同期のカターレ #9 「まさかの大失速で昇格ならず」

2017年。
この年はJ2から北九州が降格。そしてJFLからは沼津が昇格して来て全17チームでの戦いだった。
今年からJ3の2位は自動昇格となり、枠が増えた形になった。
チームの方は、三浦監督が1年で契約満了となり、新監督として湘南の育成年代を指導していた浮氣哲郎氏が就任。
選手では栃木から右サイドバックの山形、徳島から佐々木一輝、同じく徳島から富山県出身の佐々木陽次、琉球からパブロなどが加入した。

シーズンに入りまず初の開幕3連勝を飾る。
3試合とも無失点でこれ以上ないシーズンインであった。

続く試合は昇格チームの沼津をホームに迎えた。
しかしこの試合は0−3で完敗。
その後の試合も琉球、藤枝と引き分けて順位を5位まで落とす。
次の福島には勝利、C大阪U23に引き分け、YS横浜に勝利と来たが、ライバルの長野との試合をアウェイで落としてしまう。

これで5月が終了。
ここまで4位と順位はまずまずだったが、秋田が1試合少ないながらも無敗で首位を走っており、それを追って栃木、長野、富山、沼津という順位だった。
スタメンも開幕当初はなかなか固定されない状態だったが、苔口がスタメンで結果を出し始め、最終ラインは右から山形、代、平出、國吉で固定。ボランチには窪田と脇本が定着してきた。
そして次の試合から椎名と北井が、さらにその次の試合から佐々木一輝が2列目に定着し、この2列目の3人がうまく機能して、過去最高の流れを生み始める。

まず6月最初の相模原戦は苔口と平出のゴールで勝利、秋田戦は終了間際に追いつかれて引き分けるも、続く鳥取戦はアウェイで苔口のゴールで勝利、G大阪U23戦はホームで苔口のPK、椎名のリーグ戦初ゴールで勝利し、6月は1失点のみの3勝1分で2位に浮上した。

7月も好調で、ホームの北九州戦は佐々木一輝のゴールで先制、追いつかれるも終了間際に柳下が決めてまず勝利。
続いては当時4位だった同期の栃木とアウェイで対戦した。

順位的にどうしても勝ちたかった栃木を相手にカターレは先制を許してしまう。
クロス性のボールがそのまま決まるラッキーなものだったが、決められたのはまたしても廣瀬浩二だった。
後半になってもなかなか追いつけず、その中でボランチの窪田がレッドカードで退場してしまう。
チームとしては大ピンチだったが、この試合もアディショナルタイムに脇本のゴールで追いつき、栃木の追撃は許さなかった。
引き分けではあったが、この年のベストゲームに上げてもいいほどの試合だった。

続く17節はお休みで夏の中断前のG大阪U23戦は吹田スタジアムでのアウェイの試合。
この試合も調子は良く、前半にセットプレーから脇本のゴールで先制、後半に椎名のゴールが決まり、この試合も快勝。
7月も2勝1分で、ここまで7試合負けなし。
順位は首位秋田と勝点2差の2位と最高の流れで中断期間に入った。
チームにはこのG大阪U23戦を前に熊本から平繁、中断期間には岡山から近藤が加入。
昇格に向けてメンバーも充実したように見えた。

ほぼ1か月の中断があり、8月19日にリーグ戦が再開。
再開初戦はホームでのFC東京U23戦だった。
メンバーはほぼ変わらなかったが、國吉が柳下に代わってスタメンに入っていた。
なかなか得点が奪えない試合になったが、途中交代で入った柳下がゴールを決めて先制、この試合もこれで勝つかに思えた。

だが、終了間際に失点を許し、同点。
これで終わればまだ良かったが、その後さらに失点を許し、逆転負けを許す。
再開初戦は痛い逆転負けになった。

続くはアウェイでの鹿児島戦。
この試合から佐々木一輝に代わり平繁が入った。
だがこの試合、前半で山形が故障し、その位置が佐々木一輝が入ることになる。
すると後半開始早々にまだリズムが合わない中で2失点を許す。
後半に何とか1点を返すも試合はこれで終了。
後から思えばここでの連敗が一番良くなかった。

続くYS横浜戦、C大阪U23を引き分け、アウェイでの沼津との試合も敗れる。
続く北九州戦は勝利して、10月に入ってホームに迎えたのは栃木戦だった。

前回の対戦の時とは順位が逆転しており、この節を前にして栃木は首位に浮上、カターレは4位になっていた。
栃木は前回の対戦時の引き分けからスタートしてこの間9試合を6勝3分。
原動力は牛之濱とこの間に加入したペチュニクだった。

そしてこの栃木戦、前半にセットプレーから佐々木陽次のゴールで先制する。
しかし、先制直後に同点を許し、試合はそのまま後半に進む。
そして65分、ペチュニクに逆転ゴールを許す。
栃木の波状攻撃から最終的に決められてしまった。
この試合に敗れてしまった時点で首位栃木と勝点9、2位沼津と勝点6差とかなり苦しくなってしまった。

実はこの後、福島、藤枝と連勝し、1試合多いながらも一度は2位と勝点1差まで詰め寄る。
しかしながら、次の盛岡戦を落としたのが痛かった。
そして次の試合は相模原戦。
センターバックの平出、登崎がともに出場停止で、脇本と本来はサイドバックの山形、國吉が務める3バックで臨んだ。
先制され、一度は逆転するも結局再逆転され、敗戦。
その次の試合はホームで秋田に0−4で敗れ、2位の秋田とは勝点9差の6位。
次節は試合がないため、翌週には昇格の可能性がなくなりそうだった。

しかしその節は上位が勝点を伸ばせず、可能性は何とか残ったまま、第32節を迎える。
ホームに長野を迎えた試合は、佐藤和樹のFKで先制したのだが、後半に追いつかれ、さらには終了間際に勝又にゴールを決められ、敗戦。
昇格の望みを自ら絶ってしまった。

この年は結局、次の鳥取戦は引き分けたものの、最終戦のアウェイ琉球戦もいいところなく敗戦。
完全に尻すぼみの年になってしまった。

一方、栃木は最終戦まで秋田、沼津と優勝争いを繰り広げる。
最終節を前にして、
1位 栃木 勝点59
2位 沼津 勝点58
3位 秋田 勝点58

となっていた。
栃木も9月から10月にかけて6連勝した後、終盤戦は完全に失速しており、1勝でもしていれば昇格が確定していたかもしれないが、1敗4分の状態で最終戦を迎えていた。

最終戦の相手は沼津。
つまりどの3チームにも優勝の可能性が残る状況での最終戦だった。
栃木は引き分け以上で昇格だが、敗れた場合は一気に3位に転落してしまう可能性があった。

試合は前半早々に沼津が先制する。
秋田も得点を奪い、一気に3位転落のピンチに陥った栃木だったが、この試合を救ったのはペチュニクだった。
後半の77分に左足で同点ゴールを決めて、これにより2位以上が確定し、翌年のJ2復帰が決定した。
秋田は勝利して優勝を決めた。
昇格の可能性がない中でも優勝を目指して戦い、涙した選手たちの姿が印象的だった。
また、敗れた沼津の吉田監督の試合後の挨拶も素晴らしいものだった。

この年、岡山は今年こそJ1へという思いだっただろうが、前半から波に乗れず、最高で7位まで上がったものの、そこから順位をあげることができないまま、最終的に13位で終わった。

2017年成績(J2 全22チーム、J3 全17チーム)
富山 8位 13勝8分11敗(J3)
栃木 2位 16勝12分4敗(J3)
岡山 13位 13勝16分13敗(J2)

直接対戦成績
富山 1分1敗
栃木 1分1勝

得点者
苔口卓也 9点
佐々木陽次 6点
佐々木一輝 5点

次回予告
同期のカターレ #10 「成績不振で監督交代 そこから光も」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?