「勝って 言うぞ」

『おおきく振りかぶって』という高校野球漫画の内容を思いっきりネタバレするところから話し始める。



まず、物語序盤の要となるところから。
主人公の投手は、コントロールは抜群だけど球速は遅め、弱気な性格で、自分に自信がない。
対して同チームの捕手は強気で、自分のリードに投手が首を振るのを許さない。初めての練習試合前に「俺の言うとおりに投げろよ。首振る投手は大嫌いなんだ」と一方的ともいえる約束を投手と交わす。弱気な投手はそのとおりにしていく。


ある試合中、捕手が怪我をして交代になる。控え捕手は野球センスは高いものの捕手経験は浅く、バッテリーの失点は増えていってしまう。

捕手はベンチで悔しがる。投手が配球を考える機会を自分が奪っていたこと。
投手もマウンドで悔しがる。何もかもを捕手に頼ってしまっていたこと。

「約束をやぶったことを捕手が気にしてる」と思った投手は、胸に誓う。
「もう気にしないでって 勝って 言うぞ!」

この漫画に登場するセリフは、言い回しや間が独特で、なんとなくリアリティが増していて好き。熱いけど冷静さも感じる。


ディズニー映画『トイ・ストーリー2』の話。
世間的に1や3、直近の4は有名で名作と言われているけど、2はあまり、というイメージがあるのは私だけだろうか。私は2が一番好き。

中でも特に好きなのが、ウッディが人間に連れ去られて、バズ達おもちゃ仲間が助けに行くシーン。
長距離の移動に伴い、疲れて立ち止まるおもちゃ仲間達にバズが語る場面。1の内容に触れる。
「私がロケットに縛り付けられた時、ウッディは諦めたか?彼がトラックから放り落とされた時、ウッディは諦めたか?諦めなかった!」
ウッディをトラックから落としたのは、1でウッディを誤解していたおもちゃ仲間達だった。2で人間に連れ去られたのは、ピンチになった別のおもちゃ仲間をウッディが助けに行ったためだった。
バズのため、おもちゃ仲間のため、持ち主のアンディのため、最後まで諦めないウッディを思うセリフに涙が出そうになる。

諦めないこと、その大切さを教えてくれる作品でありセリフである。



ところで、最近の私が野球、そして熱い想いという事柄から思い出すのは、乃木坂46の32thシングルカップリング曲『Never say never』。

乃木坂46の曲を思い出した時、私はあまり歌詞がどうとかを気にしないことに気づいた。カラオケで気まぐれで歌ってみて、初めて「こんな歌詞だったんだ」と知ることも多い。
知った初めからその歌詞の世界観に浸って楽しめている曲は少なくて、その一つが『Never say never』だった。『Never say never』の歌詞は好き。言葉がありきたりにもありがちにもならない応援歌。
一億回とか汗と涙とかまっすぐなところも良いけど、特に私が好きなのは、

「君がどん底の時もずっと応援をしてきてよかった」

応援をしてきてよかった。応援される側ではなくする側の喜びを表す斬新さが胸に響く。こんな人に応援されたい。
単に頑張れと言うだけじゃなく、その懸命な努力を称える。負けてもいいよ、と言うわけでもない。何度負けたとしても勝利を信じて応援し続ける。
過程と結果、どちらが大事か。どちらも大事だと思う私に刺さる歌詞。


シングル発売時に、推しメンからメッセージが届いた。
収録曲のうち「Never say neverが特に好きかも」という内容だった。推しメンはその曲に参加してはいない。
そこから、特にその曲を注目して聴くようになったと思う。


彼女がいつかまた選抜入りして、という願いについてはすでにどこかで語った気がするので多くは語らない。

どん底だったなんて思っていない。
でもいつの日か、また輝かしいあの場所に戻ってくる。それを"勝利"と呼ぶならば。
その日を信じて。


どんな時もずっと応援をしてきて良かったって、どんなに苦しくたって諦めないと信じていたって、

勝って、言うぞ!


その日は喜び合おう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?