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交通関連の解説

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交通に関連する解説記事や私見を掲載しています。 交通関連の法令、交通事故、自動車保険などが題材の中心です。 Youtube動画あるいはそのコメントで見かけた題材を扱うことが多いで… もっと読む
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記事一覧

福岡地判令5.10.27

右折車が交差点内に待機し、赤信号に変わったことを見て発進する態様の右直事故、このような事故態様で、赤信号側が10割過失しかありえない、右折車に過失が付くことはありえないとする意見をたまに見る。そして、昨年10月27日の福岡地裁での裁判結果を根拠としている意見を、最近見る機会が増えたように思う。 比較的新しい裁判であること、メディアに取り上げられていること、検察の起訴判断が理不尽にも思えるものであり記憶に残りやすいこと、こういった点で知れ渡ることになったのではと思う。 この

横断歩道標識と一時停止標識の併設

あるYoutube動画で取り上げられていた交通違反について、調べたことをまとめた。 なお、交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介書籍や弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 場所動画で取り上げられていた場所は、愛媛県、道後公園付近。 道後公園の北側には、公園に沿って県道187号線が走っている。この道路を公園沿いに南西方向に進行すると、公園の北西あたりで、県道188号線に出る。県道188号線に出る交差点の手前、伊予銀行道後支店と道後公園の

複数の罪の扱いに関する法令用語

複数の罪の扱いに関する法令用語についてのまとめ。 法条競合、包括一罪、科刑上一罪、併合罪など、複数の罪をどのように扱うかということに関連する法令用語をまとめた。刑法上の罪数処理と呼ばれるものにあたる。ここでは交通系の記事が多いため、交通を中心に記している。 なお、法の専門家ではないので、正確性に欠ける素人の感想と捉えてほしい。正確性を求める場合は紹介書籍や弁護士サイトや弁護士相談などで補完してほしい。 概念一覧この記事で解説している概念を記すと以下のようになる。分類方法

過失運転致死傷の起訴率

先日のつぶやきを、もう少し掘り下げてまとめることとした。 なお、交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介書籍、弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 過失運転致死傷の不起訴率世間に出回っている起訴率情報 どれが良く参照されている情報かは分からない。 検索上位に出てきたものだと、以下の記事がある。どちらも弁護士サイト。令和元年ころの統計情報を用いて、過失運転致死傷罪の不起訴率85.3%や85.8%と紹介している。 とくに前者は、不起訴率

救護措置義務や報告義務の妨害罪

先日のつぶやきを、もう少し掘り下げてまとめることとした。 事故を起こして救護措置義務違反や報告義務違反をしている場合、その車両の同乗者に対してどのような法令が適用されるか、その点のまとめとなっている。 なお、交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介書籍、弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 救護措置義務や報告義務交通事故の加害あるいは被害があった場合、負傷者がいれば救護措置義務、そして救護者の有無にかかわらず警察への報告義務がある。 こ

危険運転致死傷罪の要件見直し

2024年1月23日、交通事故遺族団体が危険運転致死傷罪の要件見直しを法務省に求める報道があった。これについて私見をまとめた。 以下では、法と記しているものは自動車運転死傷処罰法、令と記しているものは自動車運転死傷処罰法施行令を表す。 なお、交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介書籍や弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 この記事では、主に以下の書籍を参考としている。 『3訂 新・交通事故捜査の基本と要点』 『ケーススタディ危険運

運行供用者、運転者、被害者

『三訂逐条解説自動車損害賠償保障法』を入手した。なお、Amazonでは紙版のみ提供。電子書籍版はぎょうせいオンラインにある。 まだ通読したわけではない。しかし少し読んだだけで、知らなかったことが多くあった。運行供用者責任を表す自賠法第3条の解釈を誤っていた部分があったことも分かった。理解を深めるため、運行供用者まわりをまとめることとした。 なお、交通法規や保険の専門家ではないので、正確性は紹介書籍、紹介裁判例、弁護士サイト、保険会社サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談

駐停車して車から離れる際の義務

2023年12月18日に山形県鶴岡市で、コンビニに車が突っ込む事故があった。これを受けて、駐停車して車から離れる際の義務についてまとめた。おもに誤発進防止に関わる義務と防犯に関わる義務を記している。 なお、交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介書籍、弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 交通事故報道きっかけとなった交通事故は以下のものとなる。 Youtubeチャンネルで取り上げられているコメントの中に、誤発進防止に関わる義務と防犯に関

てんかんと運転免許と交通事故

2023年11月21日に福岡県宇美町で発生した交通事故を受けて、てんかんと運転免許と交通事故についてまとめた。以下のつぶやきを掘り下げるものでもある。 なお、交通法規や医療の専門家ではないので、正確性は紹介書籍、弁護士サイト、医療サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談や医療従事者のご友人の情報などで補完してほしい。 事故態様福岡県宇美町で発生。2023年11月21日、朝の通学時間帯の事故。夜勤明けの帰宅途中の車が、通学中の高校生の列に突っ込む事故態様。意識不明者が一時出

危険運転 神戸地裁 令5.10.27

あるYoutube動画で取り上げられていた交通事故裁判、神戸地裁令5.10.27について思うことをまとめた。当方がYoutube動画でコメントした内容を中心に、記事様にまとめなおしたものとなる。 なお、交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介書籍や弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 まとめ先に感想をまとめる。 危険運転の適用、司法判断は妥当と考える。 報道機関の姿勢には疑問を感じる。 事故現場事故現場のGoogleMapを以下に示す。

日本語が含まれる道路標識類

道路標識類に日本語が含まれるものを拾い上げてみる。 なぜまとめたか。 外国人在留資格の特定技能職種に「運転手」を追加するという話がある。 外国語で運転免許の学科受験を受けることができるという話がある。 日本で自動車に乗るなら あるいは免許が不要な自転車に乗るのだとしても 運転に先立って、道路に登場する道路標識類を、公共の危険を生じない程度に理解する必要があると思う。 そして、道路標識類には日本語で書かれているものがある。 そのことを思いながら、どの程度の日本語を読める必

危険運転致死傷罪 高速度類型(報道メディア批判篇)

高速度類型危険運転致死傷罪に関するまとめ。 重大な交通死傷事故で、危険運転致死傷罪で起訴されないこと、危険運転致死傷罪の判決が下されない裁判を報道系番組が取り上げることがある。そのとき、取材記者やアナウンサーや出演コメンテーターが、危険運転で起訴されないとおかしい、危険運転の判決がでないとおかしい、そのように語ることをしばしば見る。 そういった番組に対する考えを含めて、法的解釈をまとめた。まとめたところ、20,000文字を超える長い記事となったため、2部に分けることとした

危険運転致死傷罪 高速度類型(法解釈編)

高速度類型危険運転致死傷罪に関するまとめ。 重大な交通死傷事故で、危険運転致死傷罪で起訴されないこと、危険運転致死傷罪の判決が下されない裁判を報道系番組が取り上げることがある。そのとき、取材記者やアナウンサーや出演コメンテーターが、危険運転で起訴されないとおかしい、危険運転の判決がでないとおかしい、そのように語ることをしばしば見る。 そういった番組に対する考えを含めて、法的解釈をまとめた。まとめたところ、20,000文字を超える長い記事となったため、2部に分けることとした

無断駐車に対する自力救済

半月ばかり前の、すき家の無断駐車に対する貼り紙問題、そこでしばしば参照されるサイトについて、思うところをまとめた。まとめている間に半月経過してしまった。 法や交通法規の専門家ではないので、正確性は紹介サイトや紹介書籍や弁護士サイト、さらに正確性を望むなら弁護士相談などで補完してほしい。 すき家の無断駐車に対する貼り紙問題すき家の無断駐車に対する貼り紙問題は、以下に示されるもの。 これに対して思うことは、アンガーマネジメント。なお、やりすぎな対応という感想は持たない。くだ