(私論)夕刻の山城入山是非論

先の勝山城遭難事故で批難が集中したのは入山の開始時刻でした。

見出しの効果もあったのかも知れませんが、多くの方がこの点を批判していました。
山の中の日暮れの早さを知らないのか、と。

しかし、本当に宵が迫る時間帯に入山することは無謀なのでしょうか?この点ハイカーに片足突っ込んでいる立場から検証してみたいと思います。



登山の場合夜でも行動することはある

代表的なケースでは「御来光登山」でしょうか。多くの方がヘッドライトを灯して日の出前から山頂を目指します。
また、城にまつわるケースでも越前大野城や竹田城等で雲海鑑賞を行う場合、懐中電灯片手に暗闇の中登った経験がある方もいると思います(個人的にヘッドライト推奨です。懐中電灯だと手が塞がるので、咄嗟の際に対応できません)。

私が初めてヘッドライトを活用した時のツイートを引用しておきます。ヘッドライトを灯すことで足元の視認性はかなりあがります。

実際登山系の遭難事例動画を拝見していると、夕暮れが迫る時間帯で山に取り残されたケースに対して計画性に対する批判は勿論、装備が十分か(ヘッドライト防寒具の準備はあるのか)も議論されています。
装備があれば、闇を乗り切ることは可能なのです。
※なお、スマホのライトでも足元は照らせますが、あっという間にバッテリー切れになるので使用は非推奨です(110番して場所を伝えてその場に待機が吉だと思います)。


では夕刻に山城見学に入山することは是か?

全くの私見ですが導き出した結論は、結局「否」です。
なぜならば…


①夕方に入山しても得られるものが少ない

暗くなってしまうとお目当ての遺構の観察がままなりません。リスクを冒して城に辿り着いても本来の目的が達成できないのであれば本末転倒です。


②山城の場合道が明瞭でないケースも多い

ハイカーは御来光登山をする、といっても整備された登山道を辿っていくことが多いです。山城の場合案内板がない場所も多く、獣道程度もしくは直登なんて場所もあります。一般的なナイトハイクとは比べ物にならないくらいリスクがあると思います。

と言うわけで、結局やはり夕暮れ時の山城登山は避けられるべき、という極々一般的な結論にたどり着きました。
ですが、ここで終わっては当たり前すぎるので付言…



日暮れの時刻は様々な要素で変わるという話

勝山城の事例の場合、時刻から批判している方が多数いましたが、果たして杓子定規に「山の中が暮れる時刻」を語れるのでしょうか?

・東西での日没時差
・季節での日の入り時刻の変化
・その日の天候(曇天の日はびっくりする位暗い)
・登山道が位置する地形・方角(尾根上は日が入るが谷間は暗い)(尾根に対して東面は恐らく影になりやすい)

歩く道の暗さは様々な要素で変化します。
自分の中で基準を持つのは大事と思います。
ですが、想定以上に山の中での体感日没の時刻は変化しうることも考慮して山行計画は立てられるべきでは、とも思いました。

以上雑多な話でした。

ポイントをまとめると

・夕暮れ時の山城登山はリスクが多い一方得られるものは少ない
・万一下山が遅くなりそうな時はヘッドライト(と防寒具)携行を。スマホライトはNG。
・予想より早く暗くなることもある。余裕を持った山行計画を
・(本文に書いてないけど)GPSアプリは必ず起動すべし。

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