著名人の出生時間の調べ方(外国人編)
(※)2022年3月26日:一部内容をアップデートしました。
占星術をサビアンシンボルまで分析する際には、生年月日だけでなく、出生時間が必須です。
外国の著名人の出生時間を調べるために、最も使えるサイトを紹介します。
6万人以上のデータベースを持つASTROTHEME
Astrothemeというフランスのサイトです。画像をクリックでアクセスできます。
6万人以上の著名人の出生データが登録されており、例えば誰々と同じ度数(サビアンシンボル)のアセンダントを持つ著名人は誰か……ということまでリストを出すことが出来る素晴らしいサイトです。
ここでは著名人の出生データの信頼度がアルファベットでランク付けされています。投稿者の名前(Contributor)も記されており、誠実なデータベースだと言えるでしょう。
上記画像はジョン・レノンの出生データです。
出生情報の信頼度は「A」ですが、Astrothemeで定義される各ランクの意味を、以下にご紹介していきます。
信頼度「AA」
「AA」は説明通り、最も信頼できるグレードです。
信頼度「A」
「A」も「信頼できる人物(本人を含む)からの明確な証言」がソースなので、ほぼ信頼できると考えて良いでしょう。
偽の生年月日を公表しているケースも稀にありますが(当記事で後述するチェ・ゲバラなど)、本当のことが打ち明けられた際には修正されます。
信頼度「B」
「B」は、少なくとも「伝記」や「自叙伝」等の根拠が明確な情報です。
信頼度「C」
「C」は曖昧なデータ、オリジナルソースの不明なもの、それらが示す出生時間からのレクティファイ(占星術師による推定)が含まれます。
・Original source not known(オリジナルの情報ソースは不明)
・Rectified from approximative time(おおよその時間に基づいたレクティファイ)
Cの詳細についても、上記のような形で追記されています。
信頼度「DD」
出生時間の根拠が曖昧だと「C」ですが、それらが複数報告されている場合は「DD」に降格します。
信頼度「X」
「X」は、出生年月日は判明しているが、時刻が不明です。
出生時間のわからないケースは「X」ですね。知りたいと思った著名人がXだとガッカリです。
信頼度「XX」
「XX」は出生時間だけでなく、出生日も不明確です。古代の歴史上の人物の多く(キリストやブッダなど)は「XX」で登録されています。
チャールズ・チャップリンはXXで登録されています。ウィキペディアにも生年月日が記されており、時刻はチャップリンが書いた自伝(My autobiography, 1964)に記されています。
しかしなぜ日付まで不明のXXランクなのかというと、David Robinson著「Chaplin: His Life And Art, 1985」には4月15日であると記述があるからです。また、ロンドンではなくフランスで生まれたという説もあるとのこと。
この情報ソースは後述するAstro-Databankに掲載されています。
信頼度「AAX」
「AAX」は、公式な出生記録が入手可能でも、時刻が示されていないという稀なケースです。今のところ僕は見たことがありません。
信頼度のランクについての説明は以上です。
情報元はASTRO-DATABANKで確認
Astrothemeには6万人以上の著名人の出生データが掲載されていますが、その中の多くが(どの程度の割合かは知りませんが)Astro-Databankから買収した物のようです。
Astro-Databankは以下の記事で出生図を出力するためのお勧めサイトとして紹介したASTRODIENST(astro.com)が運営するサイトであり、出生情報のデータバンクとしてはこちらが元祖です。
Astrothemeには出生情報の信頼度の記載はあっても、情報元の記載がありませんが、Astro-Databankには「Source Notes(ソースノート)」の項目に記載があります。
出生情報の信頼度がC以下の人物は、チェックすると重要情報が書かれている場合があります(後述するフィデル・カストロなど)ので、チェックすると良いでしょう。
チェ・ゲバラの出生情報元
チェ・ゲバラの情報元(Source Notes)の和訳を転載します。
私は昨年Google検索で調べてニューヨーク・タイムズ紙のアーカイブを発見して知り得たのですが、Astro-Databankには出生証明書の存在(1982年6月14日)と、母親の証言(実は5月14日)、それがブラジルの批評家の中でも信用されていることが記されています。
母親が異なる誕生日をゲバラに与えた理由は、結婚時にすでに妊娠3ヶ月であったことを隠すために、友人の医師がゲバラの出生証明書の日付を1カ月繰り上げて偽造し、スキャンダルから二人を守ったとのこと(The New York Times, 1997)。
ウィキペディア、その他のサイトでも6月14日の記載しかありません。Astro-Databankと、Source Notesの項目を必ずチェックするようにしましょう。
※チェ・ゲバラの信頼度がBなのは、5月生まれの証明書が存在しないからかと思います。ただし母親からの確かな証言なのでAが適切な気はしますが。
オノ・ヨーコの出生情報元
次にオノ・ヨーコの出生情報元を確認してみましょう。
ジョンレノンと同じく信頼度はAです。ソースノートを見てみましょう。
イギリス人占星術家、ロジャー・エリオットがオノ・ヨーコから直接得た情報であり、オノ・ヨーコと親交の深かった作家のドン・シングルトンも同じ情報を得ており、71年のニューヨーク・デイリーニュースに掲載されていた旨が書かれています。
これは確かな出生情報と言えそうです。
ジョン・レノンの出生情報の罠(レクティファイの問題)
次はジョン・レノンです。ここには占星術家が陥る罠が潜んでいます。最初からこの問題に触れるのは避けようと思っていましたが、次に検証するフィデル・カストロ、そして誕生日が2つ存在するチェ・ゲバラも同じ罠が潜んでおり、説明を避けられない問題なので最初から扱うことにします。
出生時間は18:30で、信頼度はAです。
ソースノートにはこう書かれています。
出生時間は出生病院からの情報でした。これは間違いなさそうです。
一方で、このようにも記されています。
叔母の「6時半に電話をしたら、ちょうど生まれたと言われた」との発言から、実際の出生時間は18:30より少し前なのではないか?と推測しています。
最後にこう記されています。
ドイツの占星術師、アレクサンダー・マーは、ジョン・レノンの出生時間を18時24分13秒、アセンダント牡羊座16度18分にレクティファイ(修正)しました、とのこと。
レクティファイとは占星術でよく使われる言葉で、不正確と思われる出生時間を、占星術師が推測によって修正することを指します。
しかしマーの主張通りに時刻をレクティファイしてしまうと、僕が発表している「ジョン・レノンとオノ・ヨーコはアセンダントに同じサビアンシンボルを共有している」こと、それがホロスコープの正しさの証明だという理論が崩れてしまいます。
オノ・ヨーコのアセンダントのサビアンシンボルは天秤座の9度です。
レクティファイを行ったマーのプロフィールには、こう書かれています。
レクティファイ専門家を自称するアレクサンダー・マーは、おそらく誤った判断を下しました。この件については後の記事で検証していきます。
フィデル・カストロの本当の誕生日
フィデル・カストロの出生データの信頼度はDDです。
こちらもソースノートを確認しましょう。
ゲバラは結婚前の出産をごまかすために1ヶ月早めた記録で出生証明書が作成されましたが、カストロは学校に早く高校に入学できるように1年早い日付に出生証明書が変更されたと記されています。
しかし、このような記述もあります。
カストロ本人は1926年の午前2時生まれだと誓っているし、そう信じています。また、キューバ国内の公式情報でも26年生まれで通っており、wikipediaにも26年生まれと記されています。
しかし、どうも27年生まれが本当のようです。
そのためソースノートの最後には、イスラエルの占星術師、アイザック・スタークマンが「1927年にレクティファイ(修正)した」と記されています。
スタークマンもレクティファイに特化したプロ占星術師で、レクティファイを自動で行うソフトウェアをリリースしているとのこと。
Polaris Rectification Software by Isaac Starkman
これみたいですね。
(僕はこのソフトを使える環境を持っていないので、どのようにレクティファイを行うのかご存知の方ががいましたら是非教えてください。)
2つ存在する誕生日や信頼度の低いデータをどう考えるか?
さて、一通りの出生データの調べ方を説明しました。
ここで疑問が湧いてきます。
チェ・ゲバラは、死後に母親から本当の生年月日が明かされました。この場合、例えばゲバラが生前に占星術師に出生図を読み取ってもらうとします。
その結果は、本当の生年月日と異なるので、あてにならない結果となるのでしょうか?
フィデル・カストロは、自分自身で1926年生まれだと信じていますし、公式にも26年生まれで情報が流れています。しかし27年生まれが真実のようです。
カストロの公式記録の26年生まれの出生図は、不正確な情報を示すのでしょうか?
チャップリンは、自分自身で「1889年4月16日20:00にロンドンで生まれた」と書いています。しかし実際には諸説あります。
チャップリン本人が信じている出生データに間違いがあった場合、占星術から本当の情報を知ることはできないのでしょうか?
そもそもの話。これは皆さん気になるところだと思うのですが。
デジタル時計の無い時代に、生まれた瞬間の正確な記録など存在し得るのでしょうか?
時計がずれている可能性もありますし、都合による出生記録の変更すら、昔は多々ありました(ゲバラもカストロもこれに当たる)。
「20:00生まれ」のような「ちょうど」な時間は、本当は「20:03分」なのに繰り上げ、繰り下げが行われている可能性があるなどと、占星術師の間でもよく問われるテーマです。
「太陽とアングルの5つの軸」で真実が分かる
ここで、僕が提唱している「太陽とアングルの5つの軸」が役に立ちます。
この記事、読んでくださいね。
たとえばジョン・レノンの出生時間が正しいかどうかを判断したい場合。
5枚の出生図をオノ・ヨーコと比較すると、アセンダントに天秤座9度のサビアンシンボルの一致があることは前述しました。
これをジョン・レノンにとっての、他の重要人物の出生図とも比較することで、サビアンシンボルの一致による判断の信頼性を高めていくことができます。
たとえばポール・マッカートニーとか。
フィデル・カストロの出生時間が正しいかを判断したい場合は。
チェ・ゲバラと魚座14度のアセンダントを共有していることは前述しました。
カストロにとっての他の重要人物の出生図もチェックして、この技法の信頼度を高めていきます。
たとえば、キューバ革命の3人目の英雄、カミロ・シエンフェゴスとか。
自著に出生時間を記しているが、複数の証言があるために信頼度XXとなっているチャールズ・チャップリンも、同じ手法で信頼度を確認できます。
ともかく、信頼度のランクよりも、5枚の出生図を、重要な他者と比較することで、真実に近づけるということです。
ゲバラとカストロは、公式に広まっている偽の誕生日と、本当の誕生日があるけど、どっちを見ればいいの?どっちが本当なの?
という疑問に対しては。
この記事内で簡単に説明は出来ません。僕は真実に到達したつもりですが、後の記事で解説します。明確な証拠を提示して、確実に占星術の謎を証明していきます。
世界初の占星術の真実を、どんどんアップしていきます。ようやく準備が整いました。
データバンクの作成者の紹介
長くなってしまったのですが、占星術理論の証明に必須のデータバンクの作成者へ敬意を表すべく、最後に紹介したいと思います。
ロイス・ロッデン
Astro-Databankは、元々はロイス・ロッデン氏が収集し、管理していたデータベースを、スイスのAstrodienst社が買い取ったようです。
当記事で解説している出生時間の信頼度のランキングは、ロイス氏が定義したものです。
ロイス・ロッデン(アメリカ) → Astrodienst(スイス) → Astrotheme(フランス)へと受け継がれている膨大なデータベース。占星術研究には欠かせない、大変貴重なものです。
フィリップ・ヴェル
Astrothemeの創設者はフィリップ・ヴェル(Philippe Lepoivre de Vesle)氏です。エンジニアであり、IT関係の会社の社長でした。
以下、本人のチャート掲載ページより引用です。
システムとITのプロだからこそ実現出来た、素晴らしいサイトです。
ASTRODIENST + ASTROTHEMEは、占星術研究に不可欠です。インターネットとデータベースにより、占星術の可能性は飛躍的に向上しました。
貴重なデータベースから、僕がさらに上の次元へ占星術理論を押し上げていきます。
5枚の出生図から真実を読み取る 〜理論の解説記事一覧〜
1)基本の専門用語と意味一覧 +ホロスコープの出力方法(5種の出生図 / 小惑星含む)
2)5種の出生図の略称について
3)運命を可視化する「太陽とアングルの5つの軸」
4月からサビアンシンボルの分析セッションを始めます。
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