マガジンのカバー画像

あたおか散文

432
流れ落ちるままに生み落とした「あたおか」な散文たち
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

-110度の分離

神様は残酷だ

私の運命に悪戯を仕掛けてくる癖に

全て私が選んだように思わせる

僕はチャンスをあげたよ?選んだのは君だ、それは君が引き起こした事だ、それが君の答えなんだ、結局のところ、簡単に言えば、ね

そう言って凍るほど冷たい空の中に放り出す

あんたなんか大嫌い
#あたおか散文

ゲンワクノネタミタリカレオバナ

ツイタリキエタリ

キツネノヒ

マテドクラセド

ノビノヒノ

チカクハナラズ

オトバカリ

サガセドモ

サガセドモ

アオイヒ

アオイヒ

ツメタイヒ

アレハ

ヒバリ

イイエ

アレハ

ナイチンゲール

アケノカラスノ

モダエルコエヨ
#あたおか散文

組紐撚って捩れて惚れて

貴方のために編みました

綺麗でしょ?

赤と青とそれから桃色

視神経を繋ぐのは少し難しかったけれど

猫の毛で紡いだ貴方と私の未来

情熱と恐怖をリボン結びにすれば

ほら

すぐに召し上がれます

さぁどうぞ

ちょうど背丈ほどの好奇心があれば

冥府のウサギが給仕にあがります
#あたおか散文

炭焼き小屋の煤払い

私恋人がいるんです

ぶら下がっていたランプが呟いた

明滅しながらそれでもはっきりと

本当ですいたんです

震えながらそれでもはっきりと

きっと、逢いに来ます

周囲に熱を放ちながら

私がここを照らす限り…

外から一陣の風が吹き込んだ

一瞬強く光を放って

ランプは消えた
#あたおか散文

色、イロ、彩、艶

盲目の夫人の髪で踊る碧玉

聾紳士の杖が奏でる高らかなしらべ

閉じられた瞼の美しさ

よく磨かれた靴が放つリズム

紡がれない言葉は緻密な静寂と黙考を織りなし

凹凸のある肌は指先に彩りと言う快楽を与える

それら放たれる光に名前をつけるのはあまりに無粋だとカササギは言った
#あたおか散文

乙女の祈り

闇の森のさらに奥

沼ノ端のガマ蛙が言った

彼と地獄に堕ちたい

ほぉ、ここは地獄ではないのか

彼がいてくれなければどこだって極楽

あそこで私を狙う蛇さえ私の命を奪う事で私を善きものに変えてしまう  

問題が?

彼と溶け合って地獄の欠片となり永遠の業火を知りたいのです
#あたおか散文