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女神 (2) 今日、泊めて

  今日、泊めて

公園があった。
花壇の煉瓦に腰掛け座る。女の子達が目の前のベンチに座る。
「いただきや~す。」女の子、二人で笑いながらカラアゲ君を食べ始める。
俺はアイスティーソーダの栓を開け、一口飲む。
「う~ん。美味い。これが一番好きだ。」素直に感想を言う。
「え~っ、それって女の人が飲む奴じゃないの?」小さいほうの女の子が素直に感想を言った様だ。
「うっせいわっ!ほっとけっ!からあげ君、奢ってやったの忘れやがってっ。」
「ごっつあんです。ゴチになります。」大きいほうが言った。

「さっきはホント、スンませんでした。思いっきり踏んじゃってっ」
「痛かったぁ~、ホントに死ぬかと思った。でも死んでない。歩いている。大丈夫だ。」
「あの人のライブ、良く行くんですか?」小さい子が聞いてきた。
「いや、初めてだ。気になる曲があったんで。」
「どれっ?どれっ?・・・・・・『嫌われる為』?」
「それかも知んない。」
「うちらも、めっちゃ好きっ!」二人は顔を見合わせる。

「ねえ、おじさん。」小さい子の方。
「誰がおじさんじゃ?、兄さんと言え!。」
「お兄さん、家、何処?」大きい子の方。
「綾瀬だ。足立区の方の」
「一人暮らし?」と小さい子。
「そうだ。」
「常磐線沿いだし、泊めてっ!。」二人して言う。
「何をいきなり、初対面で。男に向かって若い娘が、何を言ってるんだ。頭、おかしいのか?自分家へ帰れ!」
「だって~、もう電車無いしィ~」小さい子の方。
「お前ら何処だ、家は?」
「茨木の牛久。」二人して言う。
「はあ~。牛久か、、、急げば間に合うかも知んねえぞ」
「え~っ、明日土曜日だし~、遊びたいし~、泊めて~。」身体をくねらせながら大きな子の方が言った。
「可愛くない。」
「……一番、気にしてる事、言った。傷付いた、、、」二人してうつむき、手を眼にあてていた。
「いや、すまん。そんなつもりじゃ、、、悪かった、許せ。カラアゲ君に免じて許せ、すまん。」
「じゃ、泊めて。お願いします。この通りです」嘘泣きを止めて、二人はベンチから立ち頭を下げた。
「……判った。ついてこい。」

新宿から山手線で西日暮里まで行く。地下鉄千代田線に乗り換え綾瀬までの電車内の会話。。

「お前たち、大学生か?」
「……いえっ。……専門学校、、、です」挙動不審で小さいほうが答えた。
「そうそう!専門学校。土浦にあります。」と大きい方。
「何の学校?」
「え~とっ、……医療秘書です。」
「何、それ?」
「診療内容をお医者さんに代わって記録する人です!パソコンで、、、」
「そうすると直ぐに、計算が出来て支払いが早いんです!」
「へえ~、そんなのがあるんだ、、、。ところで名前は?俺は渡嘉敷雄大 (とかしき ゆうだい)。」
「私、宮津 香奈。」大きい方。「で、あたしが、渡辺 唯奈。」小さい方。
「かなさんと、ゆいなさんか、、、可愛い名前だ。うん。」
「へへっ。初めてじゃない?褒められたの。」香奈が嬉しそうに言った。
「渡嘉ちゃんって、呼んでいいですか?」唯奈が聞いた。
「あ~、良いよ。、、、雄大でも良いけどな、、、。イヤ、ダメだ。雄大と呼べるのは一人だけだ、いや二人だ。渡嘉ちゃんにしろっ!」
「ハ~イ!。判りました。雄大!」二人そろって言う。
「言うなって、言ったろ!。泊めてやんねえぞ!。」
「すみません。ごめんなさい。渡嘉ちゃんさん。」

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