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特色ゴールドで推しの服と髪を輝かせる話

どうも! 画力はないのに毎度凝った装丁で同人誌を出すオタクです!(自己紹介)

まずはこれを見てくれ。

お分かりいただけるだろうか…

金色の装飾が「金色」であるほかに、髪とベストの布地がメタルカラーに輝いているのが、おわかりいただけるだろうか!

これ印刷やったことある人ほどエッどうやったの!?
ってなって、やったことない人はハイ??? だと思うんだけど、ちょっと今回はあまりにこれをやってもらったときの仕事が丁寧で感動したンでnoteにまとめます次第です。

何をしたのか

通常のフルカラー印刷にゴールド(金色)のインクを追加して印刷してもらいました。

もう俺が説明するのも何なんで調べたほうが早いんだけど、かんたんに印刷について話すと、フルカラーの印刷物って基本的に全部で4色のインクの組み合わせで印刷されているんですよ。
シアン(水色ぽい青「C」)、マゼンタ(ピンクぽい赤「M」)、イエロー(黄色「Y」)、そしてブラック(黒、キープレートと呼ぶのでその頭文字「K」)です。すべての色がこの色を混ぜ合わせて……というか目に見えないほど小さい点々で印刷されて混じり合って「フルカラー」に見えています。

で、じゃあお菓子の箱とかでキラキラしたり不透明なインクが使われてるの、何なん? て話なんですけど、それが「特色」インクです。

その特色印刷技術を同人誌むけに提供しておられる同レボ! さん

……中身は富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社さん(旧ゼロックスさんと言うと一部のビジネスメンとサカオタにはわかるやも?)に、これ使いたいんスけど、具体的にどうなりますかね~? って問い合わせたのが今回の話です。

まずは問い合わせてみた

このnoteはまだ具体的な同人誌をだした話ではなくて(この後加筆して同人誌の表紙になります)、こういう印刷したいんだけど具体的にどう色が出るのかわかんないッス教えて! と問い合わせた結果になります。

俺からの問い合わせ

特色、いろいろあるんですが俺の場合推しが金髪なのと金色の装飾をいれたかったのでゴールドを使いたかったんですが、ゴールドってもともと黄色っぽい色味なので、原稿のつくりかたがわかりづらいんですよ。
なので聞いてみよう! と思って、同レボさんの問い合わせ先にメールしました。印刷所さんに聞いてもいいんですが、偶然俺のツイートを引用RTして問い合わせ先を教えてくださった縁で、同レボさんのほうに問い合わせ。

とにかくやりたいことを絵にして送った

印刷わかんない方は「インクを混ぜ混ぜしたいんだなー」くらいに思ってもらえれば大丈夫です。どれくらいの濃さで混ぜたらいい感じにキラキラになりますかね? という問い合わせがこれ。そして…

お返事がすぐきた!

懇切丁寧な赤ペン先生!

とはいえ実物を見ないとなんとも、ということで問い合わせ先リンク(下記ツイートのリンク先、同レボさんのサイトから飛ぶのはちょっと手間なのでここから飛ぶとヨシ)から現物サンプルも取り寄せました。

入力欄には「会社名」「部署名」必須だけど、俺はマジでただの趣味なので全部に「個人」と入力して送ってもらえましたですよ。やさしい!

そして届いたのがこちら!
ポスト投函ではなく佐川できました。仕事が丁寧だ……業務だ……

このレシピが大助かりで!!!

「CMYKの4色のうちどのインクをどのくらい+ゴールドをどのくらいのせればこの色になるか」というパレットです。

「これさえ守ればこの色になる」とわかったので、原稿の方向性を急転換し、「レシピどおりにしたいところにレシピの色をいれる」という原稿にしました。ベストの色もグリーン予定だった子はそのまま、別色予定だった子はKと混ぜた濃い黄色にしました。

原稿作成

同レボさんからのメールにこんなことが書いてありまして。

…ほんとにそこまでしてもらっていいのぉ!?

もうクッソ少部数どピコサークルが図々しいにもほどがあるんですけど、「せっかく聞けるのに聞かずにやって、失敗して文句を言うのは筋違い」
……ですので(社会人のみんなならわかるよな)、急ピッチで原稿を作成して刷ってもらうことにしました。

できた原稿

フルカラーの版がこれです。

色が完成イメージよりだいぶちがう。

その上にのせるゴールド用の版がこれ。

特色を刷るときはこうして黒一色でつくります

実際にはこの濃さでゴールドのインクが乗っかります。
問い合わせした内容よりずっとゴールドを濃く、カラーを薄くしました。

で以下オフセットとかで単色刷りやったり箔押しやったりしたことがあって「なんで濃度違いがあるの!?」と思った人向けの話なんですが、このゴールドほか同レボさん取り扱いの特色は「濃度違いを」「フルカラー版の上に乗せる(実際の印刷順はゴールド→CMYK)」ことができ、そこで「混色」をする、ということができます。

なのでシルバーの上に薄めのシアンでブルーシルバーとか、少し濃くして影とか、そういう仕込みができるんですね。
その混色の具体的なレシピが資料にあったんで、それを参考にCMYK・ゴールド両版をつくったという感じです。

クリスタのCMYK~ッ!

この項は「印刷原稿の経験があって」「クリスタを使っていて」「フォトショなどを持っていない」人むけの話なんですが……

クリスタ、厳密なCMYKは取り扱えないんですよねご存知のとおり。
一応カラースライダーにCMYKは存在するんですが、それでK100%とかC50%とかを作って塗っても、保存したりいじったりしてからスポイトすると別色になっているという……!!

……なので発狂したクリスタ使い印刷マン有志たちがCMYKカラーパレットを作って公開しているんですが、このパレットから色をとってもカラースライダー上ではCMYKカラーになっていません。なんでや!!

……とはいえ画像編集ソフトはクリスタしか持っていないので

・レシピにある色(C20とか)は一応CMYKカラースライダーで作る
・ない色は近似の色を、安全のため上記CMYKパレットからとる
・ゴールド版のK一色は、CMYKカラースライダーの「K100%」だとRGBやHSVで見ると完全な「黒」ではないため、「HSVカラースライダー」の「HSV0%」を使う(普段モノクロ印刷でそれを使って問題なく1色で出ているため)

・ゴールド版の基本的なつくりかたは、光らせたいパーツのレイヤーをコピーして透明色をロックして黒一色で塗りつぶし、濃度調整(ゴールド版とCMYK版でフォルダ分けしておく)
・できあがり色の確認は、「ゴールド版を作業しているフォルダ」の上に1枚、ゴールドのサンプルをスポイトした色で塗りつぶしたレイヤーをつくり、フォルダにクリッピングして、フォルダそのものの合成モードを「乗算」にして確認(だいぶ近い色になります)

……という原稿のつくりかたをしました。

入稿のときも、クリスタでCMYK変換してしまうとクソ思った色にならないため、あえてRGBしか扱えないのでRGBのまま入稿します、とお伝えして先方のソフトで変換してもらう手間をかけてもらっています。申し訳ねえ……

試し刷り結果

psdにしたデータをdropboxに突っ込んでメールでURL送付したところ(この流れもう業務だな、いや先方は業務なんですが俺は趣味なのにマジで仕事積んじゃって申し訳ねえ)
なんと翌日にはTwitterのDMで動画速報がきました! 仕事が早い!!

DMから動画コピーできなくてそれはのせれなくて申し訳ない。
とりあえず動画だけでもだいぶ色は思い通りに出ていることがわかったので、さっそく現物も送ってもらうことに。

どうだ綺麗になつたろう

いやすごいです、ゴールド単色で乗せたところ(CMYK版では白抜きしているところ)はもちろん、もともと色が乗っているところもメタリックに、青っぽかったところはちゃんとグリーンに!!

しかも普通紙とコート紙(つるつるした紙)に二通り刷ってくださっていて、コート紙のほうがよりメタル感が出るということもわかりました。
なので、すでに発注している印刷の仕様をちょっと変更するなどの参考にもなりました。

ありがとうございました、同レボさん!!

まとめ&これから

「シルクに金糸の刺繍で模様をつけている」「髪や瞳の一部がきらきらしている」という表現、絵がうまい人ならふつうの色塗りでもきっと表現できると思うんです。
でも、俺の画力では表現できないことを日本の最先端技術がかなえてくれるという話でした。

しかも何もかも親切すぎて助かりしかなかった……丁寧な仕事だった……でも深夜にRTするのは仕事しすぎなんで寝てくださいありがとうございます……

今回俺が問い合わせたのは「印刷技術を提供している会社さん」なので、使う予定の印刷所が決まっているのであればそちらに問い合わせても良いと思います(なかでもサンライズさんは今ちょうど試し刷りキャンペーン中だそうで、この特色ゴールドなども入っているそうです)。

年末納品分までは同レボさんサイトでクーポン取得するとお得なので冬コミや12月イベント原稿これからのみんなたち見逃すな!

俺の原稿は11月締切なんですが納品は2月のスタブさん鬼早割なのでクーポン使えないのだ! 俺のぶんまで……たのんだ……!

まずは資料請求からやってみると良いかと思います。
イベントとか行ける人はそこで配布しているそうなのでそこでも!

俺はこれからこの表紙の試し刷りをうけての加筆と、中身をがんばります! ありがとうございました!