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2023/12/12(火) 日記。母の昔話。高校三年生。みかん。

母が風邪気味というので、実家へ様子を見に行く。
妹が午前中病院へ付き添ってくれた。
大事にいたらず、薬を何種類か処方してもらい、
思いの外元気そうにリビングで過ごした。

病院の帰りになつかしい店でお芋のお菓子を買ってきたと。
ほんに、まだやっとるんやねえあの店、ああ美味しいわ。

昔話が出る。

母の思い出話というと、母自身の子供時代の出来事ばかりだ。例えば、
戦時中、B29が徳島市内に爆弾を落として空が真っ赤になるのが見えた。怖かった、とか。
防空壕に入ったら、中が水浸しでいやだった、とか。
家の前が銭湯で、全身入れ墨をしたおっさんが裸で外に出てきて涼んでいた、とか。
あとは、昔は子供も大人もよく死んだ、病気や事故で、と、具体的な亡くなった人々の名前をあげていく。
なかなかリアルな描写に何度聞いても圧倒される。

僕の子供時代のことは、ほとんど話題に出ない。
父も母も、生きるための仕事で忙しくて子供のことにはたいしてかまっていられなかったのだろう。
それでも僕にはたくさんの思い出がある。
僕の方からそれらを話しても、「覚えてないわ~」ばかりだ。
まあ、あることないこと子供時代のことをべらべらしゃべられるのもつらそうだが。

一番驚いたのは、母が「あ~~あ~~高校三年せ~~~い」と歌を歌ったことだ。
長いこと親子をやっているが、母が歌を歌うのをほとんど聞いたことがなかった。
せいぜい、一小節くらい口ずさむくらいだが、今日はサビを最後まで歌った。
「ほんまにこの歌は、よう出来ているねえ、ええ歌や」と。
「みなどないしてるかねえ」と。

2時間ほどいて腰をあげる。すっかり外は暗い。
母はいつものように玄関先まで送ってくれ、いつまでもこちらに手を振ってくれた。

スーパーの袋に分けてもらった、今だに親戚が毎年送ってくれるみかんを右手にぶらりぶらりとさげて駅までの道を歩く。

時代は流れ、親も自分も年老いて、地下鉄の中は外国人だらけだった。

夕飯は、豚ヒレ肉を薄く切って焼く。小松菜のおひたしをごまドレで和える。
ビールは飲んだが、米を食べなかった。少し体重減るかな?

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