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広島協奏曲 VOL.4 振り子 (9) 投稿 9 恋人と賢者タイム

 投稿 9 恋人と賢者タイム

 それから翼君とは、金曜日の夜、私の家へ来始めました。もちろんお泊りです。
 でも朝になれば、翼君は仕事に行きます。私は畑の野菜を世話したり、日帰りキャンプへ出かけたりします。
 土曜日の夜も翼君はうちへ来ます。いえ、帰ってきます。でへ(笑)

 ある夜、ベッドの中で翼君に聞きました。
 「彼女とか作らんかったって言ょったじゃん。どうしよったん?」
 「風俗。ソープやヘルス。月に一回くらい行きょった。」
 「大丈夫?、病気とか。」
 「大丈夫よ。あの仕事の人は毎月検査しょってじゃし、なんか変って思ったらすぐ診て貰うし、お客さんへはLINEとかで知らせたりできるらしいし、一遍もそういう事無かったよ。」
 「あ~、、そうかぁ、その方が安心かぁ、、、納得。」
 私の昔の事(援交とセフレ)の件は、話していません。若い時の自由な恋愛の範疇とゆう事にしてあります。

 翼君の両親と妹さんに挨拶に行きました。翼君は「結婚するつもり」と話していた様です。
 うちの父と母に雰囲気が似ています。穏やかな夫婦です。
 お父さんは、定年退職後の雇用延長中。
 お母さんは、超有名なアパレル製造小売りチェーンで長く働いていて、数年前に退職された方でした。
 妹さんは、どちらかと言うと明日美タイプのキャリア志向の女性でした。

 聞けば、一昨年から私の地元に毎週の様に通っているとの事。
 定年退職後のお父さん、一線を退いたお母さん、週末のレジャーや暇つぶしをあれやこれやとやってはいたのですが、お金が掛かります。
 何かないかなあ~と探して、野菜を安く買おうと来た私の地元で、耕作地付き別荘を見たそうです。
 10坪くらいの平屋にお風呂、トイレ、ベッド、ダイニング、キッチンがあり、農具や農機具が収まる物置があり土間続きで家の中に入れる作りだそうです。
 年間契約で、数十万っておっしゃってました。スーパーで買う野菜の値段と、収穫時の充実感で行って来いどころか儲け物だと、嬉しそうです。
 そう言えばここ数年で、あちこちに出来ています。郵便局やJAに銀行口座を作る人が増えています。窓口に座っていると、時々知らない方がお見えになります。
 その後、私が暮らす家へお招きした時、果樹園や荒れ放題の原野を見ながら、お二人でお話しされていました。内容は分かりませんが、テンション高めな感じでした。

 2,3ヶ月に一度、それぞれの休みを調整し釣りとキャンプの旅へと出掛けました。
 アパートへは帰らない様になった翼君の荷物が、我が家に増えていきます。
 アパート自体は勤め先の寮扱いで家賃は安い。光熱費が基本料のみ。それでも出費が勿体無い。
 翼君からのアプローチから約一年後、我が家に引っ越した翼君から、、、
 「一緒になろうか。婿さんでもマスオさんでも、雪のええ方でええし、、、」

 実家を維持していくには、婿さんが良いとは思います。
 いつか出来るだけ処分して、翼君の行くところへついて行くと言う選択肢も捨てきれません。
 また、まだ若い翼君。今は私の方に多少の遠慮があり、小言を言わない様にしていますが、いずれは言い始め、増えていくと思います。
 そうなった時、5歳も年上のちびでデブでブスな私が面倒臭くなり、浮気、不倫、逃避、、、、離婚、、、かも、と妄想の暴走があるのは事実です。
 正直、私自身がどうしたいのか、どうすれば良いのか、どうしておいた方が後で後悔しないのか、、、全くわかりません。
 私が抱えている荷物は、すべて私の荷物です。翼君に背負って貰うのは、、、、背負って欲しいけど、、、分けると言っても何をどう分けるのか、、、、堂々巡りです。

 「子供、欲しい。」翼君に頼みました。
 翼君には将来、捨てられるかもしれない思いが捨てきれません。そうなったら、独り身の私が生きていくには何かに頼らないと無理だと思いました。
 今、もし頼るとすれば、明日美。
 今後、頼るものが出来るとすれば、、、子供。
 翼君にず~っと頼る事が出来れば、何も言う事はないのですが、、、

 賢者タイムの時、何気に聞いてみました。
 「うちはさぁ、、、ちびでデブでブスで、おまけにバカで、資格ゆうたら普通車しか持っとらん様な女じゃけど、、、、それでもええん?」
 「ん?、、それ言うたら、メンヘラ持ちの、出世の見込みのない高卒で、エッチのへたくそな早漏で、、、それでもええか?、、、ちゅう事になるんちゃうのん。」
 「う~ん、、、それでもええよ。って言うのも翼君に失礼な気がする。」
 「そう言う事じゃろう、、、雪さんはそれでええ。じゃ無うて、、、それがええ、、、、て事で。」
 「……うん、素直に信じる。」

 凄く嬉しいのです。私を選んでくれたことに感謝しています。この先どうにかなる。と思えたのです。

 都会で、特技があって、自分の生き方を切り拓ける明日美の様に、なりたかった。
 でも。私は背負う物が重すぎます。誰かに依存するんじゃなく、支えが、欲しいんです。

 新谷雪子になりました。

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