2020年3月7日

電話の向こうであなたが泣いている
わたしはその悲しみを
自分のものとして受け止められない

しんと冷えている足首に気づく

あぁ、こんなにも離れてしまった
晴れが続けば嬉しくて 花の匂いに頬を綻ばせ
調律されていないもの同士
忘れたくないと願った夜が確かにあった

それでも川は
はじめからどうしよもなく二本で

だからこそいたわりながら、交差しながら
行く末を見届けあえると思っていたけど

あなたは共感を求める
わたしの足の親指の爪は、
あの頃よりなめらかに鈍く光っている

そんなものを見ることもできず
あなたはあなたの森へ帰っていく

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