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開業の挨拶状は必要か?

どの業種においても、起業する際によく議題に上がるのが『挨拶状』。
このペーパーレス時代に挨拶状は必要なのだろうか?古臭くない?
いや、お世話になっている人には出さないと失礼でしょ!
色んな意見があると思います。
まず結論から言うと、出すも出さないも正解だと私は考えています。

挨拶状を出さないと失礼にあたるようなレベルの恩人であれば、そもそもどこかのタイミングで直接ご挨拶をしているはずです。
そして、それ以外の相手方にとっては『正直どっちでもいいこと』だと思うからです。
人によっては逆に挨拶状を出すことで、「こいつこんな古臭い商売の仕方をしているのか」と呆れる人もいるでしょう。

だから、出さない事によって生じるデメリットは特には無いと考えます。
むしろ、なんとなくで挨拶状を出すのであれば経費のムダ遣いです。
堂々とやめてしまいましょうw
以上のことを前提条件とした上で、それでも私自身は挨拶状を出しました。

私が言いたいのは、なんとなくで出す挨拶状は不要。
しかし、既に顧客にしたいターゲットが明確に決まっていて、そのターゲット層に対してアプローチできる素材になりうるのであれば、挨拶状はアリだと考えます。

考える練習をしてみましょう。

少し考えてみて欲しいのですが、例えばIT企業や、デジタルツールを使いこなす起業家に挨拶状を送って喜ばれますか?
はっきり言って、シュレッダーしなきゃいけない面倒な紙ごみかと・・・。
では逆に、古き良き伝統を重んじる会社や、人生の先輩であるご重鎮方が支える会社であればどうでしょう?

喜ばれるかどうかは人によるところもあるかもしれませんが、少なくとも前者よりは送ることでマイナスの印象を与えることはなさそうですよね。
こういうことをちゃんと考えた上で、必要である、もしくは、出してみてもいいんじゃないかという結論に至るなら出しましょうということです。

ここまで、本当に当たり前のことしか書いていませんが、驚くほどこの当たり前のことをしていない人が多いのです。
他の忙しさにかまけて考えるのを放棄し、なんとなくで経費を使ってしまい、後から後悔する人をたくさん見てきました。

開業後であればもっともっと多くのことを瞬間的に判断しなくてはならなくなります。
忙しいからとりあえず~ではなく、ちゃんと考えて行動することを習慣化するためにも、苦手だと思う人ほどこういう小さなことから是非トレーニングをしてみてください。

ここから先は私が開業時に挨拶状を出すにあたって何をどう考え、どういう挨拶状を出したかという詳細と、挨拶状が実際にもたらした効果の部分について書いていきます。
また、今思えばこれもやっておけば良かったと思う事も書いてみます。
この内容はオンラインGYMで提供しているものになるので、ここからは有料とさせていただきます。


士業は開業の挨拶状を出さない派が多数。

まず最初にお伝えしたいのは、開業してからこの5年ほど行政書士界隈の動向を見ていましたが、開業の挨拶状は出さない派が圧倒的多数です。(移転のご挨拶くらいですね)

私自身も士業からの挨拶状を受け取ったのは数えるほどしかありません。
とはいえ挨拶状文化は一般的には普通に残っていますし、私が営業マンをしていたころはどの企業も当たり前に開業の挨拶状を大量に作成していました。

業界外から入ってきた私からすればいくら個人事業主だからといって士業は挨拶状を出さない率の高さが不思議に思えました。
業界外から入ってきた士業が生き残りやすいのは、こういうことを普通に身につけているからというのが1つの要因ではないかと考えています。


私が挨拶状を出した理由。

①行政書士はみんな挨拶状なんて送ってないと思ったから(差別化)
②アポをとるきっかけ作り(営業)
③事業主として先様と取引したいというアピール(企業間取引の強調)
④まともな書面を作成できるアピール(作品見本)
⑤金銭的ゆとりがあるという印象操作(イメージ戦略)


案内状の形状詳細。

上記理由ですので、安価なハガキではなく、印刷屋に注文して結婚式の招待状のような厚紙&封筒という形状のものを作成しました。
当然、営業目的ですのでいきなり送りつけたりはしません。

開業準備中にご挨拶させて頂いて反応が良かったところや、自分が仲良くなりたいと思っているところへ再度ご連絡し、「挨拶状が出来たのでお持ちさせて頂きたいのですが」とアポをとりました。

※忙しい事業主様にアポなし訪問や急なアポは嫌がられますのでゆとりをもって連絡しましょう

自然にセカンドアポがとれるツールとして考えれば一部100円~200円程度なんて安いものです。


やっておけば良かったと思う事。

上記以外にも仲良くなっておきたいと思えるような先輩や、自分が参入したいと考えている業種に専門特化した他県の行政書士にもこれをすれば良かったなぁと思っています。

そうすれば頼れる先輩や師匠がおらずムダな苦労を重ねる結果にはならなかったのでは?と。。。(後悔先に立たず)
また、他士業に対してこの時点でもっと積極的にアプローチをしていれば良かったというのは強く思っています。

当時は他士業のつながりがほぼなかったせいで、行政書士では解決できない業務の相談がきた際に選択肢が無く、あまりいい結果にはつながりませんでした。


友人や親戚に挨拶状は送るのか?

挨拶状の話をすると良く聞かれるのがこの問いですが、私の答えは『関係が微妙な人には送る』です。

理由としては、今まで連絡を取り合うような仲でも無かったのに、開業したからって急に電話をかけたらいくら友人や親戚とはいえ気分を害する人もいるからです。
この関係性で、「うわ~こいつ営業かけてきたよ・・・」と思われたら致命傷です。

みなさん自身もネットワークビジネス等で、一度や二度はそういう思いをした経験があると思いますw
逆に言えば、日頃から親しく連絡しているような仲であればわざわざ他人行儀に送る必要はありません。

微妙な距離感の人に対して、営業をかけてきたと思われない程度にしれっと挨拶状を出すに留めておけば興味のある人は自ら連絡をくれます。
向こうから連絡がない場合は全く追いかける必要はありません。

開業したんだということは相手の意識に残る(なんなら挨拶状と名刺をとっておいてくれたりする)ので、忘れた頃に相談の電話がかかってきたりします。
つまり、営業をかけられるのはイヤだけど、身近にいつでも相談できる士業がいるのは嬉しいというのが一般的な感覚だという事です。


得られた効果。

私は7月開業なので合格発表日から5か月強の開業準備期間があり、その間にかなり様々な行動を起こしたので、これらが明確に挨拶状だけがもたらした効果であるかどうかは計りかねます。すみません!!
しかし、挨拶状が確実に関わっていると確認出来ているものだけに絞って書いてみます。

取引したい企業に出した挨拶状→
①産業廃棄物収集運搬業許可申請のご依頼(既に同事業を行なっていて、他県での許可が必要になった時に挨拶状を思い出したとのこと)
②一般貨物自動車運送事業新規許可申請のご依頼(付き合いのある会社の人間が独立するのでサポートしてあげて欲しいと元請の社長さまからのご相談で、挨拶状に同封した名刺を依頼者さまにそのままお渡ししてくださった)
③倉庫業許可のご相談(挨拶状を見てご相談の連絡をいただいたが、相談者さまの会社に出入りしている社労士が5万で引き受けたとのことで受注に至らず。5万で倉庫業新規とかありえない)
公正証書遺言の立会人のご依頼(合格祝賀会で出会って仲良くしていただいた先輩行政書士さまから、挨拶状を受けてのご祝儀案件)
友人親戚に出した挨拶状→
①友人から相続の相談(挨拶状を見てのご連絡。相当複雑な内容であり、あきらかに争いが予見されたので弁護士さんへの相談を薦める)
②友人から相続の相談(挨拶状を思い出してのご連絡。遠い県に住む親の相続で、相続財産も住んでいた家と土地と多数の山という案件だったため、司法書士さんへ引き継ぎ)
③友人から離婚協議書の依頼(挨拶状を思い出してのご連絡。公正証書による離婚協議書を作成)

その他、案件にならないレベルの相談はたくさんありました・・・。
特筆すべきは、友人や親戚に送った挨拶状は初年度ではなく、2年目以降に効果を出しているものが多く、話を聞いてみると挨拶状を大事にとっていて、困ったことが起こったので引っ張り出して連絡をした、とのことでした。
市民法務は後から効いてくるので手元に残せる資料は大事ということは痛感しました。


受け取る側の気持ちとしては。

せっかくなので、自分が実際に後輩士業や関連企業さまから挨拶状を送っていただいた時にどういう感想を持ったかについて、私が営業マン時代にお客様にお伝えしていた内容と共にお伝えしてみます。

基本的に受け取る側の気持ちとしては『ふ~ん、そうなんだ』程度のものです。
それを踏まえた上で、あえて他の感想を足すならばおおよそこの3つです。

①ちゃんとしてるな
②営業に経費が使えるだけの資金力はあるんだな
③私に対して敬意を払ってくれているんだな

官製ハガキにプリンターで印刷したんだなと見てすぐわかるものだと②は該当しませんし、そんな挨拶状をそのまま一方的に送ってこられてもなんとも思いません。「ふーん、そうなんだ。」で終わりです。

しかし、安い挨拶状でも手書きでメッセージが入っていれば別です。
それが全員に使い回しではない文章であれば、①と③のポイントが大幅アップなのでめちゃくちゃ好印象です。

これはキャバクラ嬢の営業LINEと同じだと思ってもらえるとイメージしやすいと思います。
明らかなコピペ文では店に行こうとは思いませんが、どう考えても自分に向けて書かれた(ように見える)営業LINEであれば、喜んで同伴してあげようと思う人もいるわけです。

キャバ嬢はわかりづらいわ!って方は、初めて訪れた喫茶店を想像してください。
コーヒーを飲みながらマスターと「私はもうちょっと酸味が抑えてある方が好きかも」なんて話して、再度そのカフェに行った時に何も言わずとも酸味を抑えたコーヒーが出てきたら、またここに来よう!って思いませんか?

こういう心理に働きかける挨拶状を出すことが出来ないならひたすら数を打つべきです。
コピペ営業LINEでも、やらないキャバ嬢よりやるキャバ嬢、10件やるキャバ嬢より100件やるキャバ嬢の方が売上が上がるのは自明の理です。

②についても同じことで、お店がテンプレで用意しているメッセージカードを渡された時と、キャバ嬢が自分自身で用意した素敵なメッセージカードを渡して来た時を思い返してみてください。(経験の無い人は想像してみてくださいw)

こうやって自分が受け取る側ならどうだろう?ということを明確にシミュレーションしてみれば自ずと自分が送りたい挨拶状はどんなものか?というのが見えてくるかと思います。


まとめ。

漫然と挨拶状を送りつけるだけであれば、経費のムダなのでやらなくていいと思います。
手間はかけられないけど出したいならお金をかけて大量に撒きましょう。
母数が増えれば案件に当たる可能性が上がります。

明確に意図があって、その後まで計算した上での挨拶状はとても有益だと思います。
自分がどこまで手間をかけられるかによって、内容(形状や単価)を戦略的に選択してください。

また、見込み客だけをピンポイントでフックするためにだけ小ロットで挨拶状を作るというのもアリです。
手間をかけられるのであれば母数は少なくてもその分確度は上がるので、名刺交換した人全員に送る必要は全くありません。

ただ、業者に頼んで印刷する場合は、小ロットになればなるほど1枚当たりの印刷単価は上がるので枚数や形状によっては小ロットの方が経費がかかる場合も多々あります。

最後に注意事項として士業に挨拶状を出す場合、この先生には送ったけどこの先生には送ってないというのは世間が狭すぎるので案外すぐにバレますw
プライドがムダに高い人が多いので、そこはくれぐれも気を付けましょう!


今回の記事はここまでです。気に入って頂けましたらTwitter等で感想と拡散を頂けると幸いです。

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