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「天空の城」と熊鈴について(熊鈴騒音問題)

山に入るものとしては気になる熊の出没騒動。私ごとですが、立て続けに2件熊を身近に感じる出来事がありました。

ひとつは先日、早朝5時前に某展望スポットから下山していた時のこと。比較的至近距離で大型動物がガサガサと低木を押し倒して逃げていく音に遭遇しました。元々熊の出没が知られている地域で、顔見知りの地元の方にお話したところやはり熊の可能性が高いとのことでした。
そしてもう一つは地元に帰ってきて徒歩圏内の地元の山に登った時のこと。これまで熊の出没など考えられないといわれてきた地域でしたが、熊の目撃情報による「熊出没注意」の掲示が出ていました。
本当に身近なところに熊が近づいてきている感覚を覚えます。

そこで再度考えてみたいのが入山時に熊に出会わないための対策。
多くの方が熊鈴やラジオなど音の出るものを上げるでしょう。
私も山に入る時は熊に限らずのケモノよけとして必携と考えてきました。
ところが最近熊鈴による「騒音」が問題となるケースがあることも知りました。
そこで改めて熊鈴の立ち位置について考えてみたいと思います。

基本的には熊生息域への入山時には鈴やラジオの携行が推奨されている

環境省のクマ類出没対応マニュアルを参照します。p28より引用。

環境省熊類出没対応マニュアルより

音のなるものの携行が推奨されています。公的に熊鈴の携行は推奨されているのです(ただし、過信は禁物、周囲に気を配ることが必要とされていることもポイントですね)

また、余談にはなりますがクマ撃退スプレーの携行も推奨されていることにも注目したいです。費用や運用面で購入躊躇されている方も多いと思いますが、一考されてもよいかと思います(同マニュアル「熊類に遭遇した際に取るべき行動」も併せてご参照下さい。熊撃退スプレーの運用について具体的に書かれていて参考になります)


気になる熊鈴の「騒音」問題

という訳で熊生息域の入山には熊鈴の携行が推奨されていることは確認しました。
しかし熊が怖いからと言って出発から下山まで闇雲にリンリン鳴らしているとトラブルになるケースがあるようです。

そう、鈴の音は熊に限らず周囲の人間にも盛大に届きます。
実は登山者の間では熊鈴是非論が長年議論されています。少なからず他の登山者の鈴の音を不快に思う方がいるためです。
そのため、程度は登山者によって様々ですが、人が多く集まる山小屋等の周辺では消音する等の配慮がなされているようです(そのような場所では熊の出没リスクは低いですしもっともなことに思います)。

この問題、実は我々城めぐらーとも関わりがあるもので、

黒井城入山口のトイレの掲示

雲海スポットとして有名になった黒井城での掲示です。別の「天空の城」でも同様の話を伺ったことがあります。熊鈴の音で眠れない、という訴えが山麓にお住まいの方から出ているとのことでした。
特に雲海鑑賞に関しては深夜早朝から入山する必要があるためこのようなトラブルに繋がりやすいものと思われます。

「天空の城」登山での熊対策は悩ましい

以上のような状況を踏まえると、民家に接する山麓域での安易な熊鈴の使用は考えもの、という結論に至るかと思います。しかし、熊は必ずしも山深いところにのみ出没するものではありません。山と人間界の中間域のようなところにも出没する可能性は十分あります。
実際、私がクマかもしれない大型動物の音に遭遇したのも比較的山麓近くの尾根でした。また、その時山麓への音の響きを気にして熊鈴は使用していませんでした(スマホラジオの小さな音のみ使用)。
このような中間域での熊対策をどのように考えるかーーー。究極を言えば「近隣民に迷惑をかけなければ対策できない時間帯には入山するな」ということになるでしょう。
問題提起をしてはいますが、私自身最適解を見出せていません。
入山者は周辺への配慮が必要なこと、入山にはリスクを伴うことを熟慮した上で判断を下していく必要があると思います。
結論はここでは出せませんが、一考のきっかけになりましたら幸いです。

おまけ:熊鈴にも種類があるという話


直接の解決策とはならないと思いますが、選択の幅を広げるためにひとつ。

高音で遠くまで音が響く「真鍮製」、低音で音が控えめな「カウベル型」等々あります。
カウベル型も「森に音が吸収されにくい」との特性説明があるのでなんともですが、様々な熊鈴を使用してみて音の響きによって使用のシチュエーションを考えていくのもひとつ手かもしれません(それでも民家最寄りでは使用は控える方が無難と考えますが)(要検討)

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