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逆張り逆張りうるせぇ

 昔からよく「お前って逆張りだよな。」と言われる。その度に僕はアンガーマネジメント本で読んだことを実践して怒りを鎮めることに必死になる。
 確かに所謂一般大衆的な人達とは一緒になりたくないという気持ちは常に抱えている。でもそれを逆張りという単語で済まされるのが不服だ。しかも、逆張りという言葉には本来の「大衆の逆を行ってる」という意味以上のものが含まれている気がする。「イタい」とか「サムい」とか。それが透けて見えすぎるから、昔から逆張りと言われるのが嫌いだった。

 しかも僕は別に逆にわざと行ってやろうとは思っていない。自分が自分なりに真っ直ぐ生きてきたらそれが逆だっただけなんだ。それを冷笑と嘲笑を綺麗にブレンドしながら「逆張りだよな」と言ってくるやつに腹を立てない奴がいるなら多分そいつは大事な神経の一部がないだろう。もしくは味覚やら聴覚があり得ないほど良くて怒りの感情がなくなったモンスターに違いない。

 そろそろ揚げ足取りが大好きな読者たちが湧いてくるだろう、「さっき一般大衆とは一緒になりたくないって言ってたじゃないすかぁ〜。なのに逆にわざと行ってやろうとは思ってないってどうゆう意味すかぁ〜?矛盾してませんかぁ〜?」一言だけ、「うるせぇ。」自分なりに真っ直ぐ生きてきた結果、一般大衆的な文化が全部嫌いになってしまっただけで、わざと逆行こうと思って生きている訳じゃない。この違いが分からないバカは多分、一生マカロニえんぴつでも聞くんだろ。

 先日高校時代のラグビー部の後輩と飲む機会があった。そいつは浪人の末、某有名大学に合格して今が1番楽しい時期で期待に満ち溢れた表情をしていた。浪人をして、現役の受験生の時よりも上のレベルの大学に受かることは正直相当すごい。彼の努力は絶対にバカにできるものではない。本当はラグビー部、いや出身高校のOB.OGを全員集めてスーパー胴上げでもしたいくらいにおめでたいことだ。
 お互いの近況報告。僕は大学を辞めてお笑いの養成所に行く決断をしたこと、大学がとにかくしんどかったこと、お笑いで食っていくつもりだから学歴が必要ないことなどを話した。色んな人に話してきたから洗練された退学トークをお披露目した訳だ。
 
 彼が一言「楓介くんさ、その逆張りかっこいいと思ってる?」

………
 目の前が真っ暗になる、呼吸が浅くなる。何で俺が夢を追うことが逆張りになるのだろう。怒りと悲しみでそこから何の話をしていたか全く覚えていない。ただ自分の髭をやたら触っていたことは覚えている。
 
 ちなみに彼は大学でラクロス部に入るらしい。一般大衆すぎるだろ…

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