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2020年夏アニメ 総括

ジビエートの感想は別途書いたので、そちらを参照してください。

THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール

高校生の格闘大会を見ていたはずが、スタンド的なものが出てきたり、カルト的集団が世界を滅亡させようとして巨大な神を召喚して、大会主催者側がそれを止めるために戦い始めたりとスケールがインフレを起こしてる面もありますが、古きジャンプ的な要素が垣間見られる熱血バトルアニメ。

『呪術回戦』監督も兼任している朴性厚さん自身も主要アニメーターとして参加しており、他にもアクションが得意な凄腕アニメーター達の努力と苦労を感じる作画アニメとして娯楽性の高い作品でした。

デカダンス

出だしは良かったのですが、ちょっとありきたりな展開で、背景の世界観があまり活かされてないようなテーマとして小さな話にまとまってしまったのがちょっと不満。

監視主義的な社会への批判的な眼差しや、バグの存在の意義など伝えたいことは感のいい人は分かるだろうけど、フックが弱くて中途半端で自分自身たちの問題として捉え難いものになっている気がします。海外ドラマなどと比べると社会問題をクリティカルに描けないのは、書ける人がいないのか、書ける人がいても潰してしまう構造があるからか。

似たようなテーマ性で観るべき作品を挙げると、Netflixで観れるウォシャウスキー姉妹製作の『sense8』、ドキュメンタリーの『監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影』を強くオススメします。

ハクション大魔王2020

夏アニメではありませんが、放送終了したので感想を。1話の段階で期待する記事を書いたのですが、結論から言うと期待はずれでした。

何を期待していたかと言うと、若い人は分からないでしょうけど、『ミンキーモモ』3期的な作品を個人的に待望していて、簡単に説明すると、なんでもありでストーリーの振り幅が大きい面白さがあり、かつ現代の社会を反映した、子どもだけでなく、大人にも刺さるようなテーマ性を内包しているような作品です。

そんなに子ども向け作品をしっかり見ているわけではないので、大層に語るのはおこがましいのですが、プリキュアがかろうじてかするのと、最近では鬼太郎が結構頑張っていたぐらいで、後はザ・販促や大きなお友達向けといった印象が強く、これはといったものがでてきません。

ミンキーモモのシリーズ構成の故・首藤剛志さんは旧WEBアニメスタイルで連載していたコラムのミンキーモモ関連の話で、アニメ脚本家の難点について、こう書いています。

プロのアニメ脚本家は、何人もいるが、当時の脚本家の多くは(多分、今もそうだが、ギャラも安く、そのためかプロデューサーや局やスポンサーのいいなりになって……)無難な脚本は書けるが、自分の個性を前面に出す人は少ないような気がした。

どんなに本来の作風が個性的であっても、無難な脚本ばかり書いていると、それが癖になって身についてしまい、個性的なものが書けなくなってしまう事が多い。といって、自分の個性を押し通して、製作関係者と喧嘩ばかりしていると、仕事が来なくなって消えていってしまう。

つまり、アニメ脚本家として食べている現役は、無難な脚本しか書けない人だけが、生き残っている事になる。 

これが書かれたのは2006年ですが、改善されるどころかむしろ悪化しているのではないかというのが昨今のアニメ業界で、デカダンスの残念さに通づるところもあり、オリジナル作品でさえ無難なものが目立ちます。

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