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現代アートを通して出会う。-大島とハンセン病 

今日もまた瀬戸芸を巡る中で
未だ訪れたことのない大島を訪れることにする。

船を待つ間に島について調べてみると、大島は
大部分をハンセン病回復者の国立療養施設が占めているとのこと。

◆ハンセン病とは

・既に治療法も確立されており、完治する感染症
・風邪より感染力が弱いが、末梢神経に影響して感覚がなくなる症状があり、治療が遅れることで神経障害の変形や弱視や失明などの視覚障害の後遺症が残ってしまう

◇療養所で生活する入所者について

・既に島の方も完治しているため、患者ではなく入所者と呼んでいる
・現在後遺症療養と高齢のためのケアを目的として住んでおられる
・1931年にハンセン病患者を隔離目的で障害施設に入所させる、らい予防法(らいはハンセン病のこと)が制定され、10代ごろ島に連れてこられた方々。

島を訪れてみて

瀬戸内海独特の穏やかなターコイズブルーの海に
海の先に見える島々。
ああ、瀬戸内の島だな〜と思い上陸したものの、普通見ない光景が多々。



・島に流れ続ける音楽
最初時間を知らせる音楽かと思ったがずっと鳴り続けていた

各地にスピーカーが設置されており常にふるさとなどのメロディが流れている



・道の真ん中の白線と、柵


これらはいずれも視覚障害がある方のためのものなのだとか。


・規則的に立ち並ぶ同じ長屋


1つの長屋に6畳一間の部屋が5部屋。
戦後700名が入所してた際には10人ほどで集団生活していた時もあったとのこと


・宗教地区の存在
キリスト教をはじめあらゆる宗教施設が立ち並ぶ。
生涯入所であるため、入所時に葬式のことを考え宗教に入ることになっていたそう。
宗教に入ることで、繋がりを作ったり心の拠り所になっていたそう。


・火葬場及び納骨堂の存在
家族も差別の目で見られるため、家族との縁を切って入所され、亡くなられた後も引き取り手がいないことが多く、
この地で火葬をし、納骨をする。


随所に普段目にしない光景が見られる。

島のイメージといえば、手付かずの美しい森や綺麗な海が見れる。
という印象が強いが、隔絶されたその土地柄故、
大島のように感染症患者の隔離や、
ウサギで有名な大久野島のように毒ガスの製造などの用途で使われてきた島々もある。


そして、生と死が近い島だと感じた。
島の中に存在する火葬場と納骨堂

火葬場も納骨堂も全国各地にあるだろうけど
小さな島の区切られた空間にあると、他人事にはならない感じがする。

森に入っても同じ印象を受けた。
緑の中に存在する、枯れた木やシダの葉。
その緑の奥には美しい青空と海、対岸の島々を望める。

いやに、生と死を感じる。

緑の中に枯れ木とその向こうには青空と海と。
枯れたシダが混じる



入所者の方へのインタビュー動画や、ボランティアの方のご説明、アート作品の中から
大変な環境ながらも、支え合いながら登山道を開拓したり、
猟友会を結成し船を持つことを打診し、船を持ち無人島を渡ったり釣りをしたり
という話が印象的だった。

大地の芸術祭でも展示されていた田島さんの入所者の方のお話を立体化されたアート


そして、感染しない状態になってもなお
正しい理解を受けられず偏見や差別に苦しんだということが伝わってきた。
事実が明らかになったとしても、正しく伝わらなかったり、自分を守るためにその事実を受け入れなかったり。
それにより差別や偏見は長く続くんだな、と。


アートを切り口に新しいものと出会え、
普段出会わない思考や感情が渦巻く、そんな週末でした。

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