【脳内メモ】空気清浄業者(裏)

呪われた世の中をキレイにしようと奮闘する死者たちの話。

最近の世の中が鬱々としているのは、邪気が蔓延っているから。前は裏家業として邪気を掃除する人たちがいたのだけど、3K過ぎて廃業が相次いで、手つかずになってしまった。大手エリートが後継者が育ち切る前に仕事をやめてしまった(信仰の足りなくなった神が地域を管轄しなくなった、引きこもってしまった)ので、誰も手を付けられなくなってしまった。生者がやってると、結構な頻度で死ぬし。
資本主義が加熱して個人あたりの業務量、期待値がエスカレートしたことで、リアル社会を生きるのに精一杯になり、裏稼業の就業人口は減った。残された業者達は年々膨らみ続ける赤字に苦しみながらも、既存の業務形態を変革する道に立たされる。誰かがやらないといけない。でも儲からない。
そんな中、生者ではなく死者の魂を雇用するという賭けに出た者がいた。意識不明で肉体にどうにも戻らない者、未練を残して死んで行った者に「ノルマを達成すれば新しい生を授けてやる」と謡い、掃除に駆り出させるようになった。霊体を扱うには高い資格が要ること、雇用した霊をなだめる難しさから誰しも選べる道ではなかった。しかし、とある男女ペアがそれを成し遂げ、後継者を排出していった。これに伴い、業界の運営も少しずつ変わっていった。業務をこなすことで救った魂に応じて、生還した先の条件が上がる、生まれた先の家庭が豊かになる、呪いへの免疫がつくなど「死ににくい体」を持って生まれやすくなったし、ランクアップによって別の稼業に斡旋されやすくなった。

そんな中、最近親友を喪って生きる意味を失い、自殺未遂した少女の前に、とある掃除屋が現れる。どうせ生きててもやりたいことが見えないしと、その掃除屋とももに、ゴミ掃除を始めることとなる。
掃除屋の仕事は清掃メインの者と討伐メインの者がチームを組むパターンと、完全分業で行うパターンの2つに大別される。見習いから始まった少女は着々と業務をこなしつつ、生者からは見えない世界の構造と、社会への影響について理解を深めていく。価値観は人間の心理に基づいているが、その心理には目に見えないエネルギーが作用していること(邪気、陽気?)、心理的に不全のまま生を終えた人間には呪いのマークがつけられ、しばらく現世にとどまってしまう。そう言ったものの殆どは、呪いを宿したやべーやつに食われて取り込まれてしまう事が多く、それ以外は掃除屋に保護されてケアを施されて輪廻転生センターに送られる。センターも人手不足なのでケアが不十分なまま転生してしまうケースも増えており、再び生まれた際、先天的に呪いに対する免疫が落ちている。

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