信州ブレイブウォリアーズ 22-23シーズンvs東京GAME2レビュー

はじめに

どうも皆さん砂漠のひろしです。
いよいよ始まったBリーグ22-23シーズン。
信州ブレイブウォリアーズは難敵アルバルク東京をホームに迎えての試合でした。
GAME1は勝てた試合を落とした信州に対し、苦しみながらも最後は勝ち切った東京という感じで、GAME2は互いに修正ポイントがありながらどういう試合になるか?という試合でした。

1Q 信州21-15東京

試合の入りは今日も信州が先手を取りました。
ボールキャリーは生原が務め、ハーフコートのゲームメイクは前田が務めるという風に役割分担をして試合に臨んでいた印象です。
東京はバランスキー選手をスターティングに持ってきて、フィジカルのミスマッチで攻めるという意図を見せ、実際にこの試合でバランスキー選手はツーポイントシュートをパーフェクトに決め切りました。
リバウンド争いで後れを取りながらもファウルを使いながらもなんとか凌ぎ、このQは信州が6点のリードを得ました。

2Q 信州23-22東京

このQで一時東京に逆転を許しましたが、すぐさま再逆転。
結果的には、これ以降一度も東京にリードを許す事無く逃げ切る事に成功しました。
このQでは栗原選手がスリーを2本決めるなど、苦しいところを何とか繋いでくれた印象があります。

3Q 信州15-10東京

信州からすればハイスコアだった前半とは様相が一転、このQでは東京を10点に抑えるなどディフェンス面で引き締める。
オフェンス面ではシュート成功率が軒並み低く、特にフリースローは10本貰いながら5本しか決める事が出来ず、リードを12点に広げながらもどこか嫌な雰囲気で4Qに突入。

4Q 信州20-20東京

コブス選手の連続スリーで点差を1桁差にされるなど、GAME1の悪夢が頭をよぎりながらも、その度に前田選手が苦しいシュートをねじ込み、なんとか粘りながら東京に点差を縮める事を許さず、このQのスコアは共に20点ずつと、3Qまでの点差を維持した信州が東京を振り切り、嬉しい今シーズン&アルバルク東京から初勝利を挙げた。

ピックアップ解説。

さて、試合を通してのざっくりレビューをしましたが、斎藤崇人さんのnoteにあやかり、僕も気になった選手のプレイや、特定のシーンに絞って深堀解説をしたいなと思います。
クオリティの程はどうかご容赦を、僕も言語化して伝えるのは苦手ですが、なんとか伝わる様に書きたいですね。大丈夫、シーズンは長いんだ。(現実逃避)

前田選手のここが凄い。

この試合のMVPに輝いた前田ですが、特にスリーの精度が高く、また5本試投したシチュエーションで前田選手のスリーに対する自信が、昨シーズンとは比べ物にならないというところを見せてくれました。

1本目はバスケットLIVEで解説の斎藤さんも「珍しい」と言われていた様に、スクリーンを使ってのプルアップジャンパーというシチュエーションでした。
どちらかというと、こういうシュートは西山選手であったり、熊谷選手や岡田選手しかしないと思っていただけに、本当に意外というか、率直に「このシュートを選ぶのか」と思いました。そして、決め切ったのも見事。

2本目はリバウンドを確保した前田選手がそのままボールを運び、マクヘンリー選手とマーシャル選手のスクリーンを使ってのプルアップスリーでした。
結果としては外れてしまいましたが、マッチアップしていた田中選手がアンダーに入った瞬間でのスリーでしたのでドンドン打っていい場面ですが、去年の彼だとあまり選択していないシチュエーションだったので、1本目の成功から良いイメージで打てたのかなと思います。

3本目もこれまでと同様にスクリーンを使ってのプルアップスリー。
ここまで懐疑的だった僕もいよいよ「今年の前田はこういうシュートを打っていい選手なんだ」と思う様になりました。
しかもこのスリーは打つ前にステップサイドもしていて、非常に難易度の高いスリーにもかかわらず、シュートの軌道は入ってもおかしくないモノでした。

4本目は攻め手が無く、最後にボールを託された中でのシュートで、苦しいチームを救ってくれました。
スクリーンも何もなく、ドリブルムーブで相手を崩してのステップバックスリーという難しいシュートです。

5本目も相手を崩し切れず、最後に託された形での、ロングスリー。
ボールを受けた前田は、右足でジャブステップし、相手がドライブに警戒して一瞬下がったところでスリーを放ち決めました。
ディフェンス側から見れば、前田選手は

①ドライブ力があり
②昨シーズンまではスリーが得意ではなく
③スリーポイントシュートのラインよりも離れた位置にいた


以上の3点を踏まえて下がって守るのは。正しい選択ではあったのですが、前田選手がその上を行くプレイを見せて決め切りました。

試投した5本全てのスリーがキャッチ&シュートではなく、自らのドリブルであったりステップでクリエイトしたスリーです。
今シーズンの前田選手のスリーに対する自信が垣間見れた試合でした。

そしてドライブのシーンでちょっと胸が熱くなったシーンが。
4Q4:35からのドリブルムーブです。
マーシャル選手のスクリーンをあえて使わないリジェクトというプレイを選択しましたが、マッチアップしていたバランスキー選手はきっちりと反応しコースに入り、前田選手は一旦ドライブを緩めました。が、そこから急加速。これに反応できなかったバランスキー選手を抜き去るとヘルプに来たコブス選手に身体を当てながら決めました。
ドライブを緩めてから、急加速し抜くこのスキルをチェンジオブペースと言いますが、このムーブを得意にしていたのは昨シーズンまで在籍していた西山選手でした。
CMも西山選手から受け継ぎ、そしてプレイも受け継いだ姿に、胸が熱くなりました。
「信州は俺が背負っていく」。言質取ったからな?(脅し)

信州の2Q残り1:10からのオフェンスのここが凄い

ここでは2Q残り1:04に栗原選手が決めたスリーを引き出した一連の流れを作ったプレイを解説したいと思います。
シチュエーションとしては3点差(ワンポゼッション差)に迫られ、どうしても得点をしたい信州が行ったオフェンスの流れがとても綺麗でした。

2Q残り1:10
栗原選手がコーナーから、マクヘンリー選手とマーシャル選手のオフボールスクリーンを使い、トップに駆け上がろうとします。
これは信州がウイングの選手にボールを預ける時に良く行うセットで、フリーになっていればそのままスリー。フリーにならなければ、ボールを貰った選手(ここでは栗原選手)がマーシャル選手とPnRをする。という風に移行する事が多く、そしてそれは東京の選手もある程度予想していたであろう流れでした。

なので、スクリーンをかけた両選手のマッチアップしていたロシター選手とカーク選手の意識は自らのマークマンと栗原選手に向き、熊谷選手から完全に目を離している状況でした。
それを認識した熊谷選手は、敢えてそのセットを中断し、自らのドライブを選択し、コーナーの三ツ井選手にパス。

2Q残り1:08
熊谷選手への意識を全く割いていなかったカーク選手は、慌ててヘルプに向かい、ドライブを選択した三ツ井選手の前に立ちふさがります。
が、この時点で、マーシャル選手は次の次のプレイまで読み、ウイングの位置で待機。
また、栗原選手もマーシャル選手と反対のウイングまで開きました。

なぜマーシャル選手が敢えてスリーポイントシュートのラインより外で待機したかというと、自分もインサイドに入ってしまうと、栗原選手がフリーになれないと判断した為でしょう。

というのも、マーシャル選手にマッチアップしている、カーク選手はペイントエリアで守っている為、田中選手はマーシャル選手と栗原選手を同時に守らなければならない状態になっていました。
ここでペイントエリアにマーシャル選手が行ってしまうと、カーク選手のヘルプが間に合う位置になり、田中選手は栗原選手のディフェンスだけに専念する事が出来ます。

なので、マーシャル選手は敢えてインサイドに向かわず、田中選手に対し「俺もスリーを狙うぞ」というアピールをし、田中選手のディフェンスに負荷をかけました。

そして、2Q残り1:07
ドライブを選択した三ツ井選手の前にはカーク選手がおり、安易にシュートに行ってはブロックされてしまうのでパスを選択。
その際、三ツ井選手は顔をマーシャル選手に向けました。
それを見た田中選手は、マーシャル選手へのキックアウトパスを予測し、パスコースを切りました。

マーシャル選手と栗原選手両名を守らなければならない田中選手は焦ることなく、三ツ井選手の挙動からマーシャル選手へのパスを読んだプレイも見事でしたが、三ツ井選手はそれをも読み、逆サイドに広がっていた栗原選手にパス。見事ノーマークを演出しました。

この一連の動きがセットだったのか、熊谷選手が敢えて崩したのか非常に気になりますが、相手の想定を上回る手を打てた事、そして欲しい時に狙い通り点を取れた事。その全てが素晴らしかったと思います。

言葉だと伝えにくいので、この一連の流れを映像で見るとわかりやすいかなあと思いますので、バスケットLIVEの再生時間01:37:10からご覧いただければと思います。

東京の気になったところ

長らく続いたルカ体制に区切りをつけ、新たなHCを招聘して生まれ変わりのシーズンとなった東京の門出ですが、1勝1敗と勝敗だけ見ればまずまずと言った感じですが、実態は厳しいものだと感じました。
勝利したGAME1も内容としては信州の勝ちゲームで、信州が自滅したからこそ勝利の様にも見えます。(勿論、東京のディフェンスやオフェンスの我慢もありましたが)

僕の勝手なイメージですが、東京は試合の各シチュエーション毎に、各自のやるべき事が決まっていて、その通りに動くというイメージがありました。
言い換えると用意されたシステムに対する遂行力の高さが東京の武器であったと思います。
ルカ前HCはシステムに選手を当てはめるタイプで、そのシステムが田中選手やカーク選手などには合っていたからこその強さだったのかなと思います。

この2試合を観戦した感じですが、少なくともオフェンス面では昨シーズンの特徴だったミドルレンジシュートを主体とした戦い方は継続なのかな?と思います。
ただ、随所に現れる違和感がどうにも拭えない。
観ている僕がそうですからやっている選手は尚更でしょう。

それを特に感じたのは勝負所の4Qです。
強豪と言われるチームは特に僅差で追いかける4Qで特にその真価を発揮します。
オフェンスでミスすることなく、着実に点差を詰める事で相手チームに点を取らないと追いつかれると思わせて相手のミスを誘発し、それこそ信州戦GAME1の様に最後には逆転します。

しかし、GAME2の東京は追いかける展開でらしくないミスを連発しました。
しかもそのミスの内容はシュートが決まらなかった以前に、選手がどういうプレイをするべきか迷っている様に見えました。

特に感じたのは4Q残り1:45からのプレイ。
タイムアウト後に、フロントコートからのプレイを選択。
コブス選手にボールが渡った後、おそらく田中選手にボールを預けたかったのでしょうが、それが上手くいかず次善の策として次のプレイに移ったところで、ロシター選手とサイズ選手がスクリーンをかけに行く動きを見せました。
しかし両選手ともにお互いを伺いながらのプレイで、殆ど信州を崩す事が出来ないまま、ロシター選手がスリーを打って外れるという、ただただ時間だけを失っただけのプレイになりました。
今までの東京ではありえないミスで、まだまだ調整段階という風に感じ、信州からすればある意味ではこのタイミングで試合が出来た事はラッキーだったかもしれません。(だからこそGAME1も勝ちたかったなあ…))

選手ごとの採点&印象

熊谷:6.0
安定感の塊で、4ファウルしても慌てる事無く試合に出続けた。

栗原:6.0
前半だけで11得点とオフェンスを牽引。
これだけの精度でスリーを決め切る事が出来ると信州のオフェンスにも幅が出来るので、これからも期待しかない。

マシュー:出場無し

前田:6.5
文句なしのこの試合のPlayer of the Game。
打ち切ったシュートはどれも簡単なモノではなく、間違いなくエースと呼ぶにふさわしいパフォーマンスだった。

ホーキンソン:6.0
今日も今日とて速攻の先頭を走る献身性。
リバウンド争いでもサイズ選手に競り合い頑張った。

サイモン:出場無し
GAME1では2Qで出番があったが、この試合ではお呼がかからなかった。
次節の群馬戦でもマッチアップの相手によっては出場するか?というところか。

三ツ井:5.5
ディフェンス職人としてだけでなく、オフェンスでもドライブからのキックアウトパスで栗原選手のスリーをお膳立て。
次節の群馬戦にはジョーンズ選手がいるので、守りの面でチームを引っ張って欲しい。

生原:5.5
前線からのディフェンスと落ち着いたゲームメイクを見せた。
ファウルアウトしてしまったが、ファウルの内2つは余計なファウルなので次節は我慢を。

マーシャル:6.5
GAME1よりはスタッツは落としたが、それでも十二分に活躍。
フリースローだけは要改善。

マクヘンリー:6.0
苦しい場面で2本のスリーをヒットさせ、ディフェンスではサイズ選手に対し仕事をさせなかった。
吉井選手相手にポストアップした際、押し込めずに難しいフェイダウェイシュートを選択するなど、衰えはあるがそれでも仕事はきっちり果たした。

岡田:5.5
シュート確率は悪かったものの、アシストは4つを記録した。
ディフェンスもエナジーを見せ、昨シーズンまでは納得がいかない判定の時は審判に詰め寄っていたが、そういうシーンは無くプレイに集中できていた。

さいごに

次節は、昨年プレシーズンゲームも含めると3連敗した群馬との対戦です。
ホームに迎えての試合という事で、ブースターの後押し前回で勝ち切りましょう!


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