神 界 (四)

    さて、今迄正神のうちの下段に位する神々について解説したので、今度は上段にある大神さまについて申し述べる。八百万の神のうち位階よりすれば、第一位の神は天照皇大神、第二位は大国常立大神、第三位は豊雲野大神、第四位は国沢土大神、第五位は大山祗大神となっている。この五代の大神さまは、このように序列はあるが、あらゆる点で、殆んど同等に近い資格を備えられてあって、すべてのことごとは、この五代の大神さまが仲良く協議なされるとある。ご三代までの大神さまについては、既におわかりのことと思うので今はふれないが、未だ解説されていない国沢土大神さまについてご説明を加えれば、この大神は、大国常立大神と、豊雲野大神との間に生まれ給うた国津神で、不動尊の頭の神なのである。そして部下十万の不動尊にあたられる国津神を率いられ、国津神界のなかに、一神界をお造りになられている。その祀ってある場所によって、波切りの不動尊などとあるのは、その配下の不動尊の祀られてある場所と思えば良い。不動尊のお顔は憤りを帯びているが、これは国津神からなる荒神さまだからである。この勇ましいお姿は、すぐれた威力をあらわして永遠に真理をまもりぬくため悪魔を誅滅せんとする、憤怒と勇気と決意のご表明と拝される。
    第五位の大山祗大神さまは、天津神で、俗に山神さまといわれている神で、白い髯を生やし、杖を持って現れる神で、八百万神中でも、最もお年を召されておられる。
    第五位以下の大神さまはその位階は明示されていないが、最高部に近い大神さまで、天津神では、天宇受売(あめのうずめの)大神、木花咲哉姫大神、国津神では若姫妓美大神さまなどのおん名が教えられている。
    神界では又、百三十段幾かの大神さまは、一城を構えておられる。
    よく質問を受けるに、祝詞を奏上するときに、なぜ宇宙の大祖神であらせられる、天空三三三大神のみ名を最初にお唱えしないで、天照大神のみ名をお唱えするのかとある。これは、天照大神さまは、三三三大神の絶対の権限を附与され、且つ、最も正しく絶対神のご意志を継承なされ、最も絶対神に近い大神さまだからである。
    最高部の五代の大神さまは、何ごとをなされるにも和やかにご協議なされて、その協議事項を、毎年旧十一月十二日に神集界で行なわれる八百万の神の総会にはかってその上で決議される。然しその決議事項が果たして絶対神の神意に叶うものかは、天照大神もご命令によって、大国常立大神ご一神のみお持ちなさっている天津金木によってお伺いする。天照大神から神意を伺えとのご命令によって大国常立大神は、天津金木を左手に持たれてカチャカチャと動かす。その示すところによってよろしいとあれば、はじめてそり事項は決定され、実行にうつされる。
    何れにせよ天照大神は、三三三大神の全権をゆだねられて、八百万の神と、人の上に立ち、統べ治められ給うの大神である。だから天照大神のみ名を唱うることは、そのまま三三三大神に帰依し給うことと、何等変わらないのである。
    真の神は、キリスト教で唱えるように、確かに宇宙の唯一神しかないのであるが、罪深く徳浅くあまりにも小さな我々人間には、宇宙の唯一神はあまりにも高く尊く坐し給うのお方なので、直接み名を唱えることをご遠慮申し上げて、むしろその権限のすべてをゆだねられてある天照大神のみ名を最初に唱えあげよと神さまも教えられてある。

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