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#週刊西東ヘッダー 総集編【vol.1】

いかがお過ごしでしょうか,西東です.

Twitter で行っている #週刊西東ヘッダー の総集編が今回から始まります.
こちらは「好きな音楽 × デザイン」と銘打っているので,選んだ楽曲の 特徴・好きなポイントや裏話・ヘッダーの制作意図 を中心にまとめていきます.

▼ 今回のラインナップ ▼
vol.1 東京事変『スイートスポット』
vol.2 サカナクション『映画』
vol.3 黒木渚『テーマ』
vol.4 星野源『ギャグ』

それではさっそく参りましょう!


vol.1 東京事変 『スイートスポット』

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こちらは東京事変の 4th アルバム『スポーツ』に収録されており,なんともムーディーかつビターそしてアダルトな1曲です.とくに,間奏以降の盛り上がりは華やかさがあふれて高揚を隠せません.最後の終わり方がエコーなのもなんともセクシーで哀愁あります...

企画の構想段階で最初はやはり東京事変がいいと決めていました.というのも,私が音楽を好きになるきっかけとなったバンドなのです.あえてアルバム曲にしたのもこの企画から初めて聞いてくれる人が1人でも増えてくれたなら,などと思いつつでした.(以降もマイナー曲多いです,あしからず...)

さて,タイトルにもなっているスイートスポットですが,こちら「ボールを打つのに最適の個所,最適打球点」を指します.では,これを人に置き換えた時,スイートスポットとはどこか?という点が今回の出発点でした.私の結論として,人のスイートスポットは心,そして心の入り口が脳という点にたどり着きました.

常に情報があふれ,かつ過ぎ去る速度の早い日々において,私たちは無意識に外からの刺激を受けています.そして,なかでも特別に感じたものが身体に蓄積し,馴染んでいきます.これが「心を打たれる」や「鮮烈な体験」につながるスイートスポットではないかと考えたのです.

ヘッダーは人の線画と曲名のシンプルな構成です.線画で最初の空の状態を表現し,輪郭は蓄積を表すように微妙なズレがあります.また,各線は手書きの柔らかさや暖かさ,粗さを意識しました.配色はくすんだ紫と鮮やかな黄色で色相差、彩度差を大きくとり,地(外の世界)と図(自分自身)を対比させています.「人それぞれのスイートスポット」を目指しました.


vol.2 サカナクション 『映画』

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こちらはサカナクションの 6th アルバム『sakanaction』に収録されており,乾いたリズムと透き通るサウンドが心地よく重なり合う1曲です.生活音や声からの始まり方,サビの「上行く日々は目隠しされた渡り鳥だ」「上行く日々は鱗みたいな光だったら」という歌詞が印象的です.

実は,当初『エンドレス』という別の楽曲を選んで目をモチーフにしたビジュアルを構想していました.しかし,ちょうどその頃大阪万博のロゴ(通称いのちの輝きくん)が発表されて盛り上がっていたのですよ.このタイミングで目のモチーフはマズい!と思い急遽変更した経緯がありました.笑

映画の歌詞には 渡り鳥=空,鱗=海 という高さに対する真逆の表現と,上行く日々 という共通点があります.また,基本的に長距離を移動する渡り鳥に目隠し,海に光が丁度よく差し込んだときのみ鱗が光るという情景から,何かを成す過程には,不安も高さも深さも時間も費やした試行錯誤が在ると解釈しました.

ヘッダーは写真を重ねています.「上行く日々に近づけているのか,その不安定感と浮遊感」を含むビジュアルを目指し,空と海の写真を重ねて高さと深さの共存を図りました.グラデーションのある夕焼けが不安定感,海中の気泡が浮遊感を担っています.また,渡り鳥と深海魚のシルエットを対極に置き調和とアクセントにしています.最後に,映画に似合う淡さとノスタルジックさを演出するため,緑みと黄みを前面に補正しています.


vol.3 黒木渚 『テーマ』

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こちらは黒木渚さんの 2nd アルバム『標本箱』に収録されており,キャッチーなメロディと最初の歌詞「最高過ぎて苦しいね」がインパクト大な1曲です.ポップとロックのバランスが絶妙に相まって記憶に残ります.

学生の頃からライブに足を運んでいるのですが,テーマはイントロから盛り上がり,途中のコールアンドレスポンスでは一体感が最高なんです.ラスサビの爆発力もたまりません!ちなみに,黒木渚さんは執筆活動もしていて,現在までに小説を5冊も出版しています.多才です.

最高過ぎて苦しい経験,ありますか?なんでもいいのですが,これだからやめられない!という経験が一度でもあるとこの曲のフレーズは初めて聞いた人にも共感も引き出せる力があります.クリエイターの場合,創作には毎度核心となるテーマがあり,その核心へたどり着くために試行錯誤の時間を重ねます.苦しくとも作るのを止められないのは,その先に計り知れない快感があると知っているからだと思うのです.

ヘッダーは写真をベースにしてブラシや演出をかけています.「無限の可能性を秘めた核心には実態がなくとも,それを見つけ出せると確信している状況」のビジュアル化を目指しました.中心の光が覆われるような階層構造となっており,周囲には煙や銀河のブラシを用いています.


vol.4 星野源 『ギャグ』

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こちらは漫画『聖☆おにいさん』の劇場版アニメ作品に書き下ろされた星野源さんの1曲です.ギャグ漫画のテイストが盛り込まれたコミカルでワクワクするメロディが素敵です.

ギャグにギターで参加しているのは東京事変のギタリスト(浮雲)でもある長岡亮介さんなのです.この頃から源さんのバックバンドとして参加するようになりました.この時は東京事変解散後のことだったのでかなり驚き興奮した覚えがあります.笑 最前ど真ん中で星野源さんのライブを見たことあるのが密かな自慢です.

歌詞には「紙を重ねて指を重ねて物語は動き出す」「今を捲って命動き出す」など漫画にもアニメにも通じる表現があります.ただ,私はこれらが人生にも置き換えられるのではないかと考えました.昨日も今日も明日もページのような積み重ねです.そして,人生が本だとしたらどんな内容で何冊分になるのだろうかと考えました.

ヘッダーは写真に文字を合成しています.文字は複数ある本にまたがっており,一冊だけでは何と書いてあるか不明です.「積み重ねたものが後々やっと形になって見えてくる」ビジュアルを目指しました.楽曲のタイトルと,私自身の人生が最終的に壮大な喜劇として笑って終えられるようにという願いを掛け合わせました.


いかがでしたでしょうか.

ちなみに,題材に取り上げるアーティストを被らせないようにするのが裏テーマです.(どこまで続くでしょうか.笑)
こんな調子で引き続きよろしくお願いいたします.

それではまた次回.
お読みいただきありがとうございます.

西東

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