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「黒い羊」シリーズ

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一匹ならば異端として排除されたかもしれない。でも、何匹もいれば怖くない。 筆名に使ったキャラクター「亀山真一」が大暴れする作品たち。
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記事一覧

マガジンを作りました。

 こんにちは、亀山真一です。  前々から作ろうと思っていた「黒い羊」シリーズのマガジンを…

亀山真一
2か月前
4

『黒い羊のいる世界』第1回

序 初めに受けた衝撃は物理的なものだった。  パリン!  自らの足元を見つめる。ゆっくり後…

亀山真一
4年前
23

『黒い羊のいる世界』第2回

第一章 ようやく相手の人相を確かめて、俺は心中で嘆いた。  サイズの合っていない制服はま…

亀山真一
4年前
14

『黒い羊のいる世界』第3回

 平日の真っ昼間に高校生が二人、いったい何をしているのだろう。亀山はわざとかと思う程いく…

亀山真一
4年前
15

『黒い羊のいる世界』第4回

 亀山が捨て置いた自転車の無事を確認しながら押してくる。俺たちは公園のベンチに座り込んだ…

亀山真一
4年前
18

『黒い羊のいる世界』第5回

第二章 フラッシュライトに一瞬だけ目が眩む。  視力の回復を待つと、会いたくもない男が立…

亀山真一
4年前
12

『黒い羊のいる世界』第6回

「いやあ、大変だったよ」  右足のギプスが痛々しい。結果的に一晩で退院できたものの、しばらくは松葉杖での生活を余儀なくされると言う。 「でもまあ骨は折れてなかった。それだけでもラッキーだって医者には言われたんだけど……どこがラッキーなんだろうか」  練習に加われない部長は新入生の相手をしている。否、むしろ新入生が部長の暇つぶしに使われていると言うべきか。体育館の片隅で俺たちは無為な時間をすごしていた。 「何があったんですか?」  社交辞令で尋ねると彼は嬉々として話し出す。  

『黒い羊のいる世界』第7回

 どこの学校もだいたいそうだろうが我が校の体育棟はアリーナと運動部の部室、そして武道場な…

亀山真一
4年前
17

『黒い羊のいる世界』第8回

第三章 俺の朝は早い。意図的に早くしているというよりは時間の逆算が苦手なのだろう。何事も…

亀山真一
4年前
17

『黒い羊のいる世界』第9回

 その相手は同い年なのに少年と呼びたくなる風貌であった。背丈は百五十センチほど、丸顔で二…

亀山真一
4年前
17

『黒い羊のいる世界』第10回

 またしても逢魔が時、体育棟の二階である。悪ガキ二人と優等生はあっさりと教師の見回りをか…

亀山真一
4年前
21

『黒い羊のいる世界』第11回

「え?」 「とりあえず大輔を起こしてやって」  俺が手を差し伸べると、先程まで腰を抜かして…

亀山真一
4年前
17

『黒い羊のいる世界』第12回

破 二度寝から目覚めた時のことはよく覚えている。時計を見たら八時だった。式の開始時刻も八…

亀山真一
4年前
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『黒い羊のいる世界』第13回

第四章 生き急いでいるね。と、言われることがままある。僕自身、早まった行動が多いことは自覚している。  最近では入学する高校を間違えた。できるだけ家から近いところがいいと言ったらとんでもない進学校で、母親に騙されたりおだてられたりしながら必死で勉強する羽目になって、記念のつもりで受けたら合格してしまった。  ――頭のいい学校は放任主義が多いの。意外と校則もゆるいのよ。  母の言葉を信じて青春を謳歌するつもりだったのに、僕は入学してから何度も職員室に呼び出されている。 「外見と