切符

本日ノ東京ハ雨ナリ。

しなしなになって、道路に這いつくばっていらっしゃいました。切符くんです。

キップがいいね(笑)!

「気風(きっぷ)がいい」という言葉がポーンと浮かんだので、本日は江戸の小話を一つ。

江戸っ子の気質として、気風のよさがよくあげられますよね。例えば、こんな故事があります。

「東男(あずまおとこ)に京女(きょうおんな)」。

男は粋で気風のよい江戸男がよく、女はしとやかな京の女がよい。そんな意味です。

このような男女は、釣り合いがとれていると言われていました。

それでも、江戸っ子にも我々と同じように色々な人がいたことでしょう。好きな人の前では恥ずかしくなって苛めてしまう少年とか、姑の愚痴を井戸端で吐く新妻とか…(笑)。みんながみんな社交的ではなく、内気でおとなしい人だっていたと思います。

そんな江戸の人々の中でも私が憧れるのは、辰巳芸者です。

辰巳は現在の江東区にあり、地下鉄の駅名としても残っています。新木場駅の隣ですね。

元々木場とは、木材を置いたり運輸したりする所でした。そのすぐそばの深川にいた芸者が、辰巳芸者です。

辰巳芸者たちの客は、この木場で働く男たちや職人たちでした。威勢のいい親方やきびきびと動く職人を相手に、粋なもてなしをする女たち。

「芸は売っても身は売らない」というのが、彼女たちの心意気だったそうです。

吉原の遊女とは違い、足袋は履かずに素足。男物の羽織を纏って颯爽と往き来する。手を出そうとしてくる男には、小洒落た一言でさらっとあしらう。これこそ、なんとも粋ではありませんか。

時代劇を学ぶ折りにこの話を聞き、私は彼女たちに心底惚れこんだのでありました。

現実でも、サバサバしたおなごが好きです(笑)。要するに、女も惚れる女というわけ。

ところで私、本日電車の座席横に傘をかけて忘れてきてしまいました。

ホームを歩き出してから、雨が降るのを見て気づくという…。降りた駅の駅員さんにすぐ伝えたところ、終着駅で確認してくださることに。用事があったので、2時間後にまた来ますとお返事し、また戻ると…終着駅で取っておいてくださったとのこと。

無事に終着駅のホームで受け取りました。そこまでの電車賃も取られず…両方の駅の駅員さん皆さまが、とても優しくご対応くださいました。

そして、駐車場で見つけたゴミがこの切符。なんだか素敵な巡り合わせで、雨足が強い中、私の足は飛びはねて帰路に着いたのでした。

気っ風のいい駅員さんに、感謝です。

雨の日が、心に残る一日になりました。
どうもありがとうございました!

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