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頭が悪いね

衆院長崎3区から7回連続当選、2003年暮れの衆院選に当選してから約20年にわたって国会議員を続けてきた議員が辞職願いを2024年1月22日提出した。政治資金規制法に違反する所属派閥からの「キックバック」と呼ばれる金の提供の受授に関する記載報告をしていなかったことで立件され、罰金刑を受ければ辞職していなくても5年公民権停止となる見込みであったとされる。

これで2021年10月に実施された第49回衆院選で当選した3区、4区の議員は任期途中で死亡、議員辞職で新たな議員が選出されることになった。高齢化社会でこのような経過も仕方ない側面もあるかもしれないが、その責任の一端は有権者にもあるだろう。表題にあげたのは、辞職願を提出した議員がマスメディアの取材を受ける中で発したと伝わる言葉になる。県議時代からすると36年の議員生活であったらしい。長崎新幹線の誘致や離島振興策に熱心で、支持者からは熱い信頼を寄せられていた側面もあったようだ。しかし、こうした大人の選択を目にしてきた土地に育つ若者たちが、この地に残ろうとしない選択をすることは健全な姿のようにさえ思えてくる。

次回の衆院選からは4区から3区に長崎県は議員数が減ることが決まっており、4月に補選があってもその残りの任期は1年半程になるようである。衆院の議会の中で般若心経を唱えたことでも知られた議員が、今回潔く非を認めて議員を辞職したことは消極的ながら評価しておきたい。窮地に立たされたマスコミ会見で「頭が悪いね」と、記者らに悪態をつく程度の対応しか取れない人物であったのだろうし、その様な議員を20年にわたって支持し続けてきた有権者やその成果として達成した長崎新幹線がどれ程の夢や希望を実現したのかについては疑問も抱かざるを得ない。

長期的な視点に立ち老若男女にとって、高速鉄道の誘致が地方都市に暮らす有権者の政治選択として優先されることはあってもよかっただろうが、その強引な公共事業の取り組みは隣県佐賀県の反発を招く事態にもなり、諫早湾干拓事業でも類似の九州圏内での利害の対立も生み出してきた要因とならなかったのか…論理の飛躍は控えるべきだと思うものの、一議員の過ちは議員1人の過ちとしてのみ済まされる筈もないのではないかと思う。人口減少は必然として起きている視点も必要なのではないだろうか…。

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