サビアンシンボルから見る、ショパンの音楽に潜む“デモーニッシュなもの”前編
今回は「ピアノの詩人」と呼ばれるショパンの音楽性、中でも一部の曲にみられる彼特有の暗鬱さや激しさなど、ダークな一面にスポットを当て、サビアンシンボルの解説を交えながら考察してみたいと思います。
実際に記事を書いたら長くなったので、前編・後編に分けることにしました。サビアンシンボルの解説が登場するのは後編です(後編はこちら)。
ショパンの有名な曲
フレデリック・ショパンはポーランドで生まれ、フランスのパリで活躍した作曲家です。クラシック音楽に関心がない方でも、メロディーを聴けばわかるような名曲を数多く残しています。「子犬のワルツ」「雨だれの前奏曲」「ノクターン」など流れるような美しいメロディーをもつ曲をはじめ、「幻想即興曲」「革命のエチュード」といった激しさをもつ曲も耳にしたことがあるのではないでしょうか。
そのほか、ピアノ学習者やプロの演奏家に人気の曲(難しい……)というのもあります。バラード(全4曲)、スケルツォ(全4曲)、ソナタ(全3曲)などはいずれも名曲揃いですし、英雄ポロネーズや舟歌もプロの演奏家のレパートリーには必ずと言っていいほど入っています。
最近では、フィギュアスケートの羽生結弦さんがフリーで使用したことで、「バラード第1番」は一般の方にもよく知られるようになりました。
※記事中に登場する曲の正式名称は最後に記載しました。
バラード第2番に潜む“デモーニッシュなもの”
ショパンのバラードやスケルツォは、曲の構成に“明と暗”や“静と動”の対比がみられますが、中でも第2番のバラードがもつ、嵐の前触れを思わせる静けさと追い立てられるような緊迫感には常軌を逸した激しい感情、デモーニッシュなものを感じます。
バラード第4番のコーダ(最後の方)も同様です。
“デモーニッシュ”とは、鬼神が憑いたような凄みがある様子、超自然的な様子を意味します。単に激しいとか凄いとかではなく、人間を遥かに超えてしまったレベルなのですね。
現在バラード2番に取り組んでいて、楽曲分析と同時に曲が生まれた背景なども調べているところです。もともと「バラード第2番」はポーランドの詩人、ミツキェヴィチの詩に着想を得て作曲されたらしいという話は知っていましたが(否定する説もあり)、詩の内容までは調べられませんでした。
「シヴィテジ(シフィテシ)の湖」
先日レッスンの時に先生から詩の解説をしていただき、ようやく詩の内容がわかりましたが……「シヴィテジ(シフィテシ)の湖」という詩に描かれている内容は、予想を超える壮絶なものでした。
簡単に説明するとこんな感じです。
諸説ありますし、ショパンは曲に題名がつくことを嫌ったくらいなので、バラード第2番が詩の内容をなぞっているとは思いません。ただ、詩の内容と曲の雰囲気が合っているので、ショパンが詩を目にして作曲のヒントになった、ということはあり得ると思います。
今回この詩の内容を知ったことで、私はショパンの音楽に潜んでいるデモーニッシュなもの……激情・慟哭・絶望などについて深く考え込まずにはいられませんでした。
そして、この激しい感情表現は、ショパンのホロスコープにある「太陽×冥王星」のアスペクトが関係しているかもしれないな、と思いました。
ショパンの出生図:“無意識の世界からやってくる絶対的な意志”
ショパンの生年月日には諸説あります。
1809年3月1日
1810年2月22日
1810年3月1日(←この説を採用することが多い)
長くなるのでそれぞれの根拠を説明することはしませんが、いずれにしても魚座に太陽と冥王星があることには変わりないようですね。
ショパンのホロスコープ(出生図)
1810年3月1日 18時 ポーランド(ジェラゾヴァ・ヴォラ)
ショパンのホロスコープについて詳しく解説している記事はたくさんあるので、今回の記事では太陽と冥王星のアスペクトとそれに関連するアスペクトを取り上げます。
オーブ5度で太陽と冥王星がコンジャンクション。太陽×冥王星のコンジャンクションは、極限まで突き進むパワーや、無意識からやってくるエネルギーを顕在化する能力を与えます。
さらに、この太陽×冥王星に海王星×土星のコンジャンクションがスクエアを形成しています。心の奥底に存在する理想郷を現実世界に引っ張り出さなければならない、そんな状況と向き合っていたことがわかります。
これらのアスペクトによって、ショパンは深い無意識の世界からやってくる絶対的な意志に突き動かされ、自分の思いを音楽で表現せずにはいられなかったのでしょう。太陽は金星ともコンジャンクションを形成しているので、芸術分野で自分自身を表現する能力が備わっていたことがわかります。
また、冥王星は魚座サインにあり、時代や社会に翻弄される魚座サインの性質が冥王星に濃い影を落としています。
ショパンが生きていた時代、彼の祖国であるポーランドは実質上ロシアに支配されていました。ショパンは音楽家として成功することを固く誓って祖国を後にし、その後二度と戻ることはありませんでした。
そんな彼の心の奥底では、望郷の念と同時に行き場のない怒り・深い悲しみ・身を切られるような絶望といったダークな感情が渦巻いていたに違いありません。このような祖国への深い思いがショパンの創作エネルギーとなったことは、音楽史的にも定説となっています。
自分のことを少し書くと、私は太陽と冥王星のオポジションを持っていて、良くも悪くもジェットコースターのような人生だな……とよく思います。
本人はそれに慣れているので当たり前だと思っていますが、トランジットで、魚座太陽とスクエアの関係にある射手座サインに土星以降の天体がやって来た時は、なかなかのインパクトがありました。
ただ、牡羊座サインにある金星とはトラインの関係になるので良い影響があり、総合的に見ると結果オーライになるのですから、本当に不思議です。
ショパンも牡羊座サインに火星があるので、射手座サインから投げかけられているアスペクトは、火星のパワーを倍増させたのかもしれません。
話が逸れました。
火星について少し書いたのでついでに言うと、ショパンの曲に表れている二面性は、魚座金星、牡羊座火星で説明がつきそうです(こちらはまた別の機会にします)。
後編では魚座サインのサビアンシンボルをいくつかご紹介します。
記事中に登場する曲の正式名称
子犬のワルツ:ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1
雨だれの前奏曲:24の前奏曲第15番 変ニ長調 作品28-15
ノクターン:ノクターン第2番 変ホ長調 作品9-2
幻想即興曲:即興曲第4番 嬰ハ短調 遺作 作品66
革命のエチュード:練習曲 ハ短調 作品10-12
バラード第1番:バラード第1番 ト短調 作品23
バラード第2番:バラード第2番 ヘ長調 作品38
英雄ポロネーズ:ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53
舟歌:舟歌 嬰ヘ長調 作品60
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