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象徴的解釈:双子座3度のサビアンシンボル

Gemini 3:The garden of the Tuileries.
《日本語訳》チュイルリー公園


【双子座3度の意味】

  • 人間の知恵と技術によってつくられた世界

  • 自然には存在しない人工的な世界

【双子座3度の解説】

「知性」による活動

双子座1度「A glass-bottomed boat in still water.(静かな水面に浮かぶグラスボート)」では、水(=無意識、潜在意識)に対して、ボート(=人工物、人間が作った物)を介して接する姿勢が示されていました。
人工物は人間が作った物ですから、当然ながら自然界には存在しません。この人工物の存在は双子座サイン全体を通じて重要な意味を持ち、双子座サインが人間に備わった「知性」を通じて、様々なモノ・コトを生み出すことを暗示しています。

双子座2度「Santa Claus filling stockings furtively.(こっそりと靴下に物をつめるサンタクロース。)」に登場するサンタクロースも人間が考え出した架空の人物です。クリスマスというイベントが世の中に広まるにつれ、サンタクロースの存在意義も変化してきましたが、現在でも多くの大人が子どもたちにサンタクロースの存在を信じさせようとしていますし、同時にクリスマスは商業活動と密接に結びついています。

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3度はサインの世界観・世界の在り方を示しています。双子座3度に登場するチュイルリー公園は双子座サインの世界観を示す象徴ですが、同じ風サインの天秤座や水瓶座にも共通する概念、言い換えると他の2サインにとっても基礎となる考え方が示されています。

フランス様式の庭園について

チュイルリー公園はフランスのパリにあります。1564年、最初にイタリア式庭園として造られた後、1664年に造園師ル・ノートルによってフランス様式の庭園(=フランス式庭園)として再設計されました。
フランス式庭園の特徴はシンメトリー(左右対称性)にあり、チュイルリー公園も中央の道を挟んで植木や花壇、噴水、池などがシンメトリー且つ幾何学的に整然と配置されています。

これは、フランス式庭園が自然を模した風景の再現ではなく、人間が考えた法則による新たな風景の創造を目指したためと言えるかもしれません。なぜなら、自然界には厳密な左右対称の風景は存在しないからです(自然界にもシンメトリーは存在しますが、シンメトリーな風景というものはないと言われています)。自然を模倣するのではなく自然を超えようとする点に、自然を征服してコントロールする人間としての自意識が強く感じられます。

シンメトリーが持つ性質とヒューマニズム

シンメトリー(左右対称性)とは、平面を中央から分割した際の、両側の形態の正確な対応を意味します。シンメトリーの形は、見る人に秩序・調和・安定、さらに重力的な均衡をイメージさせます。一方、アシンメトリー(非対称性)は無秩序・不安定・乱雑さなどをイメージさせます。

中央から広がる道、整然と並ぶ花壇、芸術的に刈り込まれたトピアリー、大きな空を映し出す大噴水や運河……フランス式庭園の代表的存在、ヴェルサイユ宮殿がまさにそうであるように、屋敷の窓から見下ろす壮大な景色には見る者を圧倒する力があったことでしょう。フランス式庭園は権力の象徴という意味合いを帯びるようになり、フランスの王侯貴族を中心に流行したと言われています。

フランス式庭園が生まれた17世紀は、ルネサンスの広がりに伴い、古代ギリシアに端を発するヒューマニズムの影響が芸術や科学などさまざまな面に表れた時代でした。ヒューマニズムとは人間を中心とした世界観のことです。ルネサンスの時代は、(それまでの宗教中心の思想や価値観から人間を解放し)人間が持つ価値観や人間らしさを尊重しようとする動きが活発になり、芸術・建築分野では美しいバランスや均整が重視されました。フランス様式の建築もシンメトリーやバランスを重視し、数学的な均衡を考えて作られています。

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「3」が持つ性質

冒頭でも少し触れましたが、双子座をはじめとする風サインは自分を取り巻く自然や目の前で起きている事象を、あるがまま受け入れるのではなく、知性を通じて理解しようとします。火サイン(牡羊座、獅子座、射手座)は本能で察知し、地サイン(牡牛座、乙女座、山羊座)は五感で判断し、水サイン(蟹座、蠍座、魚座)は感情で受け入れようとします。

ここで数について少し考えてみます。

1番目のサインである牡羊座の1度、2番目のサインである牡牛座の2度では、それぞれ「1」「2」という数の意味が強調されていました。それと同様に、3番目のサインである双子座の3度も、3という数の意味が強調されているように感じられます。

  • 1は点

  • 2は点と点を結んだ線

  • 3は点3つを結んでできる面

3で初めて面ができるわけです。

カメラの三脚のように、何かを支えるには3本あれば十分とされています(脚が4本になると3点で構成される面の数が増えるため、正確に脚の長さを揃えないと逆にガタついてしまう)。

3つの点で囲まれてできた面は、その時点で広がりを持つ(逆に言うと限界があるから広がりが感じられる)世界と考えることができそうです。私がサビアンシンボルの3度を「サインの世界観」と考えるのは、3という数が持つこのような数の性質にも由来しています。

ちなみに、牡牛座2度はマイナスの電気がたまった上空の雲から、プラスの電気がたまった地上へ電気が放出されます(=雷の発生)。この様子は、上でご説明した点と点を結んだ線に当てはまります。牡羊座1度は女性が海から上がってきただけなので動きはなく、1つの点と解釈できなくもないかなと思います。

少し話が脱線しましたが、双子座3度では3の意味が強調されていると考えられるので、双子座サインのサビアンシンボルの中でも重要な度数ではないかと思います。この考え方を踏襲すると、蟹座サインの場合は蟹座4度、獅子座サインの場合は獅子座5度に、各サインの性質が特に色濃く反映されているのかもしれません。

人間の知恵と技術によってつくられた世界

疑問に思うのは、なぜ双子座3度に登場するのがもっと有名なヴェルサイユ宮殿ではなくチュイルリー公園なのか?ということです。造られた時期を調べてみると、ヴェルサイユ宮殿は1682年でチュイルリー宮殿の方が古いことがわかりますが、単に歴史が古いというだけではないと思います。

ヴェルサイユ宮殿はその絢爛豪華な外観ゆえ、フランス式庭園としての特徴や芸術性よりも、絶対王政やフランス革命、マリー・アントワネットの首飾り事件のようなドロドロの愛憎劇が思い浮かぶのではないでしょうか。一方でチュイルリー公園はフランス式庭園の先駆けであり、ルーブル美術館と隣接し(芸術は人間が作品を生み出す活動)、1783年に世界で初めて水素ガスの気球(気球は人間が作った物)によって人間が空を飛んだ場所でもあります。

双子座3度にチュイルリー公園が登場する理由は、単にシンメトリーを特徴とするフランス式庭園というだけではなく、それ以外にも人間の活動を象徴するモノ・コトに深く関わっているからかもしれません。

双子座サインが理想とする世界は、人間の知恵と技術によってつくりあげられたもの。そこでは自然の景観もあるがままの姿ではなく、人間が好む形にデザインされた上で存在すると考えられます。

サビアンシンボルの解釈について

当記事の内容は、サビアンシンボルを考案したマーク・エドモンド・ジョーンズやサビアンシンボルの解釈を著したディーン・ルディアの解釈とは異なります。サビアンシンボルに登場する要素を象徴として扱い、象徴が意味する内容に基づいた独自の解釈を行っています。

双子座のサビアンシンボル一覧

象徴的解釈:双子座1度のサビアンシンボル
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