成田山祇園会
成田の精神疾患のひとたちが集まる自助会(ぴあ活動)に参加した。東京から成田まで2時間ほどかかった。自助会のひとたちはみんな気さくだった。もっと深刻な話をするのかと思っていたが、意外にもどこのスーパーの弁当が安いとか、最近見たい映画があるんだとか、普通の会話であった。私も楽しく話に入らせてもらった。メモを取ろうと意気込んで持ってきたノートは結局鞄に入ったままで、お菓子を食べながら友達と話すような気軽さで話した。千葉の話をききながら、ふと今日は祇園祭が催されると聞いた。成田祇園祭にいったことがなかったので、ぜひ行ってみたいと言えば、みんなで行こうかということになった。階上からおひねりを渡すところを初めて見た。午後6時ごろ、昼と宵の境目の時間、薄闇のなかでお囃子が響く。あちこちにあるうなぎ屋の炭火のにおい。カラフルな金魚を背中にくくりつけたような浴衣を着た少女たち。階上からおひねりを渡すところを初めて見た。冷やしたきゅうりが美味しそうだ。想像していたよりも人が多くて途中から雨が降ったので、私たちはお互いはぐれないように必死だった。持病があるから、ひとごみにいるのは私より大変だろうに、自助会のひとたちは私が離れないように目くばせしてくれる。雨で反射する提灯の光と、笛の音と、一緒に行ってくれた自助会のひとたちの気遣いとが溶け合って、7月の熱い夜に溶けていった。
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