Vtuberのゲーム実況のグラディーション

数カ月前からVtuberのゲーム実況にはまって、色々と見続けている。
結構見慣れてきて、同じゲーム実況でも、どういう所が面白いかという部分には結構違いがあるのように思えてきた。

これはこのタイプのゲーム実況で、ここが面白いと言えると、今後面白い実況を探していくのにもよさそうなので、勝手に分類しながら最近みた面白かったゲーム実況配信を並べてみる。


A. ゲームを素直に楽しむ人たち

面白いゲームをやって、素直にゲームに驚いたり喜んだり、試行錯誤しているのは当たり前に面白い。捻らずに素直に遊んでるから、普通にプレイした経験がある自分でも、悪戦苦闘する所に共感したり、難所をゲームスキルや根性で突破する所を賞賛したりできる。

1.
#01【Fallout 4/フォールアウト4】リスナーに勧められたからやってみるぞ 配信【葉山舞鈴/にじさんじ】

この人は本当に素直に驚いたり、怒ったり、喜んだりしながら遊ぶのが上手い。犬をかわいがり、何かあるたびに寄り道をし、(オリジナリティあふれる建築のために)寄り道先では灰皿一個すらみのがさず徹底的に拾い、所持重量限界に泣き、トラップに引っかかるたびに大声で叫ぶ葉山の素直な探索は素直な楽しみ方をやりつくしてしまった既プレイ者には眩しい。

2.
【Vampire Survivors】高評価99%の神ゲーってどういうこと!?【神田笑一/にじさんじ】

本当に面白いゲームを軽く解説したり、色々試しながら楽しくプレイしてくれる正統派。事前に日本語化をしてたり、視聴者意識して準備しているので初見でも見やすくてありがたかった。視聴者に見るより自分で遊ぶのがいいといって、買って遊ぶようにダイマしてるのも普通にゲーム好きの兄ちゃんのようで面白い。実際乗せられてその場で買って遊んでしまった。この配信のおかげでこのゲーム買った人たぶん結構いる。

B. ゲームを通じた成長や交流をやる人たち

高い難易度や、厳しい縛りプレイに苦労しながら解法を探している姿を見せたり、ゲームの大会や、身近な相手に勝つために個人やチームで練習したりしている姿を見せるゲーム配信もある。
すでに何年も練習してきた人が集まる現実のプロスポーツでは、練習で素人目で分かるほど成長したというようなものを見れる事は稀だけども、これが伸びしろの塊のVtuber X ゲームという形になると、時折劇的な成長の過程のドキュメンタリーとして見れることさえある。こういうのには、プロシーンの高みで切磋琢磨する人たちとは違った面白さがある。

1.
【#にじストV部】幽霊部員、久々の部活動【神田笑一/にじさんじ】

成長のドラマであり、部員同士の交流のドラマでもあるにじストV部。
今回、地道に練習してきた安土桃が上手くなってきて、格ゲーうまおな部員達とちゃんと渡り合えるようになっている。
細かな部分で腕前の差はあっても、飛びで崩しにいったり、確定反撃とったり、めくりにガードや空対空したり、技の後隙にしっかりガード入れたりといった基本的な格ゲーの引き出しの部分でシルバー帯の部員達と十分対戦の形になるレベルになってるのが本当に努力がみえた。座学でわかってるだけじゃ意味がなくて、実戦で咄嗟に使えないとダメが基本な格闘ゲームの世界で、こういう引き出しをゼロから作って行っているのは偉さしかない。神田笑一もブランクあっても2キャラちゃんと使える上にこまめにアドバイスができるのが素晴らしいし、葛葉は対戦相手を煽るのが上手い。

交流の観点でも、格闘ゲームコラボを理由に対戦したい人がスッと集まってきて雑談しながら遊んでいくのはまさに部活で、見てて気持ちいい。

2.
【FIFA22】ピーナッツくんにウイイレ教えてもらう【天開司/Vtuber】

こちらは、Vtuber FIFA部のようなものの初回配信。
FIFA大好きだが、遊ぶ相手があまりいなかったピーナッツくんが、天開司の協力を得てFIFAを遊ぶグループを結成する。
回を重ねるごとに続々と人が集まってくる感じや、それぞれ遊んでいく中で役割や得意を見つけていく感じが漫画チックでとてもいい。
ピーナッツくんがいつまでたっても自枠をとらずに、ただ純粋にやかましくFIFA遊んでる人だけとして参加し続けているのも面白い。


C. ゲームとゲームの外の面白さをMIXした表現をやる人たち

ゲームから正解がない厳しい選択を迫られる時や、自由な創造の余地が与えられる時に、プレイヤーの演者個人がが持っている人生観や偏見、キャラクター性がゲームに入り込んでくる時がある。こういうときに、ゲームの面白さと演者の面白さがMIXされて、ゲーム実況特有の面白さがでてくることがあるように思う。

1.
【#01 Detroit: Become Human】僕はデロロイトです人間の皆さん【にじさんじ / 樋口楓】


このゲーム自体が、誰がやってもプレイヤーの人生観や性格が大きく影響するゲームだが、特に樋口楓のゲームプレイは、操作キャラクタの持っている背景ではなく、ゴリゴリにプレイヤー樋口楓の価値観で物語が進んでいく感じがあって面白い。

2.
【NEEDY GIRL OVERDOSE】メンヘラな女の子を2人でトップ配信者にするぞ!【にじさんじ 魔界ノりりむ/卯月コウ】


メンヘラ配信者を育てるゲームを初見プレイ済の二人で会話しながらプレイする。会話は面白がるための雑談的な会話ではなくて、真剣な会話。作中人物の投げかけてくる言葉にスタンプで回答する、ゲーム的はたいした意味のない要素さえ、この配信者に対してこのスタンプで回答するのはいいのかわるいのか、現実の視点で精査していく。
細かく読み込み作中人物の精神性を理解しようとすることで、それをする演者二人の人生観もなんとなく見えてくる変な配信になっている。
ゲームに対する読書会や複数人による精読みたいなアプローチで、ゲームの味わい方として唯一無二だと思う。

3.
【NinNinDnays】セイッ!の6時間~スケベな目線を送ったら即正拳突き~


ここに入れて正解なのか正直よくわからないが、忍者ギャルゲーX アイトラッカーによる罰ゲームという強すぎる一発ネタを持ち込んで一本をとっている。
とはいえこれ、よく考えると忍者キャラの一般的イメージや、男の視線の正直さなどをふまえた、結構ハイコンテクストなバカネタ。
見る側としても罰ゲームの存在によって作中のセクシー要素の出現が必要以上に気にかかり、奇妙な配信で面白かった。

4.
【栄冠ナイン】指示厨と共に目指す甲子園【笹木咲/レオス・ヴィンセント/にじさんじ】


偏見まみれの怪しい独自理論を持ち出すレオス・ヴィンセントの指示に従ってプレイするパワプロ栄冠ナインモード。
指示と指示の結果に対する追求が、コントのようになっていて最初の煽り合いから最後の結末まですべて面白い。先のNEEDY GIRL OVERDOSEもそうだけれど、1人用のゲームを無理やり2人やそれ以上でやるゲーム実況は、
普通に1人ずつ遊んでたら絶対でてこない言葉のやりとりが出てくる。

5.
ルーブル美術館inまめねこ【レオス・ヴィンセント/にじさんじ】


画家として絵を描いていくゲームの中で、自作のマスコットキャラクタを、それっぽいタッチの絵で描いていくシリーズ。地味でスローテンポなゲーム実況ではあるけれど、この人しかできない配信という風で独特な味があって良い。


感想

なんとなく、ゲームにどこまで演者の個性やスタイルを押し出していくかというような部分で、一本軸があるように思う。ゲーム実況としてはどれも好きだけども、個人的にもBやCに近いものは特に自分は既プレイでもその人のプレイが見たいから見るみたいな事が多い。

じゃあ闇雲に個性を押し出してくれれば面白いのかというとそうでもなく、そのゲームである必要がないことをやっていると、冗長さだったり、押し付けのようなネガティブなものも感じてしまうようにも思う。このあたり配信をやってる人のもの凄いバランス感覚を感じる。

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