正しい屍の作り方
(注:不穏なタイトルですが真面目な話です。)
Code for Japan Summitについて
私がかれこれ5年ほど関わっている「ともに考え、ともに創る」をテーマに全国のシビックテック活動を支援するCode for Japanでは、毎年Code for Japan Summitというイベントを行っています。
2016年に開催したサミット会場は、横浜市金沢区にあるできたてほやほや、絶賛現役稼働中の区役所庁舎。
そして、会場側のまとめ役をしたのが当時地域振興課にいた私でした。
衝撃だった豊島区役所の旧議場会場
はじまりはその1年前にさかのぼります。
2015年のサミット開催場所として選ばれたのは東京都豊島区。
会場はなんと庁舎移転で使わなくなった区議会議場。
私はGLOCOMの庄司先生にお声掛けいただき、金沢区におけるオープンデータ等の取組みについて話すために訪れたのですが、はっきり言ってその会場は衝撃的のひとこと。
「◯◯党控室」と書かれたプレートのある部屋に入ると、みんながお茶を飲んで悩み事相談していたり、子供が楽し気にプログラミングツールをいじっていたり。
議場では行政職員、シビックテック関係者、民間企業が入り混じって「ともに考え、ともに創る」を実践するがごとく、様々なテーマでセッションが展開されていたり。
「行政ってほんとはすごく自由なものなんじゃないか…?」と思わず考え込む時間でした。(と私が感動したのに、運営していた人からは「掃除が大変でねぇ!」という話しか聞こえてこないのがアレだがw)
金沢区総合庁舎での開催
そんなことがあったのでその翌年に「豊島区で出来て金沢区でできないってことはないでしょう!」と上司を説き伏せて、現役稼働中の金沢区総合庁舎を舞台にCode for Japan Summitを開くことになります。
私は豊島区会場の方が衝撃だったので、自分の職場でもある庁舎を使うことがすごいことだとは本当に思っていなくて、自分の職場だから勝手がわかっててラッキー♪くらいの感じでした。
ところが、当日になって来場したみんなが「は!?この庁舎って現役稼働中なの!?すごいことすんね!!」と口々に言うので「あれ?もしかしてそれってすごいことなのか?(-_-;)」とようやく思ったくらいでした。
そのサミットは、2日間で31のワークショップが開かれ、延べ650名の来場者を記録しました。(開催レポートのリンクは最後に)
公共施設で開催する意味を考える
庁舎を会場として使うにあたり最も気をつかったのは「いかに地域に開かれたイベントにするか」ということです。
区役所の庁舎は当然ながら税金で運営されている施設なので、そこでのイベント開催は「公共性」が当然求められ、金沢区民をはじめとして、広く地域の方が参加できるデザインが必要です。
そのため、Code for Saitamaメンバーと区内自治会町内会の協力による防災マッピングパーティーや、子育てがしやすい地域とはどういうところなのかを民生委員や保健活動推進員、産後ケアを推進するNPO、区の職員が膝を突き合わせて考えるワークショップ、様々なプログラミングツールを集めたワークショップなど、老若男女問わず参加できるようなイベントを盛り込んで行いました。
新潟市でのサミット振り返りセッション
金沢区の段階で自治体巡業というのが定着したのか、2017年は神戸市、そして2018年は新潟市での開催となったサミットだが、新潟では神戸市開催の時に尽力をした三田市の高橋さんに声掛けしてもらい、私と豊島区の安達さんも加わって「サミット振り返りセッション」を行いました。
セッションを企画した理由は、サミット自体はできるだけ多くの地域に関わってほしいですが、開催地が変わっていくことで行政側がサミットに関わる上で持つべき知識を引き継ぐことは困難になるという課題感を3者が共有していたことです。
サミット開催にあたっては、会場の確保というイベントには当たり前にある手順以上に、多数のワークショップを行うにあたってどういう情報を事務局側に提供しておけばいいか、庁内合議にあたっての説明(行政課題とサミットの開催をどう政策的に結びつけるのかという点)や、地元への呼びかけを行うために行政の広報スケジュールに合わせて必要な要素をどう揃えておくかなど、様々な留意すべき点があります。
理想的なのは、行政の側にCode forの活動に理解があり、かつ業務としてしっかりと担当してくれる人がいることですが、状況(地元Code forブリゲートと行政の関係性や担当者の異動など)によってはそれも難しい場合が予想されます。
屍を越えろ
セッションではそれぞれの会場を担当した行政職員が振り返りを発表しました。
その中のひとつとして、豊島区の安達さんが「俺の屍を越えていけ」というタイトルでプレゼンしてくれたのですが、よくよく考えるとそれって非常に象徴的なキーワードだと感じはじめてきました。
そうか。大事なのは経験をしてきた私たちが正しく屍となり肥やしとなることであり、そのためにどう知見を残していくかを考えることなんだ。
具体的な方法などはまだ検討しないといけないですが、そういうアーカイブづくりを通して、各地の行政職員と新たな繋がりを作っていくことも公務員的シビックテック活動なのかな~と思ったセッションでした。
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