなくなりました。
全員手分けして溝に石を埋めます。
デコボコを少しでも整地します。
傾いた車体を起こし、車輪の下に石を敷きます。
幌馬車が走るように左右に車体を揺らしながら、どうにか突破しました。
これでは後続の三台は無理だ。
1時間近く土木工事です。
セドリック、チェリーバン、グロリアを誘導し静かに移動、
通過できました。
最後のグロリアが通過後、貴重な通過可能な場所が崩れ落ち、
危機一髪の通過でした。
この最大の難関が終わると、
ヤカタガウド登山口で数台の乗用車が止っていました。
終わりました。

いぜんとして雨が降りながらも、心は晴れてきました。
宮地駅に着いて、大雨警報発令中も確認し予定を大幅に変更しました。
大勢のメンバーがゆっくり低額で休めるひぜん湯への移動となりました。
この後もいくつかのハプニングがありましたが、
翌日は阿蘇高岳赤ガレ谷及びジャンダルムにも立ち、
講習会も一応も形が付き所期の目的は達成できました。
日ノ尾峠越えが強烈な印象として残った今回の講習会でした。

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