愛能う限り

私は確かに、愛されていた

親からも必要最低限の愛情を受け取り

大きな虐待もなく育ってきた

友達も多くはないが

幼稚園の頃から現在まで

ずっと心が許せる人がそばにいた

恋人も片手に収まる程度だが

私の記憶違いではなければ

確かに存在した。

しかし、いつからだろう

何か物足りないと感じるようになったのは

この日本の中でも

十分に生きることもできず

必要な愛を受け取れないまま

この世の未練や苦しみ、悲しみを

スーツケースに閉じ込められてしまう

子供もいるのだ。

時代が違えば、当事者と血縁関係にあることを

大義名分として掲げられて

族滅という形で涙すら流せなかった

そんな子供もいるのだ。

私は欲張りで望みすぎなのだ、きっと

幾許かの心の隙間の風通しがよくなって

色んな人からもらった温もりが冷めた

そんな事だけで"寂しい"などと

甘ったれたことを言ってしまうことは

犯罪と同義であると考える

よって誰にも口に出せない想いがある

誰にも伝えられない言葉がある

心の中で固まった毒はいずれ体を蝕む

それが、私が夜に生きる理由だ

ただそれで良いのだ

他人に相談して鬱憤が晴れるものなら

世界はこんなに複雑ではないだろう

誰かに伝えることが最上の策ならば

名もなき誰かの曲を詠んで

涙する日常など、生まれなかった

そんな馬鹿げた思考回路のうちに

誰も届かないように声を潜めて

朝日が昇ると抜け殻のように寝てしまう

こんな日々の繰り返しでいいのか

されど、前述の通り

私はきっと望みすぎなのだ

たくさんの後悔と悔しさを持っているが

最低限の愛と文化的な生活を営めている

これほど立派な幸せはないであろう

しかし、この物足りなさはどこから

来るのであろうか

趣味も多彩とは言わないが

それなりにはある方である

嫌なこともあるが

それはありふれたストレスの一つであり

私特有の問題ではない。

ではこの心の虚しさは何だろうか

この虚無病を何とするのか

何かが足りないのは分かる

しかしその"何か"が分からない

矛盾したような文章を書き殴る

そんな旨を母親に打ち明けた

母親はとてつもなく暗く悲しい顔をした

母親は声を漏らすように

「私のせいでは無い」と狼狽えた

私は母のそんな姿を見るに堪え

今の話は忘れるように言って

そのまま立ち去った

母親は昔から自己中心的であった

母から言われた言葉の数々は

自分の保身になるようなことばかりであり

過保護な言動も見受けられた

しかし虐待をされていたわけでは無い

今こうして勉学に励んでいるのも

父と母が捻出した学費の恩恵を受け

奨学金も払わずに済むようにしてくれている

しかし、人間とは欲しがりな生き物だ

ある程度の愛を貰うと

体がそんな状態に慣れてしまう

日頃から数々の事柄に感謝して

色んなことに手を合わせ続ける人種など

異教徒かほんの僅かの人間であろう

私は慣れてしまったのか

しかし渇いた心には、もっと愛が必要だ

私は愛を獲得しなければならない

しかしその愛はどこから創造するのだろう

親はもう頼れない

恋人など生きる上で弊害でしか無い

友達に頼るには重すぎる

最も自己肯定感を高めて

そこから補い合うべきなのだが

私は親から否定的な言動をたくさん受けた

そんな幼少期のおかげで

私は自分をコントロールできない

誰かに頼るしかないのである

しかし、その誰かはどこにもいない

このように人は欲しがりである

望んだもの以上のものが欲しい

しかし、今一度見つめ直さなければならない

自分が何を欲しがり

何のために行動すべきか

今日も僕は自分を見つめ直す

あてもない答えを引っ張るために

このような夜がいつか役に立つために

ここに書き留めておく

全ての夜の後悔がいつか役に立つその日まで

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