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新型コロナワクチンを1回で止めたらどうなるのだろう(8)

国産ワクチンの治験に応募…した時のこと

(4)でも少し触れましたが、私は昨年の8月3日に国産ワクチンの治験に仮登録をしています。ネットニュースで塩野義製薬、第一三共などがワクチンの治験者を募集するというのを読んだことがきっかけで、応募しています。

<参考>

第一三共は海外のワクチンと同じ「mRNAワクチン」、塩野義製薬は「組換えタンパクワクチン」、KMバイオロジクスは「不活化ワクチン」の開発を進めていました。Yahoo!ニュースなどでも配信されましたが、コメント欄ではKMバイオの不活化ワクチンを希望する声が多かったように思います。私はというと「治験が受けられるのであればどれに当たってもいいや」という考えでした。


国産ワクチンが受けられるのならプラセボでも良かった

当時、ワクチン効果の無い「プラセボ」を治験者に使用することの是非について問う声がありました。

ワクチンが国民に普及していくことを考慮すると、これから実施される臨床試験においてプラセボ群を設定する場合のみならず、すでに実施されている臨床試験においてプラセボを接種された被験者等に対しても、何らかの最善の医療を得られるよう倫理的な配慮が必要である。

【PDF】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評価に関する考え方(補遺 2)
プラセボ対照試験の被験者等に対する倫理的配慮について

(独立行政法人医薬品医療機器総合機構・PMDA)
https://www.pmda.go.jp/files/000241066.pdf

<参考>

私は“ハズレ”でプラセボの「生理食塩水」や海外製の「mRNAワクチン」に当たっても全然構いませんでした。治験に参加できなければ、いずれは海外製のワクチンを受けることになりますし。「生理食塩水」を打たれて、しばらく「ワクチンだ」と騙されたとしても、対外的(取引先など)には「国産ワクチンの治験中です…」と言い訳ができますし。

いずれの場合も、治験ではワクチン(またはプラセボ等)接種後の状態を病院でしっかりみてもらえるということが、逆に安心材料となっていました。

最終的に国の方針としては、プラセボではなく海外製の「mRNAワクチン」などの既存のワクチンを比較対象とすることとなりました。実際、私が登録していた治験の機関でも「全員ワクチン実薬を使用する」と、アナウンスがありました。

<参考>

◆【PDF】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評価に関する考え方(補遺 3)免疫原性に基づく新型コロナウイルスワクチンの評価の考え方(PMDA)
https://www.pmda.go.jp/files/000243339.pdf

「このままでは国産ワクチンの接種者が限られてしまう」…との懸念から、治験者の数を減らす工夫がされたようでしたが、実際には応募者が殺到したために、希望者の多くが治験に参加できなくなるという、皮肉な状況になりました。

<参考>


待てど暮らせどやってこない「本登録」の知らせ

少し話を戻しますが、私の場合は8月3日に治験を行っている企業に応募。応募時のアンケートに氏名・年齢・住所をはじめ、ワクチンの接種状況や持病などの健康状態を記入しました。応募後、「本登録が開始されましたらご連絡します」とのことで、その時を待つことに。

しかし待てど暮らせど、その本登録の連絡が来ず。「もしかしてハズレたのかな」と、諦めかけた9月末(9月29日)に、試験予定についてのアナウンスがありました。それによると、10月に入ってから本登録が始まり、10月末より治験が開始されるとのことでした。

しかし10月に入ってからも、本登録の案内はなく…。先に自治体からワクチン接種が可能になったとの連絡が入りました。これによりワクチンを打とうと思えば、いつでも打てる状態が整ったわけです。

それに合わせるかのように、取引先からの取材依頼も少しずつ入り始めました。次に予定されていた取材は、業界団体のトップが一堂に集まる会合で、ご年配の団体長も参加されることから、「まだワクチンを受けていません」と言えるような状況ではなくなりました。接種日を引き延ばせるだけ引き延ばしたのですが、ここが限界でした。


クリニックでワクチン接種を予約

ついに国産ワクチンを断念して、ワクチン接種を予約することにしました。取材予定日まで差し迫っていたため、徒歩10分程度のところにある予約不要の集団接種会場にするか、それとも(7)に書いた市内にあるクリニックの予約サービスにするかと迷いましたが、空きのあるクリニックが近所に見つかったため、そのまま予約を続行。

予約の方法は、まず特設サイトにアクセスし、行政区(自分の住んでいる行政区でなくてもOK!)を選択。希望日時から空き枠のあるクリニックを選び、希望する日時に空きがあれば、LINEでクリニックの友だち登録を行い、予約をする…という流れでした。

泌尿器科のクリニックではありましたが、美容外科と比べたら循環器科にまだ近いだろうということで、そのクリニックに決定。直前の申し込みだったことと、ワクチンアンプル1本を6人で分けるため、キャンセルや遅刻は絶対にしないでくださいと言われ、それにも同意しました。


国産ワクチン治験の本登録が開始された!?

しかしこともあろうか、ワクチンを予約したその夜、国産ワクチン治験の本登録開始を知らせるメールが着信しました。しかも先着順とのこと。条件はワクチン未接種。実施場所の中には私の住む自治体の名前もありました。

もう1日早ければ国産ワクチンを選んだのに…いや、どのみち取材があるから未接種のまま行くのは無理だったかも…もう少し早かったら…いや、記者の仕事を辞めてまですることではない…。後悔と諦めの念が、その後しばらく頭の中をぐるぐると駆け巡りました。

振り返れば、私がワクチンを受けたのは「同調圧力だった」とも言えますし、「他人への配慮だった」とも言えますし、「記者としての立場(仕事)を守るためのものだった」とも言えます。理由はどうであれ、その時「ワクチンを受けない」という選択肢は残されていませんでした。

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