レトロCM魔改造・100本レビュー:SEASON2
「なんかわかんないけどヤベェ!」
「意味わかんないけどおもしれぇ!」
そんな気持ちを込めて書いたレトロCM魔改造SEASON1ですが、界隈の方々にRTなどしていただき、感謝です。
一番嬉しかったのは、身近な友人が知らない間にレトロCM魔改造を一気にキメて「去年一年分くらい笑ってる」と笑い転げていたことです。
(友人のお気に入りは「マルキンのよせ鍋だし」だそうで、お目が高い!)
高野政所さんも、「自分の友達が喜んでくれる」ところからクリエイティブを始めているという旨のことを配信で仰ってたので、期せずして私もその路線を踏襲できたといえるでしょう。
同じセンスを持ってくれてる人に伝わればいいですからね!
それではSEASON2、スタート!
011
ママタッチ
もともとのCMが反復してる系。
これは子どもさんとかも喜びそうな魔改造CMですよね。
(なぜか子どもに見せたらまずいもののような扱いをしがちな魔改造ですが、別に全作問題ないはず。)
トントントン、トントトントントンという軽快なリズムに乗せて、要所要所で「エステー化学」が入るのが小気味よいです。それがまた画面の手の動きと連動しているから見ていて楽しい。
最高のタイミングで出入りする赤ちゃんが高野政所さんの本人写真らしいです。ナイスショットですよね。
012
くるまにポピー
とにかく人気の高い作品。
トランスっぽさが、やっぱりアガるからでしょうか。
あと元のCMが、ちゃんと視覚的に漫才になってる(「くるまにポピー!」と絶叫する画面ごと派手にボケてる)のがいいですよね。視聴者がツッコむことで完成する(しかもツッコまざるを得ないばかばかしさ)。見事なCMです。
ポピ~~~~の最初のエコーがかかるところで画面に「宇宙~!」が始まって、そっからまた上り詰めていく、確かにフロアでかけたら盛り上げるのかもしれませんが、やっぱり尺が短いのがCM魔改造。(タク・タカハシさんがこの音源をお取り寄せしたとの話でしたが……)
逆に言えば、忙しい人のための「観て聴くシャブ」の役割を果たしてくれています。
013
お弁当どんどん
「イカしたローカルCMが見たいって?それなら、静岡をあたりな……」
レトロCM魔改造界隈を彷徨っていると、酒場で出会った見知らぬ男がそう告げて去っていった。カウンターに「どんどん」と書かれた紙きれを置いて。(冬野 昴『チルミナティをめぐる冒険』p.93より)
それくらい静岡にはヤバいCMがあるらしいのですが、これもまた素材からして濃厚。ていうかDonDonって表記もGood!
どんどんは現在でもお店が営業しているそうです。
ちなみにこの正解者の女性も現役でテレビに出ていらっしゃるとか。ともすると完全なオーパーツと思いがちなレトロCMが現在につながっていることを思い出させてくれる作品でもあります。
014
草津温泉ホテル一井
THE 昭和だよ~~~~~
若貴の争いなどをとっくに経た今では、複雑な気持ちになるくらい、「朗らかな家庭」をアピってくる、それもまたCMという虚飾の世界の一側面……。
などと感慨にふけっていると、魔改造によってあさってのヤバさの方向へと歪められ、初代貴ノ花夫人(当時)の「まだよ」「まだです」の高音リピートでピークに達する。
なんでいきなりコーラスになるんだよ~~~
たかが1分前のモヤモヤを吹っ飛ばすコーラスの意味分からなさがちょうどステンドグラスみたいなエフェクトと同じくらいになります。
家庭のいざこざみたいなものとか、芸能界のスキャンダルとかが、どうでもよくなってきますね。
015
ベビースターカップうどん
何歳くらいの人から「おてんこてんてんって何?」って言うのだろうか。
私もおてんこてんてんが何なのかよくわからず、とりあえずこの文章を書くためにググったのだが、この動画が出てきて、嬉しいやら、しかし真相には辿り着けないやらで複雑な気持ちになった。
それはともかく、まだ片岡鶴太郎氏がお笑い芸人としての活躍を見せていたころである。それすら知らない人も今の若い世代では多いのではないだろうか。
「てんてん」のところでエコーがかかり始めて画面にもエコーがかかりシンメトリーエフェクトが始まる。更にビートが乗っかると同時に幻覚エフェクトが発生。それが何度も繰り返され、隣の女性に移り、またそれが反復される。
シンプルな構造ながら、「おてんこてんてん」のリズムを生かした魔改造CM。これをなんと表現したらいいのか……と思ったら、動画解説欄に記載があった。
ジャンル:プッツン・ミニマル。
016
キューサイ 青汁
ここまで真っ当に分かりやすく「魔改造」の話をしてきましたが、実は「魔改造」には裏テーマがあります。
「魔改造」ならぬ「麻改造」。
本CMで「野菜」というワードが界隈の人々に「これは明らかにあのヤサイのことでは……?」という憶測が飛び交ったという……。
個人的には、青汁大好きなのもあって、本CMのフレーズ「まずい もう一杯!」ってやっぱり名キャッチコピーだよな~。音としても優れているのがキャッチコピーの大事なところだよな~。
って、しみじみ温故知新って感じに浸ってました。
しかし見ていくうちに、だんだんとその意味が分かってくるのです……。
え?話がよく見えない??
100本観ればわかりますよ。え?早く知りたい??
そんなあなたは下記リンクから高野政所さんの書籍をチェックだ!!!
017
森永ココア
これも人気の高い作品。
はっきり言って何から言えばいいのか分からないくらい濃厚な1分18秒。まるでココアのような。しかし甘くはない。
最初私は何を言っているのか分からなかったので、もし同じ気持ちになっている人がいた時のために一応解説しよう。
「ここはどこだ?」(ココアをどこに置く?の意味)
「ここだ」(ここに置いてくれ、の意味)
笑い声と「なかなか言うじゃない」は魔改造によって乗せられた音声だと思われるが(元動画をサクッと探せなかった)会話の応酬に宇宙エフェクトが被さり、少年がシンメトリーになり、本当にこの少年の笑い声のように聞こえてくるから、別の次元に存在するCMを見ているような気になるのだ!
最初の方から流れる不穏な音がどんどん加速して、本来この動画が意図していなかった「画面の暗さ・密集度」「言葉遊びのゲシュタルト崩壊」が強調されて「ココアのCM」という本来あたたかさを与えるべきものが、不安定な奇妙さを齎す動画に仕上がっている。
のちのち、本来のCMの意図とは全く外れた暗めのヤバさが出ている魔改造は「黒魔改造」と定義されることになるのだが、本作は初期の黒魔改造の代表作と言えるだろう。
018
キンレイちゃんぽん
めちゃくちゃ好き。
活字好きの人には心地よい画面と信じて疑わない。
なぜならスペルが音と併せて出る画面なのだから。
音に合わせて発音記号がインジゲーターみたいにびょこびょこ動くのが見てて楽しい。
音の刻みが細かいから映像とリンクさせるのめっちゃめんどくさかっただろうな~と思いながらも、その手間あってこその快感が生まれているということを伝えたい!
ちなみにきくらげは英語でcloud earとかcloud ear mushroomとかwood earと呼ぶらしいですぞ。
019
マスコット爪切り
「後半(映像加工が)人によってはキモ怖いかも知れませんので閲覧注意」とのことなので、記載しておきます。
いやこれも大好きなんだよ。
なんでファンシーで夢いっぱいのかわいいグッズがこのおじさん(有名な方だったらすみません……って、こういう場合たくさんあるんですよレトロCMには。なので以後この断りは入れません。)によって紹介されてるのかも謎。
この映像加工がキモいとは思わなかったんですけど、昔は「言葉を刻んで音楽の素材にしてしまう」というのに違和感があったりしたので、「人間の顔が歪められる」のがキモいって思うのかな?と思ったりしました。
そう、今でこそこんなレビュー書くほどですが、言葉のサンプリングというものが苦手だったんですよね!なんかむず痒いというか。でも「耳に気持ちいい」と感じるようになって、好きになりました。(魔改造のおかげもありますが、在宅勤務になりいろんな配信を聞きまくってて、そのSEで慣れたのかもしれません。)
まあそんなことはどうでもいいんです。チンコチンコ!
020
ケンちゃんラーメン(新発売)
魔改造のグルーヴが生まれやすいのは「擬音語(ex.どんどん)あるいは擬態語」「言葉の掛け合い(ex.くるまにポピー)」。映える映像のひとつに「人間力の強い顔(=ex.づぼらや)」というのを見てきましたが、これはもうその集合体。
理論上、志村けんさんの存在がもう魔改造素材にうってつけといってもいいでしょう。
ということで来たのはケンちゃんラーメン(新発売)。
常に新発売のイメージなのでもう商品名の一部としてとらえました。
この動画の概要欄にありますが、辻本ルイスエンリケさんの魔改造レビューは本当に素晴らしいので、改めてここにリンクをはらせていただきます。100本すべてこの調子なのでまじで脱帽です。これ読んじゃうと、当レビューの良さが見当たらなくなるのですが、せめて見つけるとしたら全く知らない人の入り口として入りやすさでしょうか。
付記:ヘッダー画像について
毎回ヘッダー迷うのですが、みんなのフォトギャラリーから
俵屋年彦さん https://note.com/cinemakicks の曼荼羅画像をお借りさせていただいてます。魅力的です。
SEASON3も書きたいなと思っています。どうぞよろしく……
あなたの感じたことって何物にも代えがたいよね、ってことを一人ひとりに伝えたい。感情をおろそかにしたくない。って気持ちでnote書いてます。感性ひろげよう。