見出し画像

3人の事例から考える、「やりたいことを肩書にする」こととは?

今回は、COMEMOのお題 #肩書を複数持つ必要ありますか について、私自身いくつもの肩書を使い分けてきたので、実践例も紹介しつつ、書きたいと思います。

やりたいことを見つけるために複数の肩書を持つ

まずストレートに複数持つ必要があるかないかと問われると、自分のやりたいことが1つの肩書でできるなら複数は必要ない。複数あった方がやりたいことができるなら、複数持つ方が良いでしょう。最初にこんな結論を書くと興味ない人は最後まで読んでくれないかもしれないけれども、自信をもってそう言い切れます。

そもそもやりたいことができてる人はそんなに多くはないですし、私自身や知人たちもそうですが、複数の肩書を持つことでやりたいことに出会えた人が多いので、肩書を持つならトライしたいことで持てば良いと思うのです。

特に会社員の方は、やりたいことができる環境にいる人は稀で、給料もらって働いているんだから、やりたい・やりたくないは関係なく、まず目の前の仕事をするべきじゃないかと考える人が一般的じゃないでしょうか。

さらに、パートや派遣社員など非正規雇用の方々も、総務省のデータによると役員を除く雇用者数の約4割もいて、そもそも肩書って何?名刺なんて持ってないし、欲しくもないって感じてる人も多数います。

さらに突っ込むと、名刺がないと自己紹介もまともにできない大企業や有名ブランドの看板で仕事してる人は、その肩書はあなたの何なの?って思ったりもします。

稼ぐための副業は複数の肩書なの?

企業視点で見れば、業績悪化や人材の流動化のために副業解禁の流れはコロナの影響もあって加速しています。利用者視点では、副業系のマッチングサービスやシェアリングエコノミーのプラットフォームもたくさんあります。

では、これらの副業がやりたいことなのか?と問われると、大半は生活費を補填するために、できることを副業しているのであって、やりたいことにトライしているかは疑問です。稼ぐためであれば、本業を頑張るか、転職してキャリアップする方が本来は良いでしょう。

それができないから副業しているのであれば、例え素人で無給のような状態から始まったとしても、自分のやってみたい領域で、やってみたいことにトライすることをオススメしたい。それこそがあなたにとっての肩書になっていくのではないでしょうか?

会社員が複数の肩書を持つ3人の実践例

最後に、最近出会った人の中で、会社員でありながら、これは良いなと応援や一緒に仕事をしたいと思う、複数の肩書を持ってやりたいことを見つけた人たちの事例を紹介します。

・20代会社員 佐藤飛鳥さん(26)の場合

東京で短大を卒業後、販売職を経て食品専門商社の営業に転職。飲食店向けの卸を経験する中で、地元秋田県の野菜が余っている事実と、東京ではなかなか買えないことに気づき、秋田県内産の野菜を専門に、主に首都圏の量販店や飲食店へ卸す卸売を開始することに。本当は商社で秋田の山菜を扱おうと計画していたところ会社都合で退職することになり、自分でやろう!と22歳で決意したとのこと。

画像1

とはいえ、それだけで食べていけるわけでもなく、その後、デザイン会社に入社し飲食店の立ち上げやマネジメント、メニュー開発に従事しながら、提携農家を増やし、卸先を増やし、マルシェなどで販売会を重ね、順調に事業を成長させて独立を果たします。

秋田と東京の二拠点生活をしながら、提携農家を50まで増やし、今年は300万円以上のクラウドファンディングを成功させ、BtoBの農家向けのおじいちゃんおばあちゃんでも使える受発注システムを開発中。

私の会社で提供しているADDressの農業のアドバイザーもして頂いており、昨年からADDress清川村邸の畑作りのワークショップを実施してもらっています。

彼女のように会社員時代の気づきからやってみたいことを見つけ、社内でできないならば、自分でやってみようと決意。そして、会社員をしながらトライをはじめ、独立するというまさにやりたいことのために肩書を自ら作った好例だと思います。

「若いから、経験がないから」というのは彼女を見ていると良い訳にしかなりません。むしろ前へ前へ明るく進む彼女には大勢の支援者が増え、コロナによってますます注目も集まっています。BtoCで秋田県産の野菜やお米が毎月届くサブスクの定期便もされており、自炊されている方にはオススメです。

・30代会社員 出濱 義人さん(36)の場合

出濱さんとは今年の11月に知り合ったばかりですが、ADDressの熊本県多良木町で開催したワークショップの企画およびファシリテーターをお願いしたことがご縁です。

画像2


本業は大手人材会社で働かれており、ファシリテーターの仕事は個人の副業としてライフワークとして受けているとのことでした。特に地域で数日間滞在し、五感を活かしたワークショップや、フィールドワーク、対話と自己の内省、地域の自然や歴史、特にそこで暮らす人たちとの交流を重視したプログラムと自然体を引き出すファシリテーションを全国各地でされています。

私自身も多良木町で、11月の前半に3日間、さらに後半3日間参加させて頂き、非常にリフレッシュと気づきの多い時間で、U理論の実践や参加者と地域の方々が深く繋がっていくことを体験しました。これが副業だということが信じられないクウォリティで、出濱さんとも昼も夜お酒を飲みながらもたくさん話しましたが、ライフワークとしてやりたいことを追求されている姿がとても印象的でした。

画像3

コロナによってリモートワークもしやすくなり、時間管理より仕事の成果の管理へと進んでいる会社は変わってきています。

出濱さんは、今月会社員のまま、合同会社life in LIFEを設立され、2足の草鞋を本格的に歩む選択をされました。出濱さんの会社設立の想いを一部引用させて頂きます。

「ありのままの想いが表現され、それが循環することで生まれる豊かさ」が暮らす、はたらく、生きる、さまざまな場面から生まれることを意図した器をつくりました。

・ひとの想いが循環することで起こる心の動き、揺らぎから、在り方を“問いほぐし”てみること。
・自然の中に身をおいて、只々今この瞬間を味わい、捉えてみること。
・ものやことに触れた時に感じた感覚やそこに込められたストーリーを起点に自分を見つめてみること。
・自分がいいと思うものを広く発信すること、実際に自分でものづくりしてみること。
・お世話になっている地域や人に、何か返していくこと。新しい関わり方の形をつくること。など。
こんなことを形づくっていこうと思っている。

・40代会社員/起業家 佐別当隆志(43)の場合

私自身は2000年にガイアックスというIT系のスタートアップに入社し、現在は株式会社アドレスという会社を起業しましたが、実はまだガイアックスの社員でもあり、シェアリングエコノミー協会という業界団体にも携わっています。肩書としては、会社員でもあり、起業家でもあり、業界団体の理事でもあります。もう少し補足すると自宅の空き部屋ですが、シェアハウスと民泊物件のオーナーでもあります。

図1

肩書を複数持ち始めたのは、10年近く前ですが、今のままの会社員でいて良いのか?自分のキャリアを考えると、やりたいことに近づいている感覚から遠く、社長や役員の相談し、事業責任者や部長職、経営会議から離れ、給与は下がるものの、ライフプランを支援してもらう自由な働き方を認めてもらいました。そこからサラリーマンの特権、住宅ローンで自宅を購入し、シェアハウスや民泊の運用をはじめ、シェアリングエコノミーに関心を持ち、業界団体を立ち上げて、気が付けば起業していました。

画像5

会社の中でできないことを、個人事業で始め、個人や会社でできないことを、業界団体で始め、それでもできないことを、起業して今一番やりたいことに集中できています。

ガイアックスは働き方改革で言うとかなり先進的です。社員や事業責任者が事業部ごと独立したり、私のように起業する際にシード出資したり、上場企業を何社も生み出す投資会社に変貌しつつあります。社員に対して副業は積極的に推奨し、新卒採用やインターンシップ、起業家志望の採用は積極的ですが、その後は社員を積極的に起業やフリーランスなど独立支援をしています。

個人がやりたいことにチャレンジするために肩書を複数もつとともに、会社もそんな個人のライフプラン、ライフプランを会社の中で提供できないなら、外で実現できるようにサポートする。それが会社にもプラスになるような関係性なれば、会社にとってもプラスになっていきます。

私もADDressで、社員役員は15人程度ですが、業務委託など副業で関わってくれている人たちは100人近くいると思います。社員・役員も副業しているメンバーも多いですし、今後会社という枠組みもかなり曖昧なものになっていくでしょう。その時に、1つの会社でやりたいことができていれば良いですが、できていなければ肩書を持ってみてはいかがでしょうか?

ちなみに個人的には、百姓に憧れています。百姓には、百の仕事をする人、百の肩書がある人という意味あるそうです。農業も家づくりも革細工や洋服づくり、釣りや魚をさばいたり、料理やお酒をつくったり、色々できるようになりたいです。もちろんITを活用した仕事や本を書いたり、投資をしたり、今の時代、これからの時代にあった百姓に憧れています。

みなさんも2021年、時代も大きく変わっていく中、やりたいことで肩書を1つ追加してみてはどうでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?