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静かな水の中の景色

 花  花弁の先を桃色に染めた花が寒そうにめしべを覆っている
 茎  黄金比の引用
つくえ 重く冷えた木肌は眠る赤子の頬を覗いて産毛を撫でる
あ し 消え入る意識の切れ間に伸びる影の記憶
 
    カメラ わたし
    指   わたしの手
    首   わたしの頭
 
心にもないことばを並べて
わたしの景色に色は着くか
わたしの心からこぼれおちたことばに
いくつの私の魂が
宿ろうか 宿っていたか
指の間 星屑の残像
飛蚊症
乱視で歪む月
 
平凡な言葉に甘えたいぼくがいる
なんてことない言葉に飢えるぼくが
夜の底 眠りに落ちる前の僕が言った

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