『このあな なんじゃ』 1&2 | わが家の絵本紹介 #1
『このあな なんじゃ』はゆるっとかわいいイラストで描かれた仕掛け絵本だ。本を開いたその上で、さらにペラりとめくれる場所がある。
最初は何やら、穴や不思議な形のものが少しだけ見えていて、「なんじゃ? なんじゃ? これはなんじゃ?」とワクワクしながら開くと、その正体が姿を現す。
「何かあるね。なんだろ」
「なにかなぁ」
「覗いてみようか」
「うん」
「せーの……お! おいでおいでするカニ、ハクセンシオマネキじゃ〜〜〜〜!」
「じゃ〜〜!」
という具合で、ちょっともったいをつけたり大仰に読んでみたりすると、わが家の3歳児はケタケタ笑ってくれる。
長いお話が展開するわけではなく、見開きごとに違う生き物が登場するつくりなので、きっと0歳からでも楽しめる。
虫とか出てくるのはちょっと苦手…というママパパも大丈夫。登場する生き物たちみんな、特徴はつかみつつもゆるっとしたイラストで描かれていて、ホッとする似顔絵のようなテイストだ。
そのくせ、「カニさん」ではなく「ハクセンシオマネキ」だし、「モグラさん」ではなく「アズマモグラ」だし、何やらちょっとマニアック。
それもそのはず。著者は現役の研究者たちだ。
"たち" と書いたのには訳があって、じつはこの本、すでに2冊刊行されている。
『このあな なんじゃ:ひがたのいきもの へん』と『このあな なんじゃ2:つちのなかのいきもの へん』だ。
それぞれ、干潟の生き物の研究者や野外調査の経験豊富な研究者が著者となり、巻末には本編に登場する生き物を紹介したミニ図鑑とコラムがついている。大人が読むのはもちろん、少し成長した子どもがもう一度手にとって楽しめる本になっている。
干潟が近くにあるかどうかはお住まいの街によるけれど、土のある地面は近所の公園にもあるに違いない。
よくみてみると、アリの巣、セミの出てきたあと、なんだかわからない穴や土の盛り上がりが意外と見つかる。
この絵本に登場する生き物はほんの一部で、本当はここでは明かされない「謎の穴」がたくさんある。
日々のお散歩で、「このあな、なんじゃ?」と気づいたら、新しい何かに出会えるかもしれない。そんなワクワクも秘めた絵本たちだ。
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